ほぼ日ニュース

レ・ロマネスクTOBIさんが
TVドラマに。
そして‥‥あの名作舞台に!

こんにちは、ほぼ日の奥野です。

レ・ロマネスクTOBIさんが、
にわかに
役者活動を活発化させている模様です。

まず9月に深夜ドラマのゲストとして、
さらに秋からは舞台、
それも、あの世界的な名作に出演決定。

今わかっていることを、お伝えします。

びしょ濡れ探偵 水野羽衣

まずは、テレビドラマについて。

放送局は、今勢いのあるテレビ東京!

それにしてもTOBIさん、
地上波にじわじわ進出していますね。
このまま紅白歌合戦まで
駆け抜けていってほしいところです。

さて今回、出演されるのは、
現在、テレビ東京で水曜深夜に放映中、
大原櫻子さん主演の
「びしょ濡れ探偵 水野羽衣」です。

消息筋によると、このドラマの第11話
(9月11日深夜放送予定)に、
「詐欺師役」として出演するとのこと。

先日、撮影現場にお邪魔してきたので、
そのようすを、お伝えしますね。

撮影現場となったのは、
都内からクルマで1時間ほどの郊外に
どでーんとたたずむ、
ラブで「ピンク」な昭和のホテル。

さすがはTOBIさん、
どこまでも「ピンク」がついてくる。

われわれ取材陣が到着すると、
すでに
詐欺師の衣装に身を包んだTOBIさんが
すっかり詐欺師のような顔をして、
静かに目を閉じ、
精神を統一していました。

こちらの「控室」で。

うすぐらい‥‥天井にシャンデリア‥‥
アールヌーボー? アールデコ?
よくわからないけど‥‥そんな壁紙‥‥
ベッドはなぜだか、回転機能つき。

手前は、共演の俳優・芹澤興人さん。

今日のセリフをひとしきり反芻したのか、
おもむろに目をカッと開くや、
詐欺師を演じに、
現場へと続く階段を降りていきました。

リハとか、カメラの位置を決めるとか、
本番を待つ間、
見ているこっちがドキドキしています。

でもそこは、ふだんから
ステージ慣れをしているTOBIさん。

手練の名脇役のような、地蔵のような、
詐欺師のようなポーカーフェイス。

そして、よーい、スタート! カットォ! 
NGなし! セリフの言いまちがえなし!

でも、思い返せば、
ひどい目にばかり遭っていた在仏時代にも、
フランスの戦隊モノ
銃士戦隊フランスファイブ、という作品で
カマキリ怪人アゴニー役という
難しい役(?)を
怪演した経験をお持ちのTOBIさんでした。

詐欺師の演技も、お手のものだったのかも。

詐欺が成功したのか、ほくそ笑んでいます。

ちなみに動画配信サービス「Paravi」では、
全12話を独占先行配信しており、
さらにテレビ東京版とは異なる
もうひとつのエピソードが展開される
Paravi版も配信しています。

Paravi版では、詐欺師・鷺沼(=TOBIさん)の
「運命」が明らかになっているのだとか。
ここはひとつテレビ東京版・Paravi版の両方を、
見くらべてみてはいかがでしょうか。

撮影後、草野翔吾監督と記念撮影。

キャスティングのときに
「詐欺師役はこの人しかいない!」
と、TOBIさんに惚れ込んだ人。
この笑顔が物語るように、
とっても気さくな、いい方でした。

余談ですが、TOBIさん、
撮影後に警察に職務質問を受けて
鞄の中身をあらためられ、
「顔色がよく見える頬紅」という
ピンク色の粉が出てきて、
よけいにあやしまれたそうですよ。

放映は、このドラマの第11話です。
いまのところ、
9月11日(水)深夜25時35分から。

つまり、正確には
9月12日(木)深夜1時35分から。

ぜひとも、曜日をお間違えなきよう
おたのしみに!

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ドラマパラビ「びしょ濡れ探偵 水野羽衣」
11話ゲスト
テレビ東京
毎週水曜深夜1時35分
動画配信サービス「Paravi」にて配信
テレビ東京版とParavi版で
2種類のエンディングが楽しめます!
https://www.tv-tokyo.co.jp/bishonure/
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WEST SIDE STORY(‥‥って!)

さて、ドラマの次は「舞台」です。

それも、ななななんと、
世界的に有名なブロードウェイ・ミュージカル
「WEST SIDE STORY」です!

TOBIさん、マジですか。

ブロードウェイミュージカルの金字塔。
はじめての舞台が、
世界中にファンを持つ不朽の名作‥‥。

これは何かのまちがいじゃないかと、
ご本人も、何度も、
ホームページをたしかめたそうです。

もちろん、まちがいではありません。
名前載ってます。グラッドハンド役。

それも(たまたまだそうですが)、
ホームページでもパンフレットでも、
キャスト紹介の最後の最後、
通常は準主役や大物俳優が載る場所!

この8月からはじまる来日公演のあと、
シーズン3まで予定されている
「日本キャスト版」の、第1シーズン。

会場は、
豊洲のIHIステージアラウンド東京。

メタルマクベス見に行ったところだ。
香取慎吾さんが、
初個展を開催していたところですね。

あの、舞台がぐるぐる回転する会場。
回転づいてる、TOBIさん。

本年2019年11月6日(水)の初日から、
来年2020年1月13日(月・祝)までという
2ヶ月を超えるロングラン!

全78ステージ!
演出家はじめスタッフが本場アメリカの人!

聞けば、基本的に木曜日以外は毎日公演で、
1日2回公演の日もあるという‥‥。

本業のピンクのほうは、大丈夫ですかーー!

