香りでおちつけ 麻布香雅堂と作る、ほぼ日の「おちつけ」香袋。 香りでおちつけ 麻布香雅堂と作る、ほぼ日の「おちつけ」香袋。
ほぼ日の「おちつけ」に新商品ができました。
こんどのアイテムは、香りです。

インド産の白檀と天然素材の漢薬をブレンドし、
「おちつけ」の香りを追求した香袋(こうぶくろ)。
鼻を近づければ、穏やかな香りがふわり。
袋には石川九楊さんの書を、織りで表現しています。

ほぼ日の「おちつけ」が持つイメージから
独自の配合をされた麻布香雅堂の山田悠介さんに、
香袋ができるまで、香袋ができてからの
2回にわたってインタビューをしました。
[相談編]「おちつけ」の香りがほしい
およそ半年前、2021年春のことです。
ほぼ日の「おちつけ」グッズの新商品として、
香りについて相談するために、
香木・香道具の専門店、
麻布香雅堂さんを訪ねました。
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──
ほぼ日がお世話になるのは10年ぶり、
「くまのアイピロー」という商品に
香木けずりをつけていただいて以来ですね。
山田
ようこそお越しいただきました、
麻布香雅堂の山田です。
メールでやりとりさせていただきましたが、
「おちつけ」グッズは斬新ですね。
いかにも私が感じている
ほぼ日さんらしいイメージの商品です。
すごく独自の切り口だなあと思って。
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──
ほぼ日の「おちつけ」グッズは2018年に誕生して、
ミニ掛け軸、ピンバッジ、木製のキーホルダー、
倒れにくいマグカップと少しずつ商品が増えています。
そろそろ新商品がほしいねとチームで話して、
お守りを作れないかなと考えたんです。
緊張する場面で握りしめるイメージで。
山田
はい、お守りですね。
──
「おちつけ」を書いていただいた
書家の石川九楊先生のお考えを聞いたところ、
「お守りには信仰があるから、ド直球なものは難しい」
と一度は断念することになったんです。
でも、どうしても作りたかったので、
「それなら、匂い袋としての形なら?」
という提案をしたら、それならぜひ作ってほしいと。
あ、匂い袋を作るんだったら、
香雅堂さんにお願いすれば間違いないぞと。
山田
思い出していただき、ありがとうございます。
お守りからずらしての匂い袋、なるほど。
──
香りの場合は嗅覚にまっすぐ訴えかけるので、
いままでにないかたちで
「おちつけ」を表現できそうですよね。
山田
たしかに、理にかなっていますね。
香りを決める前に
「おちつけ」のイメージをすり合わせながら、
香りに反映していけたらなと思います。
──
はい、お願いします。
香りについては素人なので。
山田
そうですね、では最初に
「匂い袋」「香り袋」と呼ばれるものの中身が、
何でできているかを簡単に共有させていただきます。
メインになるものが、白檀(びゃくだん)です。
──
白檀、聞いたことはあります。
山田
きっと、聞き覚えありますよね。
和の香りの世界では、
香木(こうぼく)というくくりをするんです。
いきなり余談になるんですけど
香木を大きく分けると3種類あって、
白檀、黄熟香(おうじゅくこう)、沈香(じんこう)
というものがあります。
ご相談いただいているような匂い袋を作るとしたら、
基本的には白檀をメインに使うことになります。
白檀以外はなかなか採れない原料であったり、
常温で香りを発しないものだったりして、
匂い袋にはあまり使われないんですよ。
なので今回も匂い袋の中身として使うのは、
必然的に白檀になるんです。
よかったら、単体での香りを嗅いでみてください。
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──
(香木に鼻を近づけながら)
あっ、懐かしい感じ。
扇子の香りを思い出しました。
山田
うんうん、そうですよね。
白檀といえばお扇子とか、お線香とか、
いろんなものの原料に使われています。
洋の香りの世界でも、白檀の木から
エッセンシャルオイルを抽出して使うことはあって、
世界的にポピュラーな香りと言えますね。
この瓶に入っている白檀はインドで採れた木で、
一般的にインド産が最上質のものとされています。
日本では気候条件の関係で採れませんが、
インドネシア、フィジーなど温暖な地域で育ちます。
──
この香木が置かれているだけでも、
お寺みたいなおちつく香りが漂ってきますね。
これって、瓶の中で保管されているから
香りが続いているのでしょうか。
放っておくと香りはなくなりませんか。
山田
おっしゃる通り、外にぽいっと置いておけば
香りは弱くなっていくんですけれど、
すごく香りを含んでいるものなので、
なかなか香りは飛んでいきません。
だからこそ、白檀は匂い袋に向いているんです。
──
まずは白檀がメインになる。
他には何を混ぜるのでしょうか。
山田
匂い袋を作るときには白檀をベースに、
「漢薬(かんやく)」と呼ばれるものを
7~8種類ほど入れるのが一般的です。
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──
漢薬というと?
山田
たとえば、そうですねえ――。
藿香(かっこう)というシソ科の植物の葉っぱ。
大茴香(だいういきょう)は八角(はっかく)として
豚の角煮にも使われるので、
みなさんにも馴染みがあるかもしれません。
