
ほぼ日に「雑草部」ができました。
糸井重里が雑草に興味を持ち始めたことを
きっかけに、雑草好きのメンバーが集まり、
雑草にまつわるいろんなことを、
みんなで自由にやってみることにしました。
屋上のプランターで雑草を育ててみたり、
各地で観察したり、ときには実験をしたり。
いろんなかたちで雑草とつき合いながら、
雑草に学んでいけたらと思っています。
みなさんは雑草、お好きですか?
いっしょに楽しんでいただけたらうれしいです。
ほぼ日雑草部、部長の
です。
「雑草部やろう!」
雑草の魅力を知った糸井重里のひと言から、
ほぼ日雑草部がはじまりました。
きっかけは、ほぼ日の學校に来てくださった雑草の先生、
静岡大学・農学博士の稲垣栄洋さんのお話。
雑草の生き方を知ると、
「あぁ、こういう生き方もあるんだな」
とはげまされました。
自分が生きやすい環境になるまで、
何年でも発芽のタイミングを待ちつづける。
環境が自分と合うときを見計らって
一気に成長する。
ふまれる場所にいるならば、
ふまれてもいいようにわざと背を低くする。
自分をだれかと比べるのではなくて、
自分らしさが活きる場所や過ごし方を
探しつづけ、その場所でオンリーワンの
輝きを放っている。
そんな雑草の生き方に、 わたしたちが
学べることは山ほどありそうです。
部員は、ほぼ日乗組員の![]()
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そしてわたし、
。
稲垣先生に糸井重里、そして樹木医の瀬尾一樹さんにも
相談をさせていただきつつすすめていく予定です。
本業や雑草に関する知識の深さはそれぞれですが、
それもまた雑草部らしいところです。
発足記念には、おそろいのパーカーをつくりました。
雑草のように、気負わず、
のんびり楽しめる部活にしていきますので、
どうぞ、よろしくおねがいします!


雑草部の植物大好きっ子
いわく、
雑草を見るときに「科」がわかると
共通点が見つけやすくなって、
おもしろいらしい。
でもいきなり雑草の「科」を覚えようといわれても、
ちょっと難しいですよね。
そこで今回は
植物ガイドの瀬尾一樹さんと
スーパーマーケットに行き、野菜を見ながら
いろんな科について勉強することにしました!
「ぺんぺん草とブロッコリーは同じアブラナ科」
とわかると、
いろんな雑草の「科」が覚えやすくなるような
気がしたからです。
暮らしにものすごく役立つわけじゃないけど、
誰かにちょっと言いたくなる豆知識も
たくさん教えてもらいましたよ。
マニアックなお買い物の、はじまりです!
- メロン
- まずは野菜といえば、の
アブラナ科からいきたいのですが、
アブラナ科でメジャーな雑草は
ぺんぺん草とも呼ばれる、ナズナですね。
- せお
- はい。
野菜にはブロッコリーがありますね。
そしてキャベツ。
どちらもナズナと同じ、アブラナ科です。
△ブロッコリーの棚とキャベツの棚(奥)。
- 安木
- ナズナ、ブロッコリー、キャベツ‥‥。
形がまったく似てないです。
- かご
- アブラナ科には他にどんな野菜があるんですか?
- せお
- 水菜、カブ、白菜、小松菜、チンゲン菜、大根もそうです。
アブラナ科は野菜に多いんですよ。
- かご
- みんな形がバラバラなのに、同じ科なんて不思議です。
共通点はなんですか?
- せお
- 花と実の作りが似ていますね。
多くの種類で花びら4枚、雄しべが6本です。
ナズナもそういう作りになっているはず。
- メロン
- 野菜にアブラナ科が多いということは、
品種改良がしやすかったということですか?
- せお
- 実際のところ、
どうなのかはわからないのですが、
たとえば、ブロッコリーやキャベツ、
カリフラワーやケールなどは、
「ヤセイカンラン」という植物を
品種改良してできたものです。
人類の品種改良の賜物ですね。
- 安木
- へえ〜。
- メロン
- おもしろいですね。
では、アブラナ科の野菜の代表として、
ブロッコリーを買いましょうか。


