三陸鉄道「てをつな号」ラストランに乗りに行って来ました!
こんにちは、ほぼ日の(奥野)です。

突然ですが「てをつなごう だいさくせん」
という大作戦を、ごぞんじでしょうか。

これ、見ていただければ「いっぱつ」で
どんな作戦だかわかるのですが‥‥こちらです。


※クリックすると拡大します。


お、おお‥‥!

ドラえもんが、ピカチュウが、スヌーピーが、
きかんしゃトーマスが、どーもくんが、
ピングーが、エルモが、
ミッフィーが、ブースカが、こまちゃんが、
しまじろうが、ペネロペが、チェブラーシカが、
その他大勢の「おともだち」が‥‥手をつないでる!

すごい!

わたくし、すっかり大人の36歳・男ですけど
この光景には
まったくウキウキしてしまいました。

名前まで知ってる「おともだち」が
半分以上いますし、
「見たことある」というだけなら、
もう、ほとんどぜんぶ、見たことあります。

この、なんともうれしくなっちゃう
「だいさくせん」は、
アニメーション作家の合田経郎さんが
東日本大震災の直後、
「こどもたちに えがおを」という思いのもと、
これら「おともだち」に
ひとりひとり、声をかけて実現したもの。
(合田さんは
 どーもくんの生みの親でもあります)


おともだちが横に一直線にならぶと、ごらんのような状態。
※クリックすると拡大します。


もちろん、はじめから
こんなにたくさん集まったわけではなくて、
それぞれの「おともだち」に
「ぜひ、手をつないでください」とお願いしたそう。

「最初は、リラックマやミッフィーが
 うちのどーもや
 こまちゃんと、手をつないでくれました。
 そこから少しずつ、
 おともだちがふえていったんです」
(合田さん)

それでも「2011年の3月23日」すなわち
震災から2週間も経っていない時点で
18にんもの「おともだち」の手と手がつながれ、
いまではその数、なんと「51にん」!

この「てをつなごう画像」は
新しい「おともだち」がふえるたびごとに
更新されていきました。

そして、画像は誰でも無料でダウンロードでき、
たとえば避難所など、
子どもたちの集まる場所へ、貼られたそうです。

こちらのページでダウンロードできます)

そんな「場所」のひとつに
岩手県の久慈から宮古を結んでいるローカル線、
「三陸鉄道北リアス線」があります。

津波の影響で、いまだ一部が不通なのですが、
この路線に、つい先日まで
車体に「だいさくせん」のみんなを描いた
「てをつな号」が、走っていたんです。


これが三陸鉄道北リアス線の「てをつな号」だ!
(記念のポストカードより)


この「てをつな号」、
当初は「半年」の予定で走りはじめたのですが
継続を望む声にこたえて
先月末までの1年間、
三陸の海岸線沿いを走っていました。

そして、最終日の3月31日(日)に
鉄道の終点・久慈駅で
さよならセレモニーが行われたのです。

このことを知ったとき「あ、行ってこよ!」と
気軽に決めてしまったのですが
日帰りで行って帰ってくるためには
片道8時間もの列車の旅‥‥が待っていました。

そのてん末を、レポートいたしますね。

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

まずは、東京駅から新幹線で「八戸」まで。

八戸は、よく行く気仙沼よりも、北です。

お昼の12時に、岩手の「久慈駅」でおこなわれる
セレモニーに間に合いたいので、
いつもより少しはやい
6時32分発「はやぶさ1号」に乗りました。


乗り込んだの「はやぶさ1号」です。いかにも速そうなお名前。

お弁当を食べたり、読みかけの小説を読んだり、
3DSをプレイしたり、寝たりしていたら、
いつのまにやら八戸到着。

東京駅から、3時間かからないくらいでした。
この時点で、自宅を出てから約4時間。

ちなみに、まとまった時間のとれる新幹線の車中は、
有意義に過ごすもよし、
ぼんやりするもよしで、好きであります。


3DSでは、ちょっと前に出た「ドラクエ7」をやりこむ。
おかげでだいぶ「熟練度」がアップ。(よくわからないかた、すみません)


乗り換えまでに1時間くらいあったので
駅の外に出て、はじめての八戸を歩いてみました。

そしたら、3月末とはいえ‥‥けっこう寒かった!
あわててコンビニで手袋とホッカイロをゲット。

駅のまわりを歩きまわり、スーパーなどに入って
これからはじまる
約2時間のローカル線の旅に備え、
旅のお供(チョコあ~んぱん等)を買ったりなど。

そんなことしてたら、あっという間に電車の時間。
JR八戸線の切符売り場へ向かいます。

ええと、2番線2番線‥‥あったあった。



2番線から、10時13分発の普通列車に乗れば
セレモニーの行われる久慈駅には
ちょうど、おひるの12時着。ギリギリ間に合う!

自宅を出てから、すでに5時間。
あと2時間でやっと着く‥‥とか思いながら
ふと、うしろを振り返ると‥‥。



ワオ! 1番線は「サメ行き」の普通列車!

話には聞いていたけど、この路線にあったのか‥‥。
いち鮫ファン(なのです)として、けっこう感動。

(唐突ですが
 日本一のサメ博士に取材させていただいた
 コンテンツは、こちらです)


JR八戸線、10時13分発の久慈行き普通列車。車内の暖房で息を吹き返す。

気を取り直しまして、八戸線へ乗り込みます。
2両編成で、なつかしい感じの色あい。

予定では、
ちょうど終点の久慈駅へ到着する時間に
「てをつな号」ラストランのセレモニーが
はじまります。

うとうとしたり、考えごとをしたり
途中、鮫駅を通過したような気もしたりしつつ
空いてきたお腹をチョコレート菓子でごまかしながら、
ガタゴトとローカル線に揺れました。

そ・し・て! 2時間後、久慈駅到着!


