ほぼ日ニュース

アースボールで遊ぼう。
「ほぼ日のハッカソン!」レポート

こんにちは、ほぼ日のいなざきです。

3ヶ月ほど前のこと、
ほぼ日のサイエンス・マジック部が中心になり、
「ハッカソン」というイベントを開催しました。

ハッカソンというのは、
プログラマーやエンジニアたちが
集中的に開発をおこなう企画のことで、
ざっくりいうならば、
「知らない者同士集まって、
なんかおもしろいもの一緒につくろうぜ!」
という趣旨のイベントになります。

そのハッカソンを
ほぼ日でもやってみようと、
3月25日(土)と26日(日)の2日間、
ほぼ日本社で開催することになりました。

どんな様子のイベントだったのか、
このページで一気にまとめておとどけします!

お題は「ほぼ日のアースボール」


3月25日、午前11時。
事前に予約してくださった
10名の参加者がそろったところで、
ほぼ日のせいきふみが登場。
今回のイベントについての説明がありました。

今回のハッカソンのテーマは、
「アースボールを使って、
ARコンテンツを自由に開発せよ!」というもの。

ほぼ日のアースボールはこれまで、
シリーズ累計15万個以上を販売しており、
球体のARマーカーとしては、
おそらく日本で一番売れているアイテム
といっても過言ではありません。

今回のハッカソンでは、
そのアースボールのARコンテンツを
個人ではなく、チームで開発していただきます。

全体説明が終わったあとは、
くじを引いて3チームに分かれます。
職業も年齢もバラバラの人たちが、
ここから2日間チームを組んで
ひとつのコンテンツをつくることになります。

それぞれのチーム名は
「アルファ」「ベータ」「ガンマ」に決定。
お互いに自己紹介などをしつつ、
ほぼ日のハッカソン、いよいよスタートです!

ほぼ日チームも参戦!

じつは先ほどの3チームだけじゃなく、
主催のほぼ日もチームをつくって、
ハッカソンに参加することになりました。
実際にアースボールを
開発しているメンバーがいる時点で、
ちょっとチートな気もしますけど‥‥。

なにはともあれ、まずはアイデア会議です!

ハッカソンがおこなわれた3月下旬といえば、
いま話題の「ChatGPT」のAPIが公開された時期。
いろいろブレストをする中で、
どうしても話はそっちへと向かっていきます。

「ChatGPTを組み込んで、
地球とおしゃべりできるとかは?」

「だったら音声認識やってみます?」

「地球に手と足を付け足して、
ゆるキャラみたいにしたらかわいいかも」

「アースボールを漫才の相方に見立てるのは?」

などなど、できるかどうかはさておき、
まずは思いついたアイデアをどんどん出しあい、
良さそうなものをピックアップします。

ハッカソンでは発想のおもしろさに加え、
時間内にちゃんと動くプログラムが
つくれるかどうかも大事とのこと。
はてさて、発表までにどこまでできるのか?

ほぼ日のハッカソンは、
おいしいお弁当が出ます。

頭を使えば、おなかが減ります。
おなかが減っては、いいアイデアも出ません。
「それはたいへんだ!」ということで、
ほぼ日のハッカソンでは、
おいしいお弁当をみなさんにご用意しました。




土曜日は「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」3種、
日曜日は「ボンディ」のカレーと
「新潟カツ丼」のタレカツです。
おぉー、これはうれしいラインナップ! 
朝から緊張気味だった参加者の顔が
ちょっとゆるんだ瞬間かもしれません。

食べた後は、ひたすら開発。

おなかも満足したところで、
いよいよここからが本番。
各チームがアイデア出しをおこない、
企画の方向性が決まれば、
あとはひたすら開発に没頭していきます。

タイムリミットは2日目の18時。
それまでに発表用の資料と、
デモンストレーション用の
動くプログラムをつくるのが目標です。



この日はじめて会った者同士、
こうやって即席チームをつくって
ひとつの成果物をつくるというのは、
なかなかすごいことだと思います。

プログラマーやエンジニアというのは、
知識やスキルもさることながら、
コミュニケーション能力こそが
かなり大事な職種なのかもしれません。

みなさんの様子を拝見していると、
お互いに敬意を払いつつも、
自分の考えやアイデアなど、
言いたいことをハッキリ伝えているところが、
とても印象的でした。

そして、残り1時間になった頃、
キッチンカウンターでは、
なにやらおいしそうな料理の準備が!

