カロリーメイツ、雑誌「Hanako」で京都を食べる、の巻。後編
こんにちは、ほぼ日のシブヤです。
前編につづき、
ほぼ日の食いしん坊3人組シブヤシブヤシブヤカロリーメイツが
雑誌「Hanako」の取材で
京都のおいしいものをどんなふうに食べたかを
記していきたいと思います。
くわしくは2017年9月7日発売の
Hanako「ひみつの京都。」特集号
どうぞごらんください。

前回は、朝ごはんから午前中のおやつのようすを
お伝えしました。
お読みくださった方は、
もはや気持ちが「イッパイイッパイ」かもしれません。
でもここからが本番です。

6軒目 プチレストラン ないとう

ここで、私たちが心待ちにしていたお昼ごはんタイムです。
京都はパン王国、コーヒー王国、洋食王国。
洋食屋さんがとても多いのです。


▲ランチをいただきます。

京都の数ある洋食屋さんのなかで
Hanako編集部さんと私たちが選んだのは、
ここ、プチレストラン ないとうです。


▲ランチには前菜とサラダ、
 デザートがつきます。



▲我々がオーダーしたランチ。
 ひれかつ、えびとかにのクリームコロッケ、
 ハンバーグが盛り合わせになっています。



▲ああ、どういう順番で食べようかしら!

これは典型的な、しあわせが約束されたお皿(註6)です。
盛り合わせ料理が奏でる、皿上の花いちもんめ。
ハンバーグから行くか、とんかつから行くか。
デミグラスソースをどこまでからめるか。
ごはんを頬張るタイミングは。
すぐさま味噌汁をぐいっと行くか。

このランチを食べるあいだ、
3人とも、かなり集中していたと思います。
誰も聞いていないのに、
「おいしい」「やわらかい」「なにこれ」
「香ばしい」「クリームなくない?」「悲しい」
という言葉を発していました。
最後の「悲しい」はもちろん、
もう食べ終わりそうで「悲しい」です。
クリームコロッケは、
クリームが見あたらないほどに具だくさんでした。


▲こちらはデザート。
 プリンは甘さ控えめ、ほろにが味。



▲むろん完食です。

宝皿
  しあわせパニック
       まだ足りない

カロリーメイツ、
いろいろなものがお皿にのった洋食を、
興奮状態で食べちゃったけど、
できればずっとこのまま幸せパニックでいたい、
という貪欲な句。

とんかつがシルキーで
最後のひと切れを食べる前に落涙しそうになりました。
ごちそうさまでした!

プチレストラン ないとうで、
食後にデザートが出た気がしなくもないですが、
食後のデザートを食べに向かいます。

7軒目 市川屋珈琲

パン王国京都が
もっとも得意とするメニューはおそらく、
フルーツサンドでありましょう。
ちなみにスガノの高校時代は
四条大宮のヤオイソに通い詰めでした。
京都にはフルーツサンドの名店がいくつもあります。

でも今日は、市川屋珈琲に向かいます。
なぜなら、ほぼ日のおしゃれ経理、
京都大学出身の田路くんが、
今回の候補のお店の中で、
唯一知っている店だったからです。
たったそれだけの情報で
「気になる(註7)」と思ってしまいましたが、
それは大正解でした。


▲おしゃれ経理情報とHanako編集部の方の推薦により、
 市川屋珈琲に吸い込まれます。

ここのフルーツサンドは、
季節によって具材が替わります。
この日は桃のフルーツサンドでした。
フルーツサンドが売り切れている場合もあるので、
遅めの時間に行く場合は確認が必要です。


▲フルーツサンドを待つ我ら。
 パンも好きだしフルーツも好きだし、
 フルーツサンドはもっと好き。


でもね、桃ですよ。
桃のフルーツサンドってどうだろう?
パンと取り合わせて食べることを考えると、
桃だけって、味が少々さみしくないですか?
と私は思っておりました。