あとは、丁子(ちょうじ)とか。
木の実、葉っぱ、根っこといった
植物性で香りの強い漢薬を少しずつ入れて作ります。
ほぼ日さんでアイピローに入れた香りは、
白檀と安息香(あんそくこう)という
丸みのある香りの原料だけで作りましたね。
でも、そういった天然の原料だけで作る匂い袋は
いまではわりと珍しくて、
市場に出回っている匂い袋のほとんどは、
そこに甘味料みたいなものを入れています。
──
甘味料というと、人工的なものですか?
山田
天然のものだからいいとか、
化学的だからよくないというわけではありませんが、
香木と漢薬だけだと硬派な香りになるんですよ。
合成香料が生まれたことで、
匂い袋が多くの人たちに親しみやすくなりました。
バニリン、クマリン、合成して作ったムスクなど、
世の中にある匂い袋の多くは、
香木と漢薬と、合成香料を混ぜて作られます。
このスパイス感をもっと少なくするとか、
もっと甘くするとか、そういう調整をしています。
──
(匂い袋の香りを嗅ぎながら)
うん、合成香料を混ぜると華やかになりますね。
たしかに匂い袋といえばこんなイメージです。
一方で、香木と漢薬だけで作ったものは
刺激の少ないやわらかな感じがします。
お焼香の香りに近いのかな。
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山田
そうそう、まさにお焼香の香りって、
バランスは違えど同様のものを燃やしています。
そこにも化学的なものを混ぜることはありますが、
本来的にはこういう香りですね。
──
天然原料だけで作るものと合成香料を加えたものとで、
香りの持ちが違うとかはありますか。
たとえばアロマオイルの場合は、
時間が経つと揮発して後で足すこともありますよね。
山田
4年、5年とかのレベルなら
香りがなくなることはほぼないでしょう。
木のかけらと葉っぱのかけらを混ぜていて、
それぞれが強い香りを持っているので、
ずーっと香り続けるんです。
香りをより強く嗅ぎたいときに
匂い袋をモミモミして鼻に近づけてください。
永続的にと言ったら強すぎるかもしれませんけど、
かなり長持ちするはずですよ。
──
強めに香らせたければ、袋を揉んであげる。
山田
揉むことで空気に触れる場所が変わって
香りを感じやすくなるんですよ。
さらにここに、精油の香りを加えることもあります。
精油の種類もたくさんありますし、
割合によっても印象が変えられますね。
精油はぼくたちの専門分野ではないので、
専門家と組んで香りを作ります。
精油は化学的に分析できるので、
たとえば、「おちつけ」に見合った成分を含んだ
精油を入れることもできるはずです。
ただ、精油には先ほど気にされていた
香りの消費期限的なものがあって、
香木と漢薬だけで作るものよりは香りが飛びやすいです。
期限は使い方にもよるので表現しにくいのですが、
精油だけ別売りにして販売することもあります。
精油を垂らせば、その香りがまたたのしめますよ。
ということで、おおまかな作り方としては、
「原料」「香料」「精油」その3種類ですかね。
──
香りが強すぎちゃう、という心配は?
山田
匂い袋の大きさにもよりますが、
手に収まる程度の大きさの匂い袋なら、
かばんに入れていても外まで香らないはずです。
自ら嗅ぎにいったり、かばんを開けたり、
匂い袋を触ったりしたときにふわっと漂う感じ。
外に向けての香りというよりも、
自分に向けたパーソナルな感じです。
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──
他人が気づくような強さではないんですね。
山田
そこまで強くはないですね。
そういう意味でも、お守りは相性がいいかと。
──
ほぼ日の「おちつけ」グッズは
受験シーズンの助けにもなるのかなと思うんです。
勉強の合間にちょっと嗅いだり、
それこそカバンに入れておいて、
試験の前に嗅ぐこともあるのかなと。
緊張する面接や仕事の交渉前に嗅ぐとか。
仕事や勉強の合間におちつく香りにしたいです。
オリジナルの香りを作っていく際には
どうやって香りを決めているのでしょうか。
山田
ぼくたちが香りを作るときは、
最初に制限できる要素を挙げていきますね。
いつ使いたいとか、なんのために使うのかとか。
ほぼ日さんであれば「おちつけ」ですよね。
その中でも、どうおちつきたいのか。
制限をつける中で探っていけると、
いいところに決まってくる感じはします。
なにかキーワードを与えていただければ、
「われわれ香りサイドとしては、こう解釈しました」
というサンプルを作ることもできますよ。
言葉じゃなくっても、写真だとこうだとか、
世界観を表す情報をできるだけいただいて、
その情報がそろった段階で香りのサンプル制作をします。
そこから、みなさんのイメージに寄せていきますね。
──
心強いです。
イメージはのちほど整理してメールしますね。
〈後日整理してお伝えした「香り」のコンセプト〉 ・感情的になったときに自分をとりもどせる、興奮を鎮められるような香り。 ・強く広く香るというよりは、 自分の鼻先に近づけたときにふんわり香る強さ。  → 気分が「おちつく」過程に、<br> 「自ら香りを嗅ぎにいく」という動作が セットでキーとなるように。 ・香りを感じると目を閉じたくなるような気分になり、 目を開けるときは「がんばろう」と 少しシャキっとした気分にもなれるようなもの。
──
あとは名前ですが、
一般的には匂い袋が主流なのでしょうか。



