「撮ろうと思って狙ったのと 　ちがう写真になったからって 　ダメってことはないんですよ」
	「そうおっしゃっていただけると 　とってもラクになります！」
	「ほんとですね、楽しくなりますね」
	「わたし、１００％、そうです‥‥」
	「狙った写真は菅原さんに 　ダメだしされちゃうんだよなー」

	甲野の写真に戻りましょうか。 えーっと、ちなちゃん、 この写真はなんですか？
	これは、お昼ご飯食べてるときに、 父の笑顔が撮りたかったんですけど、 笑ってくれない上に、 やめろよ、って言われて。 拒否られました‥‥。
	それは山下さんが息子さんを撮ったときに 近いかもしれませんね。
	多分、カメラを買ったばっかりで にやにやして近寄って来た娘が ちょっと嫌だったんだと思います‥‥（笑）。 何だこいつはっていう。
	これは普段から、 写真を撮られることを 諦めさせるしかないですね。 家族だということで遠慮なくね。 あ、また持ってるよ、あいつ、みたいな。
	（笑）。
	家族だったら遠慮要らないから、 喋りながら撮っちゃったら？
	でも、この写真ね、 見る側からすると、 お父さんの顔が分からなくて、 手だけがボケていて、 何かいろいろ想像できて面白いですよ。
	そうですか？
	うん。
	そうですか！
	どんな顔してるのかな、お父さんて、って。
	その場が分かるからいい。 お箸持ってるし！ 食事中なんだなってわかるから、 冷たさがないですね。
	ちょっとやめろよ〜、って。
	さえぎる手にも、力が入ってないもんね。 しかもいいとこに手が入ってますよ。
	あ、ほんとだ。掌、全部入ってますね。 こういうのは偶然撮れたいい写真だと 思うっていうことなんじゃないかなあ。
	そういう偶然もよしとした方が 写真は楽しいと思いますよ。
	はい。
	そんな中で、こちら。
	これは、母が撮りなさいよって言うんで なにがいいのかしらって思いつつも シャッターを押したんです。
	これは、さっきのお父さんみたいな 偶然がないからつまらないって思うんでしょうね。 写真は絶対、偶然があった方がいいんですよ。
	はい。なるほど。
	ハプニング。
	名言ですー。 手帳にメモしておこう。
	写真は偶然と必然と両方あるのが やっぱりいちばんいいと思うんです。 でもこれは偶然も必然も両方ないですよね。 ただ、お母さんの中には、 あったのかもしれないですよね。
	うん、そうですね。 そっか、だからやっぱり 自分で撮りたいと思わないと‥‥。
	そうです。写真の最大のいいところって、 その偶然が必然に変わるときっていうのがあること。 それがすごくいい写真になるんです。
	うん、うん。
	でもそれが逆さまになっちゃうのを狙うことが すごく多くて、そうすると作為的になるんですよ。 「偶然を装う」っていう写真ですね。 それってすごく嘘があるから、つまらない。 これがもし上手く撮れちゃうと、 広告写真のようには、なるかもしれないけれど。
	この光と影がきれいに撮れたり、 水面や花がもう何かキラッキラに撮れたりしたら。
	たぶんお母さんはそういうのを見て、 わあっ、撮っておきなさいよって おっしゃったんじゃないかなあ。
	わたしは何のことかわかってなくて、 しかも腕がないから撮れてないっていうことですね。
	でもね、誰が見てもきれいだなって 思えるようなところを よりきれいに撮るっていうのは、 商業写真の成せる技っていうか。
	なるほど。
	とってもむずかしいことなんです。 そのレベルの写真を撮るのはね。
	ではこちらにまいりましょう。 全然違う、３タイプ。
	これは‥‥？？？
	ブイちゃんの毛並みです。
	こ、これは、なにがしたかったの？
	これはブイちゃんを アップで撮りたかったんですけど、 走っていっちゃったんです。押す瞬間に。
	それはしょうがないですね。 鍛錬あるのみですよね、これ。
	はい。
	こういうときは、 数打ちゃ当たるっていうんですか。 そこも写真のいいところですよね。 それしかないんじゃないかな。
	連写モードにして？
	あ、そうですね、確かに。
	ぱしぱしぱしぱしと撮ってみるってことですね。
	設定、ありますよね。
	そんなの、あるんですか！
	小川さんのカメラ（Ｇ９）にも もちろんありますよ。 「Ｓ」（シングル）と「Ｃ」（コンティニュー） みたいな表示があると思うんだけれど。 あと、ＩＳＯ感度をちょっと上げてみると、 相対的にシャッタースピードが速くなりますね。
	はい。 そのあたりは、勉強ですね‥‥
	E-420は、ISO感度を変更したりするのに 液晶画面で設定が必要ですね。 ぱぱっとできると、もっといいんだけどなー。
	小川さんのコンパクトカメラなんかは きっとやりやすいですよね。 使っているカメラ、 みんなたぶんあまりマニュアルとか 読まないと思うんだけど ざっと「こんなことができるんだー」 っていうことをわかっておくと、 いいかもしれないね。
（つづきます！）