元・芸人の木下ゆーきさんは
『アパレル店員風 おむつ替え』
『実況解説風 海苔ご飯の食べさせ方』など
子育ての一場面に笑いを加えた動画を
たくさん配信しているインフルエンサーです。
SNSで大人気の方なのですが、子育ても笑いも
「がんばらない」ように心がけているとのこと。
5歳の娘を子育て中のほぼ日の安木が
くわしくお話を聞きました。

>木下ゆーきさんプロフィール

木下ゆーき プロフィール画像

木下ゆーき(きのしたゆーき)

おむつ替え動画シリーズ、子育てモノマネ動画など
笑いを交えた子育て情報を発信する
子育てインフルエンサー。
YouTube、Instagramなど
SNS総フォロワー数は200万人。
現在広島県で3児の子育て中。

<木下ゆーきさん公式SNS>
Instagram
YouTube
X(twitter)

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第1回 レモンサワーからはじめよう

──
よろしくお願いします。
木下
よろしくおねがいします。
まあ、しゃべれることはないんですけど‥‥。
──
え! いきなりですね(笑)。
そんなことをおっしゃらずに!
木下
事前に質問事項をいただいてたじゃないですか。
子育てと笑いについてでしたけど、
こんなにまじめなことは、しゃべれないぞと思いました。
まじめな話がすごく苦手なんです。
僕はなにも考えてないですから(笑)。

──
では、ぜんぜんまじめじゃない話から
はじめましょうか。
木下
ほんとですか。
──
はい。大丈夫です。
いま話したいことはありますか?
木下
うーん、子育てとぜんっぜん関係ない話になりますが、
お酒の話なら2時間はしゃべれます。
──
あー、いいですね。
木下さんは何がお好きですか。
木下
レモンサワーと日本酒を飲むことが多いです。
レモンサワーは自分で作っています。
──
へえー! 
木下
僕は広島に住んでいるんですけど、
レモンが生産量日本一なので、
おいしい国産レモンが安く売ってるんですよ。
東京だと1個200円ちかくするじゃないですか。
広島だと1個50円くらいで買えるんです。
──
そんなに安いんですか。
木下
そうです、そうです。
それを段ボールで箱買いして、
自分で皮をむいて、周りの白い部分を削って捨てて、
黄色い皮と実を一緒に漬けこんで、
レモンサワーの素を作るんです。
──
すごい。
想像してたレモンサワーの
はるかに上をいくレモンサワーだった。
木下
そうなんですよ。
ガチレモンのレモンサワーを作っています。
──
そのレシピ、公開してほしいです。
「木下家流ガチレモンサワー」。
木下
今日はもう、これ(木下さんの絵本)どけて、
レモンサワーの取材にしましょうか!
──
あはは。
そうですね。
レモンサワーの取材にしましょうか。

