第1回 人生のハイライトになるライブ

ほぼ日 沼澤さん、「ほぼ日」へは
お久しぶりの登場になりますね。
沼澤 そうかぁ。
そういえば、かなり久しぶりかもね。
ほぼ日 いやー、今回のライブは
すごいものになりそうですね。
沼澤 うん。
もしかすると、
ぼくのキャリアの中でも
ハイライトのひとつとなるようなライブです。
だから、たくさんの人に観てもらいたいし、
知ってもらいたいからこそ、
「ほぼ日」のみなさんにも
「ぜひ、お越しください」と
ご案内したんですけど、
お話しているうちに
ライブそのものを解説するワークショップの企画!
になっちゃって。
この企画で、もっとライヴが
おもしろくなるんじゃないかと思いましたね。
ほぼ日 今回のライブは
ドラムマガジン・フェスティバル2012」の
プログラムのひとつとして行われるもの。
つまり、ライブ自体のお客さんのほとんどは
ドラマーですよね。
沼澤 当然、そういうことになりますね(笑)。
ほぼ日 とはいえ、沼澤さんがこのライブでしたいことは
ドラマーに向けた技術論ではなさそうに思えて。
いままで、その正体を
なんとなく曖昧なままにしてきた
「グルーヴ」に焦点を当ててライブをする。
それを、アメリカでのドラム講師の経験がある
説明上手な沼澤さんが翻訳、解説をする‥‥。
このライブをドラマーだけが楽しむには
とってももったいないと思ったんです。
なので、主催のリットーミュージックさんに
お願いし、ライブ映像を、後日
「ほぼ日」で配信させていただくことになりました。
どうもありがとうございます!
沼澤 説明上手かどうかはさておき(笑)
まさにそうなんですよ。
今まで、ドラムワークショップみたいなことは
ずっとお断りしてきました。
今回も、はじめは共演する予定はなくて、
ドラム・マガジンの人が
ギャドソンを呼びたいっておっしゃってたので、
通訳を申し出たんですよ。
ほら、普通の通訳だと音楽用語、
つまり、ドラムを表現する言葉がわからないし、
それこそ、
「グルーヴ」のニュアンスが伝わらないでしょ。
ほぼ日 なるほど。
沼澤 ギャドソンっていうのは
ほんとうに雲の上のような存在の人だったんだけど、
ふとした縁で知り合ってからは
「おい! いっしょに練習するぞ!」って
ドラム2台を並べて練習させてもらって‥‥。
その中でグルーヴだけでなく、
音楽で飯を食うってこういうことなのか!
ということを教わった、
ぼくにとっての師匠のような存在なんです。
ですから本人にメールで
「日本に来るらしいですね。
 通訳をやることになりそうです。
 ライブはどういう構成にしますか?」
とか聞いてたら
あの人、プレイはほんとにすごいんだけども
そういうのを考えるのが苦手らしくて(笑)
「もう、お前にまかせた!」と。
そこから構成を考えていくうちに
昔、ぼくがギャドソンに
教わったころのように
ドラム2台を並べて
演奏するようなことになり‥‥。
ほぼ日 沼澤さんフル回転するような
ライブになったのですね(笑)
一応、エアとはいえ、
ドラムをかじってきたので
「ジェームズ・ギャドソン」という
名前は聞いたことがあるんですが
やっぱり、すごい人なんですか?
沼澤 すごいもなにも、
西本くんだけでなく、大高さんも
「ほぼ日」読者のほとんどが
この人のリズムを聞いたことがあったり、
踊ったことがあるはずです。
70年代のモータウンサウンドのドラムは
ほとんどこの人なんだけど、
例えば、ジャクソン5は聞いたことがあるでしょ?
ほぼ日 ええ。
もちろんです。
沼澤 その後もマイケル・ジャクソンのアルバムや
マービン・ゲイのアルバムといった
R&Bの名曲の数々のビートは
この人がプレイしたものなんですよ。
あまり音楽を知らないという人でも
「サタデー・ナイト・フィーバー」くらいは
聞いたことがあるでしょ?
ほぼ日 うわっ!
それも、まさかギャドソンさんなんですか?
沼澤 その中の「MORE THAN A WOMAN」などは彼です。
ドラムのクレジットには
あまり興味はないかもしれないけど、
この人がプレイした曲は
とんでもないヒット曲ばかりだよ。
そして、この人がすごいのが
実績だけですでにレジェンドにもかかわらず
未だに現役バリバリってことなんですよ。
最近ではポール・マッカートニー、
ノラ・ジョーンズのアルバムにも参加しているし、
BECK本人のアルバムはもちろん、
彼のプロデュースした作品にも。
ほぼ日 BECKもですか!
沼澤 そう。世界中のミュージシャンから
「あのグルーヴをプレイしてもらいたい!」
といわれているミュージシャンなんですよ。
実際、このライブが決まってから、
音楽関係者の間では
「ギャドソンが来るの?!」
って話題騒然だし。
ほぼ日 つまり、ギャドソンさんというのは
世界のミュージシャンズ・ミュージシャン、
という存在なのですねー。
沼澤 そうそう。
世界中のミュージシャンからの
ギャドソンの評価はほんとうに高かったし、
現在も高いままだっていうのが、
彼のほんとうにすごいところなんです。

(とはいえ、なぜ沼澤さんがギャドソンさんに
 グルーヴを教わることになったのか?
 次回につづきます。)
2012-10-10-WED