#014 「おいしそう」はどうやって写す? その1

講師

菅原 「きょうはぼくが生徒。シェフが先生」

司会

シェフ 「えへん、お教えしましょう‥‥って、
 そんなわけないでしょう!」
山下 前回、せがれの写真で反省しましたので
 きょうはおとなしく聞く側でおります」
菅原 ということでほんじつは
おいしそうな写真を撮る
シェフさんを講師にお迎えしています。
シェフ 菅原さん、司会はぼくです!
山下 シェフはたしかに
料理をおいしそうに撮りますよねえ。
なにかコツがあるにちがいないと
ぼくも感じているのです。
シェフ そんなこと言われても
コツってわかんないんですよ。
こまったなあ。
山下 じつは読者部員のみなさまからも
料理写真については
いくつか質問をいただいておりまして。
たとえばこちら。
しつもん

お菓子を焼くのが好きなのですが、
上手に焼けたときには、
ついついカメラを持ち出して、
何枚も写真を撮ってしまいます。
あとから見ても生地のメがわかるように、
近距離で撮ることが多いので、
使用しているカメラは、
接写1cmが可能なリコーのデジカメです。
(もう5年くらい前に買ったものですが‥‥。)
特にこれと言った不満もないカメラですが、
マカロンや、バターケーキが
スペシャルに焼きあがったときなどは、
「もっと本格的に、
 おいしそうに撮れたらなぁ」
と思うことがあります。
お話を聞いていて、
一眼レフに興味が出てきたんですが、
一眼レフは、風景が得意なんですか?
接写にも向いているんですか?
お料理やお菓子をおいしそうに撮るのに
向いたカメラがあれば、
ぜひ教えてください!
よろしくお願いします。

(アプフェル)

山下 それから、こちら。
しつもん

私が写真を撮る目的は、ほとんど食べ物です。
おいしい料理を記録に残しておきたいのです。
ブログにも掲載したりしています。
そのような場合にオススメのカメラは
どういったものでしょうか?
また、料理を撮るときは
フラッシュを使わないので、
ブレてしまうことが多かったり、
黄色っぽくなってしまったり
することがあるのですが、
失敗しない方法も教えていただきたいです。
特にレストランだと
他のお客さんの邪魔にならないよう、
目立たず素早く写真を撮りたいのです。
よろしくお願いします。

(匿名さん

山下 さらにはこちらも。
しつもん

自然光じゃない所で、
お料理をそのままの色で、
且つ美味しそうに
撮る方法はありますか?
曇りマークで撮るといい‥‥
と聞いたことありますが、色合いがなんか
イマイチなんです。
濃い緑が黒くなったり‥‥。

(鈴木

山下 整理しますと、
◎料理や接写に向いたカメラは?
◎フラッシュを使わずに
 料理をとるときのポイントは?
ということになりますね。
菅原 じゃあぼくからシェフに質問です。
料理を撮るとき使ってるカメラは?
シェフ いちばん使ってるのは
「CONTAX SL300RT*」っていう
京セラのもう4年以上前の
ちっちゃなデジタルカメラです。
あと最近買った携帯電話の
「SO905iCS」も
このごろ使うようになりました。
山下 サンプルを、見てみましょう。


▲撮影:シェフ「おいしい家のとりもも」(CONTAX SL300RT*)


▲撮影:シェフ「おいしい店のとりもも」(SO905iCS)
菅原 うわははは、おいしそうだね(笑)。
ともに、自然光のもとで、
フラッシュは使わずに撮ってるよね。
シェフ はい、そうです。
近寄るので「マクロモード」には
しているかと思います。
山下 おいしそうです。
しかも、なんですか、
1枚目は、自炊ですか。
シェフ 自炊歴もかれこれ24年です。
そんなことはいいじゃないですか。
菅原 シェフが食べものを撮るときに
気をつけていることがあるはずなんだよ。
それはなんだろうね。
シェフ 菅原さん、ぜんぶ答えがわかってて
訊いてるでしょう。
菅原 もちろんわかってます(笑)。
まず、これ、一眼レフじゃないよね。
1枚目はコンパクトタイプの
デジタルカメラで、
それも画素数300万という、
ひとむかし前のものです。
2枚目は最新機種だけど
でも携帯電話のカメラ機能だよね。
ということは‥‥。
山下 カメラが問題ではない。
一眼レフである必要は
ないってことですね。
シェフ ただ、このカメラがおいしそうに撮るのに
いいなあと思って選んではいるんですよ。
仕上がりの色あいもいいですし、
レストランに持って行っても目立たない
カメラの大きさというのもありますし。
ぼくも、ほんとうは一眼レフに
明るいレンズをつけて撮るのが
いちばんいいと思ってます。
でもそれって仕事でもないかぎり、
不自然だからなあと思ってて。
山下 一眼レフで撮ったこともあるんですか。
シェフ ありますー。
これとか、そうです。