出版社宣伝部
あの〜、一応、
子育て関係の取材でおねがいたいんですけど‥‥(笑)。
──
そうでした。
止めてくださってありがとうございます(笑)。
では、子育ての話もぼちぼち。
木下
えっと、お子さんがいらっしゃるんですよね?
──
はい。
木下さんにお話をうかがいたいなと思ったのは、
私が5歳の娘の子育て中ということも、
あるからなんです。
木下さんも、3人のお子さんがいますよね。
木下
はい。
上から12歳、6歳、3歳の3人です。
今年の春で中学1年、小学1年、年少さんになったので、
中学校入学、小学校入学、幼稚園入園っていう、
メチャクチャ忙しい時期でした。
1日に入学式をハシゴしました。
──
入学式までかぶったんですね。
それは大変です。
木下
そうなんですよ。
入園・入学前って、
いろんなものに名前を書くじゃないですか。
こどもの名前を書きすぎて、
自分の絵本のサイン会で
こどもの名前をサインするところでした。
──
あはは。 
手が覚えちゃったんですね。
木下さんのプロフィールを拝読すると、
「笑いを交えた子育て情報を発信するインフルエンサー」、
「総SNSフォロワー数は200万人以上」
とありますが、200万人はすごいですね!
木下
いやいやいや、ほぼ身内です。
──
そんなまさか(笑)。
木下
いやいや。
ほぼ親戚です、はい。
──
インフルエンサーになるまでのお話を、
うかがえたらと思うのですが、
いろんな下積みがあったそうですね。
木下
そうですね。
高校1年生のときにはじめて大道芸人として人前に立って、
19歳のときに上京して、お笑い芸人として活動してました。
芸人をやりながら結婚して、長男が生まれるんですけど、
その後離婚して、シングルファーザーになりました。
それをきっかけに実家のある名古屋に戻って、
IT系の会社員をしばらくしてました。
──
お笑い芸人からIT系の会社ってかなりの転身ですけど、
どんなお仕事をされてたんですか。
木下
「操作方法がわかりません」っていう電話を受けて
説明する業務をメインでやってました。
いわゆる「ヘルプデスク業務」ってやつですね。
ITの知識はまったくなかったので、
電話がかかってきても
僕からなにかを教えることができないんですよ。
だから、なんて言うんですかね。
自分の得意なフィールドに、もっていっていました。
──
得意なフィールドですか?
木下
はい。たとえば電話をしていると、
「えーっと、あ、ごめんなさい。どこだったかなー」
って電話先の相手が何かを探しはじめたりするんですよ。
そういうときに
「あ、ぜーんぜんいいですよ。終電まで待ちますから!」
みたいな冗談を言ったりして(笑)。
真面目で寡黙な人たちが多い職場だったので、
意外と重宝されました。
──
そこでお笑い芸人のスキルが生かされてたんですね。
人を笑わせることに興味を持ち始めたのは、
いつ頃なんですか?
木下
小学生の頃には、お笑いにのめり込んでいました。
僕が小学生の頃、NHKの『爆笑オンエアバトル』っていう
ネタ番組がすごくブームになった時期があって。
──
私もよくみていました。
おもしろかったと思う芸人に観客がボールを入れて、
その重さを競う番組ですよね。
タカアンドトシや、NON STYLE、
タイムマシーン3号などのコンビがでていましたね。
木下
はい。『爆笑オンエアバトル』は
上位5組のネタだけがオンエアされるんですけど、
毎週録画していました。
6年生ぐらいの頃だったと思うんですけど、
「オンバトノート」っていう自作のノートに、
出場者の名前と得票、どんなネタだったか、
どこがおもしろくて、なぜおもしろく感じたのか
っていうのを細かく記録していました。
それぐらい、小学生の頃にはお笑いに没頭してましたね。
──
クラスの子を笑わせるのも得意でしたか?
木下
得意かはわかりませんが、好きでしたね。
学校のクラスでおたのしみ会などがあるとき、
友だちと漫才のようなものをやっていました。
──
言葉で笑わせることに興味があったんですね。
木下
そうですね。
もともと大道芸をやってたときも、
技で魅せるタイプではなくて、
笑いを取るための道具としてジャグリングをしていました。
だんだんと道具を使わずに
笑いを取りたいという思いが強くなってきて、
大学を中退して、お笑いの養成所に入ったんです。
──
インフルエンサーになったのは、芸人をやめた後ですか?
木下
はい。
会社員をしてるときに今の妻と再婚して、
真ん中の子が生まれました。
僕が職務質問風やアパレル店員風に
おむつ替えしているところを
妻がなんの気なしに動画に撮ってSNSにあげたら、
ワッと拡散されました。
それから会社をやめて、子育てのインフルエンサーとして
活動ができるようになったんです。
 
──
会社を辞めるって相当勇気がいることですよね。
木下
そうですね。
しかも僕の場合は、既にインフルエンサーとして
ご飯を食べられるようになったから
辞めたわけではありませんでした。
──
え、なにがあったのでしょうか?
木下
その頃の僕は娘が生まれたばかりだったので、
定時になったらパソコンをパタンと閉めて、
「お疲れ様でした」って帰ってたんですよ。
そしたら、上司が勤怠表を見て、
「ぜんぜん残業してないじゃん」と。
その上司はどうやら、
僕のフォロワーさんが増えていっていることも、
良く思ってなかったみたいなんです。
その方も2回離婚されてる方だったんですけど、
「俺は家族が離散するまで働いたぞ。
それができないなら、辞めろ」と言われました。
──
ほぉー。
ドラマにでてきそうなセリフですね。
木下
「どうするか、選べ」と言われたので、
最初は適当に
「はい、がんばります、気をつけます」
って言ってたんですけど、
「いや、今すぐどっちにするか選べ」
って詰められたときに、
「じゃあ、辞めます」って言ってしまいました。
上司は意外だったみたいで
「お、お、お、おー!? 辞めるのか?」
って動揺していました。
──
そうですか。
ご家族の反応が気になります。
木下
家に帰って報告したら、妻は目に涙を浮かべてました。
「これからどうしていけばいいの?」って感じでしたね。
このままじゃ路頭に迷うぞって思っていたタイミングで、
おむつメーカーから
「木下ゆーきさんとスポンサー契約がしたいです」
って話がきたんです。
──
すごいタイミングですね。
木下
はい。
「ああー、よかった。
とりあえず半年ぐらいは食べていけるかも」
って思いました(笑)。
そこからはちょこちょこ、
いろんなお仕事いただけるようになって、
今はインフルエンサーだけでやっていけるようになりました。
──
ある意味、その上司が背中を押した形になったんですね。
木下
うーん、背中を押してくれたというより、
背中を思い切り蹴られた感じですけどね。

(つづきます)

2025-08-26-TUE

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  • 食事、はみがき、トイレトレーニングなどの場面で
    木下さんが実際にこどもとあそんだ
    ごっこあそびが元になっている絵本のシリーズです。
    絵本を読み終わったあと、
    同じあそびをすればこどもが笑いそうです。
    木下さんの教えを守って、
    がんばらない範囲でまねしてみたい。(安木)

    【Gakkenの公式HP】
    『はぶらしロケット』について
    『おこさまレストラン』について
    ※『トイレドライブ』は2025年9月発売予定です。