ほぼ日ニュース

フレッシュな若手乗組員たちが
『岩田さん』を読んでみた。
(軽く落ち込んだりもした)【前編】

任天堂の元社長、
岩田聡さんのことばをまとめた『岩田さん』を、
比較的社歴の浅い若手乗組員たちが読んで、
あれこれ感想を言い合ってみましたよ。
参加したのはこの5人です。

ふみふみ
UXエンジニア。
社歴3ヶ月。27歳。
最近、アイスランドに興味がある

ひなひな
「CACUMA」などの商品開発担当。
社歴4年。26歳。
アンミカのモノマネを練習中。

まりさまりさ:
商品やページのデザイン担当。
社歴2年。28歳。
おみやげなどの包装を集めてしまうらしい。

なおなお:
ほぼ日の受付担当。
社歴6ヶ月。31歳。
休日は映画三昧とか。

アリサアリサ
管理部所属、いろいろ担当。
社歴3ヶ月。23歳。
この会の言い出しっぺ 。

 
【前編】
これは、自分に活かせる本だなと。
その結果‥‥ちょっと落ち込んだ。

アリサ
『岩田さん』という本が出て、
若手乗組員が読んでどう思ったのかを
語り合おうというミーティングです。
よろしくお願いします!

一同
よろしくお願いしますー。

アリサ
さっそくですが、
読んでみてみなさん、どうでしたか?

ひな
まりさちゃんの本が気持ちわるいでーす。

アリサ
え、うわあ!

まりさ
ごめんなさい、読んでいたら、
あちこちに付箋をつけたくなったんですけど、
手元に付箋がなかったので、
ページを折っていたらこんなことに‥‥。

アリサ
だとしても、こんな折り方あります?!
どういうこと? 折り紙?

まりさ
憶えておきたいことばが多すぎて、
紙の角でことばを示すようにしたら、
こんなことに‥‥。

ひな
気持ちわるいでーす。

まりさ
本の折り方はどうでもいいんです!
感想を言わせてください。
この本、わたしは、
わたしについて言ってるように感じたんです。
つまり、本がわたしに語りかけてくる!

ひな
気持ちわるいでーす。

まりさ
そうじゃなくて!

アリサ
続けて、続けて。

まりさ
この本のなかで、岩田さんは、
会社や組織について
たくさんのことを語ってらっしゃるんですけど、
それってそのまま規模を小さくして、
個人についてのことだとしても
すごく当てはまるなと思って。
たとえば、第一章のおわりに、
こんなことばがあります。

自分たちは、なにが得意なのか。
自分たちは、なにが苦手なのか。
それをちゃんとわかって、
自分たちの得意なことが活きるように、
苦手なことが表面化しないような方向へ
組織を導くのが経営だと思います。
  ──『岩田さん』P.41より

ふみ
これ、すごいですよね。

アリサ
「経営」ということを、
こんなにわかりやすく。

ひな
うん、うん。

まりさ
このことば、会社の経営だけじゃなく、
自分についてのことばだとしても
すごくしっくり来るんです。
「得意なことが活きるように、
 苦手なことが表面化しないように」。
自分自身のマネジメントというか。

ふみ
おーー、なるほど。

アリサ
その読み方、じつはわたしもしました。
これは、自分に活かせる本だなと。

まりさ
そうなんです。

アリサ
でも、その結果‥‥ちょっと落ち込んだ。
ああ、できてないことばっかりだ、と。

一同
(笑)

まりさ
わかるー。
ああ、だからできてないんだ、って。
ほとんどのところが、
自分に置き換えて読めるんですよ。

ふみ
ほかにはどんなところを
自分に置き換えて読みましたか?

まりさ
ここ、ここ!
すごく意識したいなと思って、
強くページを折りました!

ひな
本がかわいそう。

まりさ
それに関しては、すみません。

自分たちはなにが得意なんだっけ、
ということを自覚したうえで、
「なには、なにより優先なのか」を
はっきりさせること。
順番をつけること。
それが経営だとわたしは思います。
  ──『岩田さん』P.44より

アリサ
ああ、まさに、自分の仕事に役立つ。

まりさ
そうなんですよー。
これがうまくできてないから、
なんか、ずっと仕事を抱えたままで
たいへんだったり‥‥。

ひな
わかる。

ふみ
まさに、自分のマネジメント。

まりさ
とくにほぼ日って、「これをしろ」とかあまり
言われない会社じゃないですか。
だから、自分で決めなきゃいけない。
「あー、ここにこんなに時間かけてたら、
ほんとに大事なことがおろそかになる」って
思うことがわたしは多いから、
「なには、なにより優先なのか」っていうのは
ほんとうにためになりました。

ひな
たしかに、この会社は
自分で決めなきゃいけないことが多いですよね。
だからこの本はまず、
ほぼ日の乗組員におすすめです。

ふみ
せ、せまい。

まりさ
もうひとつ挙げていいですか。
あのね、「ご褒美」のところ。

アリサ
あー、ご褒美!