じつは発表会のあと、
参加者同士で懇親会をしましょうということで、
ケータリングの準備を
同時進行でおこなっていたのです。


めっちゃオシャレなんですけど!

カウンターに映える、緑と青と白。
そう、これは「地球」をイメージした
ケータリングなんだそう。
雲に見立てた塩の使い方がお見事!

そんなお料理に見惚れているところで、
時刻は終了予定の18時に。
はいはい、そこまで、タイムアッーープ!
ケータリングに後ろ髪ひかれつつ、
このあとは各チームの発表にうつります。

3チームの作品発表!

さあ、各チームの作品発表です。
プロジェクターを設置して
サクサクっとプレゼンの準備をととのえます。


発表会には糸井重里と、
ユニティ・ テクノロジーズ ・ジャパンの
簗瀬(やなせ)洋平さんにも
特別審査員として同席していただきました。

各チームの持ち時間は10分。
発表はアルファ、ガンマ、ベータの順番でおこないます。

チーム・アルファ
「地球と夢を回るシアター」

トップバッターのチーム・アルファが考えたのは、
アースボールを「舞台空間にする」というものでした。

アースボールをスノードームのように見立てて、
内側空間に3Dアニメーションを表示。
アースボールを自転(回転)させると、
紙芝居のように次々とシーンが変わる舞台装置を
バーチャル上につくりだしました。

アースボールの表面ではなく、
球体の内側空間を使うというのは、
これまでになかったアイデアかもしれません。



このときは宇宙好きな主人公が、
成長しながら宇宙飛行士をめざすという物語を
8つのシーンにわけて表現していました。

今回は実装できませんでしたが、
舞台転換をアニメーションにしたり、
360度どこからでも見られるようにできれば、
さらに可能性が広がりそうなアイデア。

参加者の中からも
「おぉーー!」という声がもれるほど、
さまざまな技術をうまく表現に落とし込みました。
チーム・アルファ、おつかれさまでした!

チーム・ガンマ
「がーでんあーす」

2組目のチーム・ガンマのアイデアは、
ちょっと先の未来を想定したものでした。

5年後の未来、
スマートグラスが当たり前になるとしたら、
アースボールを使うときに
スマホやタブレットは要らなくなるはず。

そんな切り口から考えたのは、
デバイスの画面をタッチするのではなく、
アースボールを直接触りながら
操作するコンテンツでした。


デモンストレーションでは、
マーカー付きのペンを使うことで、
実際のアースボールに触れて
ARを操作することができました。
いずれはハンドジェスチャーだけで
操作することも夢じゃないとか。

いまのアースボールは、
スマホやタブレットの画面をタッチして
AR地球儀を操作するしかありません。
もしスマートグラスが普及すれば、
視界すべてがAR空間になり、
両手も自由に使えるようになるわけで、
アースボールの可能性が
さらに広がっていくのは間違いないでしょう。

そんなちょっと先の未来を
感じさせてくれたチーム・ガンマ。
すばらしいプレゼンテーションでした!

チーム・ベータ
「国歌と国家」

さあ、どんどん行きますよー!
3組目のチーム・ベータが今回注目したのは、
世界各国の「国歌」でした。

「日本やアメリカの国歌はよく聞くけど、
それ以外の国歌ってよく知らなくない?」

そんな素朴な疑問から、
国歌をテーマにしたコンテンツを開発。
アースボール上の国をタッチすると、
自動的に国歌が流れるだけではなく、
AIで国歌の波形を分析して、
「国歌がなんとなく似ている国」を
知ることができます。


日本の「君が代」で検索すると、
似ている国歌のリストに
「リヒテンシュタイン公国」が出てきました。
実際にその場で聞いてみると、
たしかに「君が代」に似ているような気も‥‥。

これがいいなって思うのは、
地理や文化や歴史などのくくりではなく、
単に「国歌の曲調」というつながりだけで、
いろんな国を知れるところ。
リヒテンシュタインがどんな国なのか、
たしかにちょっと興味があります。

国歌というテーマに着目して、
たった2日でここまで仕上げたチーム・ベータ。
拍手をもらいながらプレゼン終了です!

