元・芸人の木下ゆーきさんは
『アパレル店員風 おむつ替え』や
『実況解説風 海苔ご飯の食べさせ方』など
子育ての一場面に笑いを加えた動画を
たくさん配信しているインフルエンサーです。
SNSで大人気の方なのですが、子育ても笑いも
「がんばらない」ように心がけているとのこと。
５歳の娘を子育て中のほぼ日の安木が
くわしくお話を聞きました。
木下ゆーき（きのしたゆーき）
おむつ替え動画シリーズ、子育てモノマネ動画など
笑いを交えた子育て情報を発信する
子育てインフルエンサー。
YouTube、Instagramなど
SNS総フォロワー数は200万人。
現在広島県で３児の子育て中。
＜木下ゆーきさん公式SNS＞
Instagram
YouTube
X(twitter)
- ──
- ここまでお話をうかがって、
ネタ帳がないというのが特に意外でした。
- 木下
- そうですね。
僕は思いつきの方が多いです。
たとえば、このあいだのことなんですけど、
お風呂からあがって子どもの体を拭くときに、
嫌がられることがあるじゃないですか。
無理矢理やろうと思ったんですけど、
なんとなく手に持ってたタオルがのれんに見えたから、
「ほら、ラーメン屋さんだよ。入って来る？
はい、いらっしゃいませー」ってやってあげたら、
子どもがおままごとが始まったと勘違いして、
「はーい、ラーメンください」
といってタオルに近づいてくれたんです。
「ぎょうざも一緒にどうですか」とか言ってる間に、
ワーッと拭いちゃいました。
- ──
- すごいです。
- 木下
- いやいやいや。
もちろん毎回できてるわけじゃないですからね。
- ──
- あそびの時間は木下さん自身も
たのしんでいるとのことでしたけど、
生活習慣をあそびにかえるときも
たのしんでやっているんですか？
- 木下
- うーん、そういう場合はたのしむよりも
サッサと終わらせたいっていう気持ちの方が
強いかもしれないです（笑）。
- ──
- あはは。
またしても意外です。
- 木下
- あ、僕は子育てをたのしもうなんて、
思ってないですからね！
時間がないから早く体拭かせてくれ〜！とか、
もう寝る時間になるから、早くご飯食べてよ〜！
っていう焦りの気持ちの方が強いです。
- ──
- その焦りを、ものすごくポジティブな形で
変換されてるんですね（笑）。
- 木下
- はい。
自分の心に余裕のあるタイミングに限りますけどね。
たとえばさっきの体を拭く例だったら、
もう何も言わずに拭いちゃうことも全然ありますし。
いつもたのしそうにやってるように
見えると思うんですけど、全然ですからね。
大変な時は動画を撮る余裕すらないから、
SNSにあげてないだけです。
- ──
- ああ、そうですよね。
常に完璧にはなれないですよね。
- 木下
- はい。完璧では全然ないです。
- もともとおむつ替えの動画をきっかけに、
一気にフォロワーさんが
数万人単位で増えたって話をしましたけど、
その前から「笑いを交えた子育て情報の発信」
というのは始めていました。
そのきっかけが、ある虐待の事件だったんです。 - 最初、その事件は
「生後11か月の赤ちゃんを
叩きつけて死亡させた母親を逮捕」
と速報で報じられていました。
聞いた時はなんてひどい親なんだって思いましたね。
でも、そのニュースの続報を見たら、
その亡くなった赤ちゃんが三つ子だったこと。
そのお母さんははじめての子育てで、
ミルクの回数は1日に24回。
連続して1時間も眠れない日がずっと続いてたこと。
事前に役所にも助けを求めていたことを知りました。
- ──
- 新生児にミルクをあげるとき、
私は１回につき１時間弱かかっていました。
24回を想像すると、本当に大変だったと思います。
- 木下
- それまで虐待＝悪い親だって思ったんですけど、
虐待の要因には産後うつや
育児ノイローゼということがあるんだなって
その事件でハッと気づかされました。 - 僕も思えば、シングルファーザーのときに
長男の夜泣きがひどくてなかなか寝てくれなくて、
真っ暗な部屋の中を２時間ゆっくり歩き続けて、