香り袋など呼び名はいろいろありますよね。
山田
ルールはありませんが印象的に
「匂い袋」は古き良きイメージですね。
京都のお土産で買ってくるものみたいな印象。
「香り袋」は現代に寄せようとしている気がします。
あとは、西洋っぽくするなら「サシェ」とか。
うーん、お守りのようなイメージなら、
香り袋とか、香袋(こうぶくろ)とか?
──
あっ、「香袋」がいいかもしれません。
ほぼ日の「おちつけ」香袋。
上品でよさそう、それでいきましょう!
山田
うんうんうん、合っていると思います。
たのしみですね、本当に。
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(次回、「おちつけ」の香袋が完成です)
2021-12-13-MON
ほぼ日の「おちつけ」香袋、
12月15日(水)
午前11時より発売です。
ほぼ日の「おちつけ」グッズの新アイテム
「おちつけ」香袋は、12月15日より
ほぼ日ストアとTOBICHI、
麻布香雅堂の店頭で発売になります。

眠気を覚まし、感覚を研ぎ澄ませると
古来から信じられてきた香木を
麻布香雅堂との独自配合でブレンド。
お使いのポーチやカバンに入れておき、
鼻先に近づければ、穏やかな香りがふわり。

袋は石川九楊さんによる「おちつけ」の書を
生地の織りによって細部まで表現しました。
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ほぼ日の「おちつけ」香袋

1,760円(税込・配送手数料別)
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