▲撮影:シェフ「おいしいカニ」


▲撮影:シェフ「おいしいハム」
シェフ これはデジタルではなく、
CONTAXという、いまはもうない
フイルムの一眼レフカメラに
50mm単焦点のレンズをつけて、撮りました。
カニは、およばれで、
中華料理店の個室に行くことになったので
遠慮なく一眼レフを持っていきました。
ほかのお客さんの迷惑にならないから。
ほねつきハムは、ともだちの家です。
山下 こりゃあまたいちだんと‥‥。
シェフ じぶんでいうのもなんだけど、
うまそうだよねえ。
菅原 答えというか、ほんとだったら、
料理を撮るなら
一眼レフの方が撮りやすいですね。
雑誌などの「おいしそう」な料理写真も
ほとんど一眼レフで撮られているように思います。
ただその場合は、
料理も撮影のために最高の状態で、
しかも照明によって、
それを際立たせるわけです。
シェフ 「ほぼ日」のおいしそうなページといえば
「LIFE」ですが
これもカメラマンの大江弘之さんが
ニコンのでっかい一眼レフで
がっしゃんがっしゃん撮影なさっておられます。
で、いいなー、ああいう写真が撮れたらなあ、
って思うんですが、
あの大きいカメラをふだん用にするのは
むずかしいなあと思うんですよ。
菅原 一眼レフはお仕事でもないかぎり
レストランでは使いづらいですよね。
見た目もおおげさだし、音だって大きいし。
だからコンパクトデジタルカメラで
そっと撮りたいところだけど、
さあそのときはどうしましょう、
という話だよね。
シェフ ちなみに、弊社スガノが使っているのと
同じ、EPSONの「RD-1」という
レンジファインダーのデジタルカメラを
ひとに借りて、使ったこともあります。


▲撮影:シェフ「おいしいスパゲッティ」
山下 おいしそうです。
しかし、なんというか、そのう、
「これ一人で食べてるんですか」とか、
「そもそもここ、どこだろう」とか、
食べものそのものではないことを
考えたくなってしまうのですが。
菅原 山下さん、いいことをおっしゃいました。
山下 はっ?!
菅原 レンジファインダーのカメラって
風景や人のすがた、その雰囲気を
うつすのに向いているカメラなんですよ。
そもそも、カメラとレンズの構造上、
近くに寄れないんですね。
だから、この写真も、
料理がどうとかいうことより
これを撮影したときは
どんな感じだったんだろうとか
どんな場所なんだろう、
どんな気持ちなんだろう、ということを
考えたくなってしまうのかもしれないですね。
シェフ これは年末年始にパリにひとり旅をしたさい、
キッチンつきの宿に泊まりまして、
スーパーで買ってきた食材でつくった
旅の最初の朝ごはんです。
どうです、おしゃれでしょう。
山下 ‥‥おしゃれかもしれないですが、
ぼくはそれより
「さびしさ」みたいなものを
ひしひしとかんじています。
シェフ ‥‥そりゃさびしいよ。
ひとりだもん。
でもそのさびしさがいいんだよ。
菅原 そういうのが写っちゃってるんですよ。
おもしろいよね。
山下 話がひろがってまいりました。
そろそろ明解な答えを
みちびきだしたいのですが!
シェフ それは長くなりましたので次回に。
菅原 答えはもう出てますよ(笑)。
はぁーっ!
(次回につづきます!)
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2008-05-12-MON