ハート型の実が特徴的な、畑や道ばたに生える植物です。
花は春に咲くことが多いですが、
他の時期に咲くこともあります。
引っこ抜くと、
同じアブラナ科のダイコンを思わせるような、
太く長い根っこが一本出てくるのも特徴的です。
- メロン
- お、トマトが見えてきたので、
つぎはナス科の話をしましょうか。
ナス科の雑草といえば、ワルナスビがありますね。
- せお
- 野菜のナスビと違って、ワルナスビは有毒なので
実を絶対に食べてはいけませんが。
- かご
- え、ちょっと待ってください。
トマトはナス科なんですか?
- せお
- はい、ナス科です。
他にはパプリカと、ピーマンも仲間です。
- 安木
- パプリカとピーマンは似ていますが、
ナスとは似ていない。
それなのに仲間なんですね。
- せお
- 果汁と果肉こそ違いますが、作りはけっこう似ていますよ。
どれも割ると小さな種が入っていますよね。
花もちょっと似ていて、
大体の場合、花びらが5つに裂けて、星型です。
色はちょっと違いますけど。
- 安木
- (スマホでナス科の花を検索して)あ、本当だ。
ナスの花はむらさき、トマトは黄色、
ピーマンは白ですが、形がどれも星型ですね。
- せお
- あ、この画像の検索画面、
ジャガイモの花も混ざっていますね。
- メロン
- ということは?
- せお
- はい、ジャガイモもナス科です。
- 安木
- えー、イモ科じゃないんだ!
- せお
- はい。
ちなみにイモ科という科はないですね。
サトイモ科ならありますが。
- 安木
- 知りませんでした。
トマト、ナス、ピーマンは実ですよね。
ということはジャガイモにも、
実がつくんですか?
- せお
- はい。
ならないものも多いようですが、
たまにトマトみたいな実がつくらしいですよ。
△ジャガイモの実。プチトマトに似ていますね。
- メロ・かご・なっつ
- ええー!
- メロン
- その実って、食べられるんですか?
- せお
- いえ、ジャガイモの実は、毒があるので食べられないです。
ナス科は毒があるものも多いんですよ。
- メロン
- へえー、知らないことがいっぱい。
- かご
- じゃあ、ナス科からは
ジャガイモ、トマト、ナス、パプリカを買いましょうか。
ナス科はカレーに合う野菜が多いですねー。

ワルナスビはナスとトマト、ジャガイモが特に近く、
受粉方法に特徴がある植物です。
花の中央に黄色い袋状の部分がありますよね。

そこに花粉が入っているのですが、
先端に小さな穴が空いているだけで、
指で触ったくらいでは、出てきません。
ハナバチなどの虫の羽の振動を受けると、
その穴から出てくるんです。
「バズポリネーション」という現象です。
花粉を運ぶ虫の種類を絞るのに役立っていると
思われます。
- メロン
- つぎは、サツマイモを見ていきましょうか。
安木さん、サツマイモは何科だと思いますか?
- 安木
- ジャガイモがナス科だったので、
サツマイモも、もしやナス科‥‥?
- メロン
- うーん、残念!
- せお
- サツマイモは、ヒルガオ科です。
名前の通りヒルガオやアサガオと同じ仲間です。
- かご
- 言われてみればサツマイモのツルって、
アサガオのツルと似ていますね。
- せお
- はい。花もちょっと似ていますよ。
△サツマイモの花。たしかにアサガオっぽい。
- かご
- ヒルガオ科の野菜は他にありますか?
- せお
- 空芯菜があります。
- 安木
- 空芯菜! またしても、形がだいぶ違う。


街中の植え込みなどでよく見られる、つる植物です。
地中に茎を伸ばしあちこちから芽を出し、
たくさん花を咲かせますが、
自分の花粉では受粉がうまくいかないので、
実はなかなかできません。
よりサツマイモに近いアサガオの仲間も
街中で見られることがあります。
- メロン
- つぎは、道端でよく見かけるヤブランと同じ、
キジカクシ科をさがしてみましょうか?
ヤブランは植栽されることも多いので、
雑草と呼ぶべきかはちょっとビミョーですが。
- せお
- 雑草になりうる植物ではありますね。
- かご
- キジカクシ! なんだかかわいい名前。
ネットで調べてみると、
「細かい葉が密生して『キジを隠す』ほど
茂る様子から名付けられたもの」
とありますね。
- 安木
- キジカクシ科の野菜‥‥
まったく見当がつかないです。
なんでしょうか?
- せお
- アスパラガスがありますね。
- かご
- 科の名前になる植物って、どうやって決まるんですか?
- せお
- 特に決まりはないと思うんですけど、
比較的メジャーなものが選ばれることが多いです。
- 安木
- うーん、それだと「キジカクシ科」より
「アスパラガス科」のほうがメジャーな気がしちゃいます。
- せお
- たしかにアスパラガスのほうがメジャーですね。
でも、正確な和名じゃないんですよ。
アスパラガスはただしくは
「オランダキジカクシ」です。
- 安木
- あ、和名には「キジカクシ」って付いているんだ!
△キジを隠しそうな勢いで茂っているオランダキジカクシ(アスパラガス)の写真


ヤブランとアスパラガスは、
すごく近い仲間というわけでもないので、
学校のクラスでたとえると「同じクラスだけど、
あまりおしゃべりしないグループ」
という感じです。
森や公園などのちょっと日陰に生えますが、
街中にも植えられることがあります。
アスパラガスとは似ても似つきませんが、
割と近い遺伝子を持っているようです。
花をよーく見るとアスパラガスの花に、
少し似ているような気がしなくもないです。
もっと「科」のことが知りたい方は。
今回レクチャーしてくださっている
瀬尾一樹さんは、こんな本も出されています。
紹介文には「本図鑑で植物を調べていくうちに、
初めて会う植物でも『○○科っぽい!』と
あたりがつくようになるはずです」とありますが、
そんな風になれたら、誰かとお散歩したくなりますね。
深く知りたい方は、ぜひです。
(まだまだいろんな科があります。つづきます!)
2025-11-22-SAT