▲来ました、桃のフルーツサンド。


▲いただきまーす。

ぱくっ!
「‥‥‥‥!!」
ドンドンドンドン(3人、机を叩くポーズ))。
ザー(もものジューシーさが口に広がる音)。
ドンドンドンドン(3人、机を叩くポーズ)。

まずは桃が、厚切りでみずみずしいんです。
グッと歯を入れるとパッと水になるくらいの
みずみずしさです。
それでいて、味も香りも濃厚です。

それから、不思議なことに、
パンもみずみずしいんですよ。
サンドイッチなのに、水分がしみてなくて、
かといってパサパサではなく、やわらかでシルキーで、
しつこくないのに、食べたらふわっとなくなるんです!

それをかなえているのが、
両者のあいだにたちはだかる生クリームです。
これがしつこくなくて、
桃とパンのじゃまをせず、
お互いの水分のバリアーの役目をしていて、
さらに、生クリームじたいがうまい。

どうだ、という感じでした。いや、まいりました。
コーヒーももちろんおいしかった。来てよかった。


▲あっといまに完食。うまかった。

みずみずし
   ふたつをつなぐ
        裏番クリーム

カロリーメイツ、
パンと桃が独立したみずみずしさを持ち、
それを叶えてなおおいしい生クリームを感嘆する、の句。

京都のフルーツサンドのレベルを思い知りました。
ほかの店のフルーツサンドも食べたくなっちゃった。
でもここで、我らはあんこを食べに踵を返し二寧坂へ。


▲清水寺の近くまで行きます。

8軒目 かさぎ屋

京都の観光地、どまんなかにある甘味処です。
場所もこんなにゴールデンなのに、
お味もゴールデンとはこれいかに?


▲かさぎ屋に吸い込まれます。


▲ジャンボはぜったい氷が食べたいと言い、
 宇治氷をオーダーしました。



▲シブヤは、暑い日にぴったりの
 つめたいしるこセーキを。



▲スガノはおはぎを。


▲Hanako編集部の方は亀山を。
 通のオーダーです。


じつは私スガノ、ここはすでに知っているお店でした。
しかし、通っていたのは高校時代、
食したのはもっぱらかき氷でした。
もちろん、かき氷もおいしいのですが、
このお店のつぶあんの、
きわだったおいしさを知らなかったのです。
つぶをモグッと噛んだ瞬間に、
背筋がグイッと伸びる印象深さ。
いつものように公転食べ(註8)をした我々、
思わず3人で顔を見合わせました。


▲いやぁ、おいしかった。

会っちゃった
  つぶあん衝撃
     目を合わす

カロリーメイツ、
なぜHanako編集部の方が無言で亀山を頼んだのかを
一瞬で悟る、の句。

あんのつぶだちと噛みごたえ(つまり煮方)、
甘さが絶妙でした。
また高校時代に戻って通いつめたいです。
つぶあんのおいしさは、亀山を注文しなくとも、
私が注文したおはぎでも充分味わえますよ。

だめだ、おいしいものが多すぎる。
欲望が、
と・ま・ら・な・い!
と・ま・ら・な・い!

と、路地をスキップして最後にたどり着いたお店は、
和牛炭焼きサンドを出すお店でした。
そうだ、関西全体、牛肉もおいしいんだった。

9軒目 酒処てらやま

開店前のお店にお許しを得て入れてもらい、
和牛炭焼きサンドウィッチをいただくことに。
(ふだんはお酒の席の、〆で召しあがる方が多いそうです)
この日すでに予約がいっぱいとのことでしたので、
行きたい方はぜひ前もってお問い合わせを。

ここの炭焼きサンドウィッチは、
目の前で、おかみさんが
牛をパチパチの炭火であぶり、
パンを焼いてくれるのです。


▲炭火でトースト。ぷーんといい香り。

その煙りたつトーストに、
タマネギ入りの赤いペーストを塗り込んで、
あぶった肉をはさみ、香ばしい音を立てながら切る。
おかみさんの作業の一部始終を眺めて、
目の前にお料理がやってくるまでの時間を存分に
「うん、うん」「うん、うん」と
たのしむことができます。最高の時間です。