久慈駅の目の前に建つ駅前デパート。あじわい深い!

はじめての久慈駅の周辺を散策するヒマもなく
セレモニーがはじまっちゃうので、
いそいでJRの改札を抜け、三陸鉄道の駅舎へ。


お、あれに見えるは‥‥。

あ、すでに、けっこう集まってる!

遠くて誰だかいまいちわかりませんが
「おともだち」もいるみたい。

ちょっと焦りながら階段を降りてみると
ちいさなホームには、
ちいさな子どもたちをはじめ
比較的おおきな大人たちも入り混じって
もんのすごい人だかり!

みんな、ラストランを見に来たんだねー。



あのう、ちょっと前のかた、すみません。

写真を撮りたいので
ちょっと、あたまをどけてくださいま‥‥。



おわっと、これは、ブーフさんでしたか!
失礼しました!
(わざとらしいですね、すみません)

他にも、しまじろうくんや‥‥。



バーバーパパさん‥‥。



人波に埋もれた、リラックマちゃん‥‥。



背が低いために
うまく写真に撮ることができなかったのですが、
カピバラさんもいたようです。

総勢「5にん」の「おともだち」が
「てをつな号」のさよならセレモニーのために
集まってくれていたのでした。

で、肝心の車両なのですが‥‥
見物客が多すぎて、全貌がまるで掴めない状態。



どうにか車体全体の写真を撮りたいと
動きまわっているうちに、
「てをつな号」のさよならセレモニーが
はじまりました。

三陸鉄道北リアス線の社長さんのあいさつのあと、
大作戦をはじめた合田さんが、マイクの前へ。



「あの震災が起こったたとき
 キャラクターをつくるぼくたちに
 何かできることはあるだろうか、
 何かできることがあるんじゃないかと思って
 はじめたのが、この『てをつなごう』でした。
 でもやっぱり最初は、そんなことできるのか、
 ぜんぜんわかりませんでした。
 でも、みんなでちからを合わせたら、
 なんとかなるもんだなあって思いました」
(合田さん)

そして最後に「おともだち」と子どもたちが
いっしょになって、記念写真をパチリ。

みんな、うれしそうだし、こっちもうれしい。

大人になってキャラクターを前にすると
なぜだか少し「照れ」が出ちゃうんですけど、
手放しで、心から、
こんなに楽しそうにしてるちびっ子たちって
やっぱり、いいなあ、うらやましいやと。



わいわいした時間もつかのま、
「てをつな号」の出発時刻が迫って来ました。

せっかく来たので、ラストランを見送るのではなく、
ラストランに乗ってみることにしました。

三陸鉄道北リアス線は、津波による被害のために
現在でも一部が不通となっています。



本来であれば
久慈駅から出発した列車の終点は、宮古駅。
でも今は、途中の田野畑という駅までしか
運行していません。

そこで、田野畑駅までのきっぷを買って
最後の『てをつな号』に乗り込みました。

しまじろうくんたちに手を振り、久慈駅を出発。



三陸の海岸線を沿うように走る
三陸鉄道北リアス線ですが
途中には
峡谷のような場所や長いトンネル‥‥みたいな
箇所もありました。

そんな、わりと険しめなところも
力強く、ぐんぐん走る『てをつな号』の車内には、
「だいさくせん」に関係する掲示物が
たくさん貼り出されています。

ぜんぶの「おともだち」の、なまえと顔、とか。



このプロジェクトに共感して
「てをつなごう。」という歌をつくった
槇原敬之さんからのメッセージや‥‥。



すごーい!

ミッフィーの作者、
ディック・ブルーナさんからのメッセージもある!



けっこうな長旅だったけど、
こんなに電車ばっかり乗ったこともなかったけど、
こうして
ラストランに乗ることができて、よかったなあ。

記念のポストカードもしっかり手に入れまして、
わたくし、たいへん満足しました。

さぁて、田野畑駅に着いたら、東京へ帰るぞ。
また8時間くらいかけて。

‥‥と、そのとき。



あれ? あそこでスタンバイしてる人って‥‥。



「おともだち」じゃ、ない‥‥です‥‥よね?



なんと、ナマハゲさんでした!

すごい、この電車、
車内サービスでナマハゲが出るのか‥‥。
おもしろいぞ、三陸鉄道北リアス線!
(岩手県では「なもみ」と呼ばれているそうです。
 岩手の読者の方から教えていただきました。)


みなさんも、東北方面へ行く機会があったら
足を伸ばして乗ってみてはいかがしょうか。

(ちなみに久慈市って、
 現在、放映中のNHK朝の連続テレビ小説
 『あまちゃん』の主なロケ地だそうで
 三陸鉄道をモデルにした鉄道会社も
 出てくるんだそうです)

しかし最後の最後に
こんなサプライズが待ってるなんて。

ナマハゲを見るのは初めてだったんですが、
ファーストコンタクトが
まさかの「電車の中」になるとは‥‥。

あらためて、
今回のラストラン、来てよかったです。

静かな山あいの田野畑駅で
万感の思いを、そっと胸にしまいこみました。
(おおげさ)

さあ、田野畑駅に着いたので、東京へ帰ろう。
また8時間くらいかけて。


ひとけの少ない折り返し駅の田野畑駅にて全貌を撮影することに成功。


あ、列車の「てをつな号」はさよならですが
「てをつなごう だいさくせん」は
これからも、まだまだ続いていくそうですよ。

<おしまい>

槇原敬之さんが歌う「てをつなごう」ムービー

2013-04-16 TUE