2012-12-13-THU



糸井 ‥‥ふと、思ったことを
うかがってもよろしいでしょうか。
西水 ええ、なんでしょう。
糸井 西水さんは今まで
いくつかの貧しい場所に入り、
そこが立ち上がっていく姿を見てきましたよね。
西水 はい。
糸井 一方で、震災以降の東北の様子。
その両方を見ていて、
どこがいちばん違うと思いますか?
西水 ‥‥違うところ、ですか。
糸井 ええ。
似てるところは、たくさんあると思うんです。
西水 ‥‥初めて聞かれました、それは。
「どこが似てるか」ばかりを
考えてきたものですから。
糸井 はい‥‥。
西水 違うところ‥‥待ってくださいね‥‥。
(考える)
糸井 ‥‥‥‥。
西水 ‥‥‥‥‥‥‥‥。
糸井 ‥‥‥‥‥‥。
西水 ‥‥‥‥ちょっと、あれです‥‥
糸井 はい。
西水 おとなしすぎはりますね。
東北の人々は。
糸井 ああ‥‥。
西水 もちろんそこがすばらしいところでもあるんですが、
我慢しすぎかもしれません。
もうちょっと騒ぎはるとよろしいねん。
そう思いますね。
‥‥そこがいちばんの違いかな?
糸井 へぇぇぇーー。
そう考えられますか。
西水 はい。
糸井 やっぱり西水さんは、
なにかを考えるときに
とにかく「人格」みたいな部分を
完全に柱にされますね。
西水 ‥‥そうですか?
糸井 うん。
さきほどからのさまざまなお話が
ずっとそうなんです。
読ませていただいた本の中のいろんなケースも、
お会いになられてきた人々の話が
なにより大事な軸としてあるように感じました。
西水 そう‥‥かもしれないですねぇ。
糸井 今のお話も、
「途上国と被災地では構造が違う」
みたいな話ではなく
人格の部分のお話ですもんね。
西水 ええ。
すべては、人が成すものですから‥‥。
糸井 いやぁ、さすがです。
‥‥ぼくもしょっちゅう、
東北と途上国のいろんな問題とを、
重ね合わせて考えています。
それで、
東北が途上国と違うのは、
「市場のありかたを決めずに動いてるな」
という部分だと思うんです。
西水 はい、なるほど。
糸井 商売をその地域の中でまわすのか、
全国に向けてやるのかを、
みんな決めずにやってるな、と。
ぼくは自分では、
「地域の中だけでまわすのは、
 大変すぎるんじゃない?」
と思っているんです。
西水 ええ。
糸井 そういうことばかりを考えてたものですから、
西水さんからも似たような答えが出ることを
ちょっと期待してたんですよ。
西水 あぁ、そうでしたか。
‥‥はい、はい。
糸井 そうしたら、
「おとなしすぎはりますね」って(笑)。
西水 すんまへん。ふふ。
糸井 いやいや、
これからはそのことも思いながら
東北のことを考えるようにしてみます。
‥‥だってつまり、
同じ話に重なるかもしれないって思うんですよ。
西水 いや糸井さん、重なってますわ。
糸井 ね、同じですよね。
「地元の人に向けての商売を、
 同じ場所でコツコツやっていく」
というのを選ぶのは、
おとなしさがありますよね。
もちろん、
地道な仕事の尊さを否定するわけではなく。
傾向として。
西水 ええ。
気質って、あるんですよね。
私が育ったのは北海道なんですが、
初めて三陸沿岸に入ったとき、
「東北の人はちょっと違う人たちだな」
と感じたのを覚えています。
いまだにそれは感じるんですが、
東北の方は、
「強すぎる」「我慢しすぎる」「おとなしすぎる」
という、その3つ。
胸に強いものを秘めていて、
自分で物事を解決して、納得しなきゃ動かない。
それは、いい性質でもあるんですけれども、
いまのように大変なときには、
すこしその面が、
すぎているように思えることもあるというか‥‥。
糸井 そうですね。
大変なときには、
助けてもらったほうがいいですよね。
西水 もちろん、その性質がプラスに働くことも
ぜったいにあります。
何かをしんぼう強く直していくときとか。
糸井 「今に見ていろ!」みたいな、
そういう気持ちのバネの強さは、
さまざまな場面で支えになるでしょうし。
西水 そうそう、ものすごく強いところが
あると思うんです。
でも、もうちょっとね、
後押ししてもろたら? 思うことは、
いろんな形でありますね。
糸井 そうですよね。
西水 時と場合によりますけれども、
いまは大変なんだから、
「もうちょっとわいわい騒いだほうが
 ええんと違う?」
と思うんです。
関西人はね、もう、
そこはワーワー騒ぎすぎるほうですけど(笑)。
糸井 (笑)
(つづきます)
2012-12-13-THU






世界銀行副総裁という立場から、
つねに「現場」に根ざした「国づくり」を
推し進めてきた西水美恵子さん。
こちらは西水さんが、各国で向き合ってきた
改革や支援のことを書かれた1冊。
出会われてきた素晴らしいリーダーたちや
草の根の人々の話をはじめ、
胸に響く話が多数収められています。

英治出版、2009年4月発行 
本体1,800円+税



西水さんが、自身の体験から
考えてきたことや学んできたことを
書かれたのがこちらの本。
リーダーの姿勢やありかた、
働くということ、危機管理の方法など、
さまざまな発見があるとともに
西水さんのまっすぐな姿勢が
読む人に勇気を与えてくれます。

英治出版、2012年5月発行 
本体1,600円+税