この舞台については、
稽古はこれからはじまるみたいなので、
また追って、
いろいろとお伝えしていきますね。
稽古場にも、取材に行ってみたいです。

ひとつ、グラッドハンドさんというのは、
ふたつの若者グループの抗争を
目の当たりにするって役柄なんですって。

ん? それ? 同じような経験してない?
今すぐ「ひどい目」第1話を読み返して!

以下は、役者業のための撮り下ろした
アー写(アーティスト写真)の未公開カット。

あ、鳥類だったんだ、と気づく1枚。

ちなみに最後に「未公開」っていえば‥‥で。

連載「レ・ロマネスクTOBIのひどい目」で、
あまりに脈絡がなく、
他のエピソードとの関連性もなかったため、
ボツになっていた部分が、
フランスでの役者業がらみのことだったので、
ここに、どうどうと、掲載しますね。

こういう経験があって、今があるんですね!
TOBIさん、あらためて、稀有な人です。

レ・ロマネスクTOBIのひどい目。
未公開原稿 file 007
殺人鬼イシロー。

TOBI
ある晩秋の昼下がり、知らない番号から、
とつぜん電話がかかってきたんですよ。
──
ええ。
TOBI
「こちらイングリッド。あなたトビー?」
と、切羽詰まったようすで。
──
はじまりますね。何かが。
TOBI
当時のフランスでは、
メールで仕事依頼が来ることは少なくて、
たまにメールで来たとしても、
そのメールに携帯の番号が書いてあって
「電話して」とだけあるんです。

で、電話をすると「会って話したい」と。
──
本題は、会うまでわからない?
TOBI
だいたいわからないことが多いです。
そのときも‥‥通話を再現しますと。
──
ええ。
TOBI
「もしもし、こちらトビー」
「日本人?」
「はい」
「今すぐ〇〇通りの何番地に来てほしい。
 入り口のデジコードはxxxx。
 30分以内でお願い。ガチャン!」
──
なんですか、それ。
TOBI
いや、ぼくだって、
なにがなにやらわからなかったんですが、
30分でということなので、
急いで着替えて指定の場所へ急ぎました。
──
それは、あちらの都合では‥‥。

でも、それだけの情報しかなくても
行ってしまうところが、
TOBIさんの、
いいところっていうか、何というか。
TOBI
現場に到着してみると、
うすぎたない会議室‥‥みたいな場所で、
映画のオーディション会場でした。

そこにはイングリッドなる女性はおらず、
ローランという若い映画監督と、
カメラを抱えたブルノーという助監督が
暇を持て余していました。
──
はあ。
TOBI
すると初めましての挨拶もそこそこに、
ローラン監督が
「お待ちしておりました。
 さっそくですが床を這ってください」
と言うんです。
──
床を? 初対面の人に? 這えと?
TOBI
そう、で、言われるがまま這ってみたら
「最高だ!
 まるで君のために用意したような役だ。
 主役に迎えたい」と絶賛されたんです。
──
さすがは、
大学の卒業試験会場まで這って行った人。
TOBI
必ずや、キミの当たり役、
キャリアを代表する作品になるはずだと。
──
最高の演技だったんですね。
TOBI
何でもアート系短編映画の主役で、
イメージ映像が続く構成、セリフはなし。

翌月にボルドーで3日間撮影をするから、
スケジュールを空けてほしい、と。
──
おお。
TOBI
それほど多くもなかったのですが、
ギャラの提示もあったし引き受けました。

別れ際に、1冊の台本を渡されたので、
帰りのメトロのなかで見てみると、
日本人のビル掃除夫で、役名はイシロー。
──
イシロー‥‥って、石郎?
TOBI
社会に対して不平不満が溜まっており、
顔色がひどく悪い。
下着泥棒の罪で何度か逮捕歴があると。

ある日、いつも自分をいじめる社長を
発作的に殺してしまうが、
それでも彼は笑みを絶やさず、
はじめての殺しではないように見える。
──
それが、あなたの当たり役。
TOBI
例の大西洋での漂流死寸前事件以来の
ボルドーだったんですが、
到着するや、今度は海とは反対方向の
山奥の工場のトイレへ連れて行かれ。
──
トイレ?
TOBI
そこがメインの撮影現場だったんです。

グレーの作業着に着替え、
顔色の悪い掃除夫イシローに扮すると、
スタッフから、
オオーと歓声があがりました。
──
イメージにピッタリだったんですね。
TOBI
まったく、うれしくありませんでした。

記念すべき最初のシーンは、
赤紫色の女性下着を股の間に押し付け、
ハァハァと言う場面でした。
──
はあ。ハァハァ。
TOBI
アート系ということで
照明や音響のつくりこみも時間をかけ、
午前中いっぱいをかけて
入念なリハーサルが、ようやく終わり。
──
冬場の、凍てつくトイレで‥‥。
TOBI
午後は夜の8時までハァハァしました。

遠ざかる意識の中、
遠い異国で何やってるんだろう‥‥と、
演技を続けていると、
疲れ果てているだけなのに絶賛される。
──
そのくたびれた感じが最高! ‥‥と。
TOBI
翌日は、トイレで社長を鈍器で殴って、
ハァハァ。
証拠隠滅のために床に這いつくばって、
ハァハァ。

結局、最初から最後まで
底冷えするトイレに床に這いつくばり、
ハァハァするだけでした。
──
難解‥‥。
ちなみにその作品、完成したんですか。
TOBI
さあ‥‥その後のことはわかりません。

たったひとつシーンに
あれだけ時間をかけていたってことは、
もしかしたらまだ撮影中なのかも‥‥。

<終わります>

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