第7回 株式会社ナカハタ
糸井 へぇ、会社、つくるんだ? 新しく?
仲畑 そう。新会社。
電通といっしょにつくる新しい会社。
糸井 会社名は?
仲畑 「株式会社ナカハタ」。
糸井 へぇ(笑)。

仲畑 カタカナで、4文字。「ナカハタ」。
わかりやすいでしょ?
糸井 いつごろスタートするの?
仲畑 だいたい9月ごろだね。
糸井 何人ぐらいの会社?
仲畑 おれと、ほかに3人。
コピーライターばっかり3人。
糸井 コピーライターばっかり?
仲畑 うん。
ひとりは、ワイデン&ケネディにいた。
それと、元サンアドにいた。
もうひとりは、博報堂にいて、
いまフリーになってる。
みんな、すごくいいよ。
ほんと、いい子ばっかり。
糸井 つまり、選りすぐりのメンバー。
いいコピーライターを集めた会社だね。
仲畑 けっきょくね、ひとりになっても
フリーでやっていける連中じゃないと。
糸井 そういう人を、固めちゃったのね。
その3人プラス仲畑くんの4人?
仲畑 あとは、進行管理のデスクがひとり。
だから、いまのところ、全部で5人か。
糸井 ほぼ、コピーライターばかりの会社か。
ふつうにはあんまりない形の会社だね。
でも、個人的には、すごく共感できる。

仲畑 あ、そう?
糸井 だってね、いくら仕事ができるといっても、
それぞれがフリーで、
別々に4人いてもおもしろくないでしょ。
仲畑 うん。
糸井 それは、たしかなのよ。
とくに、メディアが変化してて、
何がどこでどう花開くかわからない時代は、
できる子がひとりでいることよりも、
「優秀な話し相手がいる」っていう環境のほうが
よっぽど重要なんだ。
仲畑 そう、そうなんだよ。
糸井 だから、これは、そういう会社でしょ?
少なくとも、解説者としては、
この会社にそういう期待をしますね。
仲畑 仕事が発生したらね、
たぶん、その仕事を、4人全員で眺めて、
誰がどう担当するかっていう
会議をやると思うんだ。

糸井 それ、それ(笑)。
仲畑 仕事を前に、4人でじーっと見て
「どうする」っていうのやるわけ。
それが重要なのよ。
つくるのなんて、もう簡単でさ。
糸井 まったく同感ですよ。
仲畑 あ、そう(笑)?
糸井 そういうことが、たぶん
おもしろくてやりたいんだろうな、と思った。
で「お前やる?」とか。
仲畑 集めた4人はね、発想の角度が、
ちょっとずつ、みんな違うんだよ。
それが、いいわけ。
じゃないと、何人いてもしょうがないからさ。
たとえば、おれが糸井くんと
ずっとつき合ってるのもそういうことなんだ。
糸井 そうだね。
仲畑 全然違うじゃん、タイプが。
だから、話し相手としてはいいわけよ。
必ず、違う考えが混ざるからさ。
それはね、ありがたいことだよ。
異論を「ああ、いいもんだな」と
思えるようになるには時の力がいるけど、
それを早くやれたら得だよ。ほんとに。
異論というものが、反対意見じゃなくて、
自分にとって「すごくいい」というふうに
感じられたとすれば、すごくラクになる。

糸井 なんか、おれ、わかったわ。
2割くらい失敗する可能性もあるけど、
8割成功するわ、この会社。
たぶん大丈夫だと思う、ないもんそういう会社。
たぶん、どんどん人増えるよ、ここ。
仲畑 そやろか。
糸井 だって、ふつうに考えて、
できるクリエイター何人かに相談するのって
そうとうめんどくさいもの。
だけど、この形の会社に持ってくれば、
どんどんいろんな角度から眺めてくれるわけで。

仲畑 うん、心あるクライアントは、
ほんとにちゃんとしたことを
聞きたがってるからね。
まあ、その心あるクライアントって
多くはないんだけど、それでも、
いい仕事ができる場はあるということだから。
糸井 ちっちゃいサイズで、
ボルテージの高い人が集まってる会社だね。
へー、そっか、そっか。
じゃあ、これから、忙しくなるじゃん。
仲畑 ちゃんとやるとね。
糸井 まわりの人たちは、仲畑くんに
ちゃんとやらせようとしてるんでしょ?
仲畑 そうなんだろうかね。
この新しい会社って、おれのマンションから
50歩くらいのところにあるんだよ。
「なんか近すぎるぞ」って言ったら、
「じゃないと来ないじゃないですか」
って言ってた。
みんな、ちゃんと知ってるんだよね。
糸井 おれも、そう思うし(笑)。
けっこうちゃんとした用事もあったじゃない。
遊びに行くよ、動き出したら。
仲畑 インベーダーはないよ(笑)。

  (仲畑さんとのお話は今回で終わりです。
 どうもありがとうございました)
2008-09-01-MON