チームほぼ日
「地球と漫才」

最後はチームほぼ日の発表です。
あれこれやりたいことを詰め込んだ結果、
「地球と漫才ができるアプリ」をつくりだしました。

一見、ふざけたアイデアのようですが、
技術的にはかなり本気で取り組んでいます。
ChatGPTと音声認識をかけあわせ、
キャラクター化した地球と
声でやりとりできるようにしました。


関西弁を話し、テンション高めで、
一人称は「ワイ」を使い‥‥などなど、
ChatGPTに回答条件を与え、
芸人さんらしい答えを引き出します。

あと、漫才らしく、
アースボールの頭を直接たたくと、
ちゃんとリアクションを取るという
仕掛けも盛り込みました。

ただ、本物の漫才のような
テンポのいいかけあいをするのは難しく、
そのへんが今後の改良点になりそう。
AIが進化した5年後くらいなら、
現実的にありえそうな技術かもしれません。
そんなことをちょっと予感させる
チームほぼ日のプレゼンでした。
みなさん、おつかれさまでしたー!

審査員の総評。

各チームの発表を受けて、
審査員の糸井と簗瀬さんに感想をうかがいました。
それぞれのチームへの
具体的な感想とアドバイスもあったのですが、
ここでは総評だけご紹介します。

糸井重里:
どのチームもとてもよかったです。
こういうときによく思うのが、
テクノロジーの自慢のしあいって、
技術がどうすごいのかという、
情報が見えやすい場所で戦うことが多いけど、
ほんとうは情報が見えないところの喜びを、
どれだけ意識できるかが重要になります。

例えば、人が感じるもので、
「いいヒマワリ」と「悪いヒマワリ」があったとして、
「いい」というのは情報では見えない。
それは人が勝手に判断するもので、
そこはプログラム化できない部分だったりします。

デジタルコンテンツを考える上では、
じつはそこがすごく大事だと思っていて、
「使う人たちはそれをもっと感じている」
というのを意識するというか、
そういう「人の心」の問題までいけたら、
もっとよくなっていくんじゃないかなと思いました。

もっとよくするために足りなかったもの、
これを足せばもっとよくなるな、とか、
そうやって発見することをおもしろがれたら、
自分たちのアイデアがもっとゆたかに、
もっとおもしろくなっていくんじゃないかな。

ユニティ・ テクノロジーズ ・ジャパン 
簗瀬洋平さん:
アースボールのすばらしいところは、
地球儀から「軸」を取ったところだと思うんです。
企画の中に「回転舞台」がありましたが、
アースボールは軸もなければ
台にも固定されていないので、
Y軸もX軸もZ軸どれにも対応できます。
そのあたりのおもしろさは、
まだまだ可能性がありますし、
スマートグラスで両手が使えるようになれば、
さらに発展性があるように思いました。

みなさんの作品がそうでしたが、
未来はこうなるだろうと予測するだけじゃなく、
ちゃんといまある技術を使って、
実装までもっていく経験はすごく大事です。
それこそが技術を発展させる
原動力になると思っているので、
こういうイベントは貴重だなとあらためて思いました。

それぞれ個性的な発表ばかりで、
未来を想像するものもたくさんあったので、
とてもおもしろかったです。
みなさん、すばらしかったです。
きょうはありがとうございました。

ほぼ日のハッカソン、
これにて終了!

各チームの開発報告が終了し、
みなさんお待ちかねの懇親会です。
それでは、カンパーーーイ!

食べて、飲んで、おしゃべりして、
お互いのつくったものを称え合います。
発表が終わってホッとしたのか、
会場のあちこちから笑い声が聞こえていました。


そして最後は恒例の記念撮影タイム。
大きなアースボールを囲んで、
ほぼ日乗組員もいっしょに写真を撮りました。
2日間、ほんとうにおつかれさまでしたー!

ということで、
ほぼ日のハッカソンレポートはここまで。
かけ足のご報告になってしまいましたが、
雰囲気だけでも伝わっていたらうれしいです。
大変だったけど、おもしろかったーー!

こういう参加型のイベントも、
ようやく気兼ねなくできるようになってきました。
ほぼ日では、バーチャル空間とリアルの場、
その両方をうまく取り込みながら、
これからもいろんな人たちと交流できる企画を
たくさんつくっていきたいと思います。
よければ、ぜひ気軽に参加してみてくださいね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは、またーー!

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