▲期待で胸が張り裂けそう。


▲じゃーん、和牛炭焼きサンド(切り落とした耳つき)。


▲ああ、まちがいないよね、うん、まちがいないよ。


▲完食です。

「そうだよね」
   手順に向かって
      いちいち納得

カロリーメイツ、
和牛サンドの製造過程を見て食べて、
うなずく回数が半端なかった、の句。
肉っておいしい。

いろいろなおいしさでおなかが満ちて、
ここは天国だろうかと思いながら
思い上がった表情で歩いていると、
Hanako編集部の方が
「おいしいモカソフトの店があるんですけど寄ります?」
と言うではありませんか。
3人そろって「気になる!」と
叫ぶしかありません。

10軒目 Unir


▲コーヒー屋さんなのですが。

ここは京都の長岡京市に本店を持つ
スペシャリティコーヒーのお店。
我ながら何回デザートを食べる気なのかわかりませんが、
調子に乗って吸い込まれた(註9)しだいです。


▲こうやって持った直後に。


▲10秒ぐらいで消えてしまった。

なめらか王
   モカのアイスは
        思い出に

カロリーメイツ、
ソフトクリームを一瞬で消えさせてしまったので
もういちど思い出すのに苦労する、の句。
ソフトクリームがとてもなめらかで驚きました。
また、ジャンボは幼いころ、
家族で出かける喫茶店のメニューにモカソフトがあって、
思い出の味だと強く主張するので
ダブルの意味で句に入れ込みました。

11軒目 髙島屋デパ地下

私たちにコロッケを教えた糸井重里が
もうひとつ私たちにおすすめしてくれたのが、
四条河原町にあるデパート「髙島屋」の地下の
食品売り場です。
野菜、スイーツ、お惣菜、ジュース、肉、
いろいろ集まっています。
松屋銀座の地下を思いきり探検させていただいたときに
感じたのですが、
デパートの地下というのは、
食品担当の方々の目利きの力が結集したところです。
限られたスペースに、
「うちはこれですよ!」と表現するような、
厳選されたお店がぎっしり並んでいます。
だから周遊が、とてもたのしい。
あちこち寄って、買い込んじゃいます。
糸井のおすすめは、串かつ、チヂミ、生ジュース。
テンションが加速し、ほかに、
昆布の佃煮やさつま揚げ、お好み焼きも買いました。
これらはテイクアウトしますよ。
(でもおみやげではないの)

12軒目 いづ重


▲八坂神社周辺まで跳ねるように移動。

最後にたどり着いたのは、そう、
鯖寿司のお店でした。

京都はなぜ、鯖寿司がおいしいことで
知られているのでしょうか。
京都の料理人さんが昆布を使うのが得意だから? 
保存食だから? 
というような知識しか私にはありません。

数ある名店のなかから、
Hanako編集部さんのおすすめを訊けば、
「それはいづ重です」との答え。
おお、そのお店のは食べたことない! 行ってみたい! 
いづ重はお店でお寿司を食べることもできますが、
今日はテイクアウトします。

鯖寿司は当然買うとしまして、
もうひとつ選びたくなってしまい、
3人でああだこうだもめて購入したのがこちら。


▲宝箱のような上箱寿司。


▲イートインなら柚子ビールなんてのもあるね。
 飲みたいけど、また来ればいっか(註10)



▲酢飯のにおいを嗅いでいるだけでしあわせな顔に。
 早く食べたいね。


さて。
今日一日、私たちはたくさんのものを食べました。
でも、昼食後を振り返ってみてください。
甘味処で公転食べをしたものの、
いろんなものをシェアすることで、
実は調整しておりました。
そうです、おなかにはまだ余裕がございます。

これから、デパ地下やお寿司屋さんで買った
すばらしいものたちを鴨川へ運び、
川べりにピクニックシートを敷いて、
リバーサイドイブニングパーティーを開くのです。
パラダイスは続きますよ。


