フレッシュな若手乗組員たちが
『岩田さん』を読んでみた。
(軽く落ち込んだりもした)【前編】
2019-10-10

任天堂の元社長、
岩田聡さんのことばをまとめた『岩田さん』を、
比較的社歴の浅い若手乗組員たちが読んで、
あれこれ感想を言い合ってみましたよ。
参加したのはこの5人です。
ふみ:
UXエンジニア。
社歴3ヶ月。27歳。
最近、アイスランドに興味がある
ひな:
「CACUMA」などの商品開発担当。
社歴4年。26歳。
アンミカのモノマネを練習中。
まりさ:
商品やページのデザイン担当。
社歴2年。28歳。
おみやげなどの包装を集めてしまうらしい。
なお:
ほぼ日の受付担当。
社歴6ヶ月。31歳。
休日は映画三昧とか。
アリサ:
管理部所属、いろいろ担当。
社歴3ヶ月。23歳。
この会の言い出しっぺ 。
【前編】
これは、自分に活かせる本だなと。
その結果‥‥ちょっと落ち込んだ。
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『岩田さん』という本が出て、
若手乗組員が読んでどう思ったのかを
語り合おうというミーティングです。
よろしくお願いします!
一同
よろしくお願いしますー。
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さっそくですが、
読んでみてみなさん、どうでしたか?
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まりさちゃんの本が気持ちわるいでーす。
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え、うわあ!
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ごめんなさい、読んでいたら、
あちこちに付箋をつけたくなったんですけど、
手元に付箋がなかったので、
ページを折っていたらこんなことに‥‥。

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だとしても、こんな折り方あります?!
どういうこと? 折り紙?
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憶えておきたいことばが多すぎて、
紙の角でことばを示すようにしたら、
こんなことに‥‥。
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気持ちわるいでーす。
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本の折り方はどうでもいいんです!
感想を言わせてください。
この本、わたしは、
わたしについて言ってるように感じたんです。
つまり、本がわたしに語りかけてくる!
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気持ちわるいでーす。
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そうじゃなくて!
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続けて、続けて。
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この本のなかで、岩田さんは、
会社や組織について
たくさんのことを語ってらっしゃるんですけど、
それってそのまま規模を小さくして、
個人についてのことだとしても
すごく当てはまるなと思って。
たとえば、第一章のおわりに、
こんなことばがあります。
自分たちは、なにが得意なのか。
自分たちは、なにが苦手なのか。
それをちゃんとわかって、
自分たちの得意なことが活きるように、
苦手なことが表面化しないような方向へ
組織を導くのが経営だと思います。
──『岩田さん』P.41より
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これ、すごいですよね。
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「経営」ということを、
こんなにわかりやすく。
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うん、うん。
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このことば、会社の経営だけじゃなく、
自分についてのことばだとしても
すごくしっくり来るんです。
「得意なことが活きるように、
苦手なことが表面化しないように」。
自分自身のマネジメントというか。
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おーー、なるほど。
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その読み方、じつはわたしもしました。
これは、自分に活かせる本だなと。
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そうなんです。
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でも、その結果‥‥ちょっと落ち込んだ。
ああ、できてないことばっかりだ、と。
一同
(笑)
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わかるー。
ああ、だからできてないんだ、って。
ほとんどのところが、
自分に置き換えて読めるんですよ。
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ほかにはどんなところを
自分に置き換えて読みましたか?
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ここ、ここ!
すごく意識したいなと思って、
強くページを折りました!
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本がかわいそう。
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それに関しては、すみません。
自分たちはなにが得意なんだっけ、
ということを自覚したうえで、
「なには、なにより優先なのか」を
はっきりさせること。
順番をつけること。
それが経営だとわたしは思います。
──『岩田さん』P.44より
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ああ、まさに、自分の仕事に役立つ。
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そうなんですよー。
これがうまくできてないから、
なんか、ずっと仕事を抱えたままで
たいへんだったり‥‥。
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わかる。
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まさに、自分のマネジメント。
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とくにほぼ日って、「これをしろ」とかあまり
言われない会社じゃないですか。
だから、自分で決めなきゃいけない。
「あー、ここにこんなに時間かけてたら、
ほんとに大事なことがおろそかになる」って
思うことがわたしは多いから、
「なには、なにより優先なのか」っていうのは
ほんとうにためになりました。
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たしかに、この会社は
自分で決めなきゃいけないことが多いですよね。
だからこの本はまず、
ほぼ日の乗組員におすすめです。
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せ、せまい。
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もうひとつ挙げていいですか。
あのね、「ご褒美」のところ。
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あー、ご褒美!