なんとか寝かしつけた日があったんですよ。
そのときになにげなく開いたSNSで、
まだ結婚してない友だちが、
居酒屋でビールジョッキ片手に「イェーイ」って
たのしそうに映ってる写真を見て、
ひどい孤独感に苛まれた夜があったんです。
だから、自分と同じように子育てで思い詰めてる人が
SNSを開いたときに、クスッと笑えるコンテンツを
提供したいなっていう思うようになりました。
- ──
- そうだったんですね。
視聴者にそれが届いていると感じることはありますか？
- 木下
- はい。おむつ替え動画が広がった後、
「子どもが生まれてからは笑っていなかったんですけど、
久々にゆーきさんの動画見て、声を出して笑いました」
というコメントをいただきました。
そのリアクションをいただけたときは、
ものすごくうれしかったですね。
自分がやりたいなって思ってたことが
ちゃんと形になってるなって。
- ──
- もし配信をしていなかったらどうなってたか
考えることはありますか？
- 木下
- そうですねー。
今もIT系の会社で家族がバラバラになるまで
勤めてたかもしれないですね（笑）。
- ──
- あはは。そうでした。
本当にいろんな経験をされていますよね。
- 木下
- はい。
すべて中途半端だったなって
思ってた時期もあったんですけど、
今までやってきたことが、
最近やっとつながって、
すべてが今のためのだったんじゃないかなって、
思えるようになりましたね。 - インフルエンサーとして
子育てあるあるネタのライブのような
トークショーを開催しているんですけど、
そのネタを作ることができてるのは、
お笑い芸人の経験があるからですし、
お客さんにも手伝ってもらうネタをやるときに、
お手伝いを頼めるお客さんを見極められるのは
大道芸人をやっていたからです。
仕事と子育ての両立の大変さがわかるのは、
IT系の仕事をしてたからですし、
シングルファーザーの時期があったから、
孤独な子育てを身をもって体験しました。
- ──
- なるほど。
本当にすべてつながっていますね。 - 今日お話を聞いてみて、
木下さんは子どもの笑いや子育てについて
とにかくがんばらずに過ごしているのが発見でした。
なんか、それが秘訣のような気がしてきました。
- 木下
- はい。
でも僕をまねる必要なんて、まったくないと思います。
その子どものことについて一番詳しいのは
その子の親だと思うので。
僕の意見を参考にするよりも、わが子と向き合ってれば
「あー、この子はこういうのが好きなんだ。
こういうことやるとよろこぶんだ」っていうのが
たぶん見えてきますから。 - まあ、読者のみなさんにやれることがあるとしたら、
まず大道芸人になるところからなのかなぁ（笑）。
- ──
- あはは。
そこが始まりですからね。
- 木下
- この記事をここまで読んでいるってことは、
子育てのことをちゃんと考えてる方だと思うんですよ。
なので、もし今、子育てに悩んでいるとしたら、
これを読んでる時点で子どもとちゃんと向き合えてるよ、
ステキな子育てしてるよっていうのは伝えたいですね。
- ──
- そうですね、それは安心してもらいたいですね。
- ‥‥そろそろ取材終了のお時間になりました。
いままでのお話で、どこかカットしたいところは
ありましたか？
- 木下
- いえ、ないです！（即答）
- ──
- かっこいいです。
ありがとうございました！
（おわります）
2025-08-29-FRI
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食事、はみがき、トイレトレーニングなどの場面で
木下さんが実際にこどもとあそんだ
ごっこあそびが元になっている絵本のシリーズです。
絵本を読み終わったあと、
同じあそびをすればこどもが笑いそうです。
木下さんの教えを守って、
がんばらない範囲でまねしてみたい。（安木）【Ｇａｋｋｅｎの公式HP】
『はぶらしロケット』について
『おこさまレストラン』について
※『トイレドライブ』は2025年9月発売予定です。