▲京を流れる鴨川、河川敷。


▲ここに、買ってきたすばらしいものたちを並べます。


▲串かつ、チヂミ、お好み焼き、さつまあげ、箱寿司、
 そして、鯖寿司まるまる一本。
 みんな宝石のように光り輝いています。



▲Hanakoのカメラマンさんも
 「まだ食うのか」と内心思ってらっしゃるでしょう。



▲「いただきまーす」やっほー。
 (撮影 内藤貞保さん スガノのiPhoneで)


夕暮れの風に吹かれ、川の流れる音を聞きながら、
低い山々に囲まれた広い空を見上げて、
「自分たちで選んで買った、いろんな味のおいしいもの」を
食べるなんて。


▲みんなが食べ終わったあと、
 最後の鯖寿司ひと切れを自慢げに食べるジャンボ。



▲京都、ごちそうさまでした。

河原での
  天国みたいなピクニック
           古都は歴史を
               塗り替えてくよ

カロリーメイツ、
「改めて、京都はすごい」と
絞りだすように唸った、の句。

このあと私たちは、京都のふるさとである
TOBICHI京都に立ち寄り、
限定トートバッグなどを買い求め、
今日一日、どれだけのおいしいものに出会ったか、
京都がどれだけすごい街なのか、
仲間にいやというほど語ったのでした。


▲京都TOBICHIのビルの前で。


▲しあわせ気分が隠せない。

京都はすごい場所だとは思っていましたし、
私なんて出身地でもありますから、
充分知っている気分になっておりました。
しかし、京都の進化はすごいです。
もともとすごいのに、まだまだすごい。


▲いい一日だったなぁ。

この京都の旅は、事前に、
Hanako編集部の阿部さんと山本さん、
雑誌「&Premium」で「&Kyoto」を連載中の
大和まこさんが、おいしいお店を
わんさか教えてくださいました。
そのお力がなければ、このルートは決して編み出せず、
Hanakoならびにマガジンハウスのみなさんの
おいしいものにかける情熱を感じ、尊敬をおぼえました。
また、ごいっしょしたい。
おいしいもので、ごいっしょしたいです。
世界はまだ食べたことのないもので満ちている(註11)

9月7日発売の「Hanako」京都特集号は、
ほかにもたくさん、京都のすばらしいところが
紹介されています。
糸井重里のコメントも、カロリーメイツの今回の旅も、
すてきな写真とくわしい情報つきで掲載されています。
ぜひ、本屋さんかネット書店でごらんになってください。



カロリーメイツ、
京都Hanakoの旅も、完食です(註12)

(おしまいです、ありがとうございました!)


カロリーメイツ用語集

註6 しあわせが約束されたお皿
おいしいものは見ただけでわかります。
好物が盛り合わせてあって、あつあつで、
おいしい香りがして、ああこれから、
自分はこれを食べるんだ! という喜びに満ちた言葉。
註7 気になる(=食べる)
誰かに提案されたり何かを見たりしたときに、
つい口走るひとこと「気になる」は、
じつは「食べる」の決定の意味。
ひとりが「気になる」と言った場合には例外なく
全員が同意するので、つまりは食べるということになる。
註8 公転食べ
3人それぞれに注文した品を、
ほかの人にも分けたいし、それ以上に、食べたい。
そこで、各々の惑星がぐるっと太陽をまわるように、
静かに公転させてまわし食べする。
註9 吸い込まれる
店に入る、の意。
店の戸口に仲間が自然と吸引されるように見えることから
こう言う。
註10 また来ればいっか
とめどなく出てくる欲望に対し、
自分たちに言い聞かせるように告げる
あきらめの言葉。
当然、そうかんたんに来られないところでは言いません。
註11 世界はまだ食べたことのないもので満ちている
またここに来たいし、また食べたいし、
なんだったら別のところに食べに出かけよう、の意。
註12 完食です
おいしいものに出会ったとき、最後に言う、しめの言葉。



2017-09-07-THU