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あそこはすごく腑に落ちました。
人は、まずその対象に対して、
自分のエネルギーを注ぎ込むんですね。
時間だったり、労力だったり、お金だったり。
そして、注ぎ込んだら、注ぎ込んだ先から、
なにかしらの反応が返ってきて、
それが自分へのご褒美になる。
そういうときに、
自分が注ぎ込んだ苦労やエネルギーよりも、
ご褒美の方が大きいと感じたら、
人はそれをやめない。
だけど、帰ってきたご褒美に対して、
見返りが合わないと感じたときに、
人は挫折する。
──『岩田さん』P.81より
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これは前職での経験なんですけど、
わたしは上司からよく
「おまえは仕事が終わったあとの
快感やよろこびを知らないから
がんばれないんだよ」って言われてたんです。
そのときはよくわからなかったんですけど、
岩田さんのこの言い方だったら
すごくわかるなと思って。
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わたしもそこすごく考えさせられました。
だから、また落ち込んだ‥‥。
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読んで「わかる」タイプと、
読んで「落ち込む」タイプ(笑)。
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まりさちゃんはなんで前向きに吸収できるの?
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自分の体験と照らし合わせて
「なるほど」って思えるのが大きいかなあ。
たとえば、わたしは料理するのが好きなんですけど、
それってご褒美がすごくわかりやすいからだなって。
つくって、食べて、「美味しい!」。
だから続くんだなって。
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うん、うん。
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それを仕事に置き換えると?
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だから、仕事のご褒美を、
どこに見つけたらいいのかは‥‥
うーーん、よくわからない。
一同
わからないよねー(笑)。
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それは、ずばり、お金では?
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わ、びっくりした。
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黙ってましたが、ずっといました。
お給料っていうのは、まさに、
わかりやすいご褒美ですよね?
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うん、それはそう。
でもなー、なんか、ちょっと‥‥。
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はい、違う気がしますね。
岩田さんが言ってるご褒美は。
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割り切ってそれをご褒美にするという
考え方もあるんでしょうけど。
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たしかに、ご褒美って、
人それぞれだしいろんな種類があるのかも。
たとえば、チームの人たちがよろこんだとか、
憧れの人と一緒に仕事ができた、とか。
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あー、たしかに、それはあるかも!
自分ひとりでは会えないような人と
一緒に仕事ができたりすると、
ものすごくやりがいを感じる。
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やっぱり精神的なご褒美が大切なのかな。
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思ったんですけど、ご褒美っていうと、
つい楽しいことを考えがちじゃないですか。
がんばったらこういういいことがある、みたいな。
でも、そういう単純なことじゃない気もして。
たとえば自分が嫌なことでも、
自分が楽しめるように、
嫌なことの中でも自分がたのしめるように
方向性を変えていく‥‥
そういう力を持てっていうことだと思うんですよね。
一同
おーーー。
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前に糸井さんがみんなに話してくれた、
「さんまさんの掃除の話」って憶えてます?
さんまさんがお弟子さんの時代に
部屋の掃除をしていたら、
お師匠さん(笑福亭松之助)がやってきて、
「掃除はおもしろいか?」と訊く。
「おもしろくないです」ってさんまさんが言ったら、
お師匠さんが「そやろ」と。
「そやから、おもしろくするんや」と言ったという話。
これって、ご褒美の考え方じゃないかなと。
一同
おーーーーー。
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ひなさん、冴えてる。
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えっへん。
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あ、「ご褒美回路」開いてる(笑)。
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開いてる、開いてる(笑)。
つまり、才能というのは、
「ご褒美を見つけられる能力」
のことなんじゃないだろうかと。
「なしとげること」よりも、
「なしとげたことに対して快感を感じられること」が
才能なんじゃないかと思うんですよね。
いってみれば、ご褒美を見つけられる、
「ご褒美発見回路」のようなものが開いている人。
──『岩田さん』P.82より
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わたしも「ご褒美」の話がすごく好きだったんですけど、
じつはわたしは仕事以外のことのほうが
しっくり来たんです。
たとえば、趣味で絵を描いたり、音楽をつくったり、
という活動をしている人は、
このことばから勇気をもらえるんじゃないかな、と。
というのは、仕事って、お給料をもらえるものだから、
やる意味が感じられやすいと思うんですけど、
仕事以外のことだと「なんでやるんだろ?」って
なりやすいと思うんですよ。
たとえその人が本当にやりたいことでも、
食べていけない、仕事にならない、という理由で
夢をあきらめていく人が多いと思っていて、
そういう人も、自分の「ご褒美」を感じられたら、
夢をあきらめずに続けられるんじゃないかな、と。
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うん、うん。
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ご褒美、大切だなー。
(後編へつづきます!)
『岩田さん』(ほぼ日ブックス)はこちら。