ふみ
あそこはすごく腑に落ちました。

人は、まずその対象に対して、
自分のエネルギーを注ぎ込むんですね。
時間だったり、労力だったり、お金だったり。
そして、注ぎ込んだら、注ぎ込んだ先から、
なにかしらの反応が返ってきて、
それが自分へのご褒美になる。
そういうときに、
自分が注ぎ込んだ苦労やエネルギーよりも、
ご褒美の方が大きいと感じたら、
人はそれをやめない。
だけど、帰ってきたご褒美に対して、
見返りが合わないと感じたときに、
人は挫折する。
  ──『岩田さん』P.81より

まりさ
これは前職での経験なんですけど、
わたしは上司からよく
「おまえは仕事が終わったあとの
快感やよろこびを知らないから
がんばれないんだよ」って言われてたんです。
そのときはよくわからなかったんですけど、
岩田さんのこの言い方だったら
すごくわかるなと思って。

アリサ
わたしもそこすごく考えさせられました。
だから、また落ち込んだ‥‥。

ふみ
読んで「わかる」タイプと、
読んで「落ち込む」タイプ(笑)。

アリサ
まりさちゃんはなんで前向きに吸収できるの?

まりさ
自分の体験と照らし合わせて
「なるほど」って思えるのが大きいかなあ。
たとえば、わたしは料理するのが好きなんですけど、
それってご褒美がすごくわかりやすいからだなって。
つくって、食べて、「美味しい!」。
だから続くんだなって。

アリサ
うん、うん。

ひな
それを仕事に置き換えると?

まりさ
だから、仕事のご褒美を、
どこに見つけたらいいのかは‥‥
うーーん、よくわからない。

一同
わからないよねー(笑)。

なお
それは、ずばり、お金では?

アリサ
わ、びっくりした。

なお
黙ってましたが、ずっといました。
お給料っていうのは、まさに、
わかりやすいご褒美ですよね?

まりさ
うん、それはそう。
でもなー、なんか、ちょっと‥‥。

なお
はい、違う気がしますね。
岩田さんが言ってるご褒美は。

ふみ
割り切ってそれをご褒美にするという
考え方もあるんでしょうけど。

アリサ
たしかに、ご褒美って、
人それぞれだしいろんな種類があるのかも。
たとえば、チームの人たちがよろこんだとか、
憧れの人と一緒に仕事ができた、とか。

まりさ
あー、たしかに、それはあるかも!
自分ひとりでは会えないような人と
一緒に仕事ができたりすると、
ものすごくやりがいを感じる。

なお
やっぱり精神的なご褒美が大切なのかな。

ふみ
思ったんですけど、ご褒美っていうと、
つい楽しいことを考えがちじゃないですか。
がんばったらこういういいことがある、みたいな。
でも、そういう単純なことじゃない気もして。
たとえば自分が嫌なことでも、
自分が楽しめるように、
嫌なことの中でも自分がたのしめるように
方向性を変えていく‥‥
そういう力を持てっていうことだと思うんですよね。

一同
おーーー。

ひな
前に糸井さんがみんなに話してくれた、
「さんまさんの掃除の話」って憶えてます?
さんまさんがお弟子さんの時代に
部屋の掃除をしていたら、
お師匠さん(笑福亭松之助)がやってきて、
「掃除はおもしろいか?」と訊く。
「おもしろくないです」ってさんまさんが言ったら、
お師匠さんが「そやろ」と。
「そやから、おもしろくするんや」と言ったという話。
これって、ご褒美の考え方じゃないかなと。

一同
おーーーーー。

アリサ
ひなさん、冴えてる。

ひな
えっへん。

ふみ
あ、「ご褒美回路」開いてる(笑)。

なお
開いてる、開いてる(笑)。

つまり、才能というのは、
「ご褒美を見つけられる能力」
のことなんじゃないだろうかと。
「なしとげること」よりも、
「なしとげたことに対して快感を感じられること」が
才能なんじゃないかと思うんですよね。
いってみれば、ご褒美を見つけられる、
「ご褒美発見回路」のようなものが開いている人。
  ──『岩田さん』P.82より

ふみ
わたしも「ご褒美」の話がすごく好きだったんですけど、
じつはわたしは仕事以外のことのほうが
しっくり来たんです。
たとえば、趣味で絵を描いたり、音楽をつくったり、
という活動をしている人は、
このことばから勇気をもらえるんじゃないかな、と。
というのは、仕事って、お給料をもらえるものだから、
やる意味が感じられやすいと思うんですけど、
仕事以外のことだと「なんでやるんだろ?」って
なりやすいと思うんですよ。
たとえその人が本当にやりたいことでも、
食べていけない、仕事にならない、という理由で
夢をあきらめていく人が多いと思っていて、
そういう人も、自分の「ご褒美」を感じられたら、
夢をあきらめずに続けられるんじゃないかな、と。

アリサ
うん、うん。

まりさ
ご褒美、大切だなー。

(後編へつづきます!)

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