この夏、「やさしいタオル」から、
sunuiさんデザインの新作が登場します。
旅先で出会ったものを縫い合わせて
一点もののアクセサリーをつくったり、
ライブグッズやウェブのデザインなども手掛ける
女性ユニット、「sunui/素縫い」。
ほぼ日がsunuiさんにデザインをお願いするとき。
それは、「ワクワクするものをつくりたいとき」なのです。
2010年の「第一回ほぼ日作品大賞」で
大賞を受賞されて以来、これまで何度も、
「こんなの、見たことない！」というアイディアで
ほぼ日を新しい旅へと連れ出してくれたsunuiさん。
今回、「やさしいタオル」をデザインをするに当たって
どんな思いを込めてくださったのか、
アトリエにおじゃまして、たっぷりお聞きしました。
ふと撫でてやりたくなるような、
もしかしたらちょっと、抱きしめてやりたくなるような。
そんな「やさしい気持ちになるタオル」の、
制作裏話をお届けします。
sunui（すぬい）
2004年に結成されたクリエイティブチーム。
旅先で集めたものを素材にアクセサリーなどを制作し
各地で展示会を開催。
グラフィック、ウェブ、ディスプレイデザインなど幅広く活動。
ハナレグミ、クラムボン、おおはた雄一などの
ミュージシャンのCDアートワークやグッズデザインなども手がける。
小さなものも大きな空間も、手触りのあるものづくりを心がけている。
代表作の「カンカンバッチ」は2010年「ほぼ日作品大賞」受賞
2016年 作品集「カンカンバッチ」（西日本新聞社）を出版。
Instagram：@sunui_nu
- ーー
- おひさしぶりです‥‥
と言いつつ、sunuiさんとほぼ日はもう、
「何度もありがとうございます」という関係ですよね。
- 片平
- いつも思い出してくださって、ありがとうございます。
今回のタオルは私と冨沢、根岸の３人でつくったんですけど、
今日は根岸が来られなくて、すみません。
- ーー
- いえいえ、お忙しいなかありがたいです。
そもそも、今回sunuiさんに「やさしいタオル」を
引き受けていただけたことが、ものすごくうれしくて。
私、もともと手帳チームにいたときに
一度sunuiさんとお仕事させていただいていて、
それからずっとどこかで、
またお願いしたいなあという気持ちでいたんです。
- 冨沢
- えー、本当ですか。うれしい‥‥！
- ーー
- 私は折に触れてsunuiさんのことを思い出すんですけど、
それってたぶん、「ワクワクしたいとき」だと思うんです。
今回の「やさしいタオル」も、まさにそうで。 - ここのところ、よくもわるくも自分のアイディアに対して、
「最近ちょっと‥‥おちついてきてないか？」
という気持ちがあって。
なんとなく「もっとワクワクしたいな」と思ったときに、
sunuiさんとほぼ日手帳のカバーを
つくったときのことを思い出したんです。
あのときの経験って、本当にもう、衝撃的で。
「カバーにこよった栞を付けたい」と言われたときは、正直、
「‥‥マジか！」と（笑）。
- 片平
- あはは。
- ーー
- あれってやっぱり、
当時おちつきつつあった手帳のデザインを、
全部ひっくり返してくれるようなアイディアだったんですね。
みんなで「これ、どうすんだ！（笑）」ってなりながら、
ものすごく楽しくつくったことを覚えていて。 - sunuiさんはそうやっていつも
「こんなもの、見たことない！」
というアイディアを出してくださるから、
私たちほぼ日も自然と、
「せっかくsunuiさんとつくれるなら、冒険してみたい」
って挑戦心が生まれてくるんです。
その感じがずっと忘れられなくて、
今回また、お願いをしました。
- 片平
- ありがとうございます。
あのときってたぶん、糸井さんがひと言、
「違うよ」とおっしゃってくださってるんですよ。
たぶん最初はもうちょっと、
「お利口さん」なものを出していて。 - 糸井さんが会議室にふらっと来て、
ものの１分ぐらいふわーっと見て、
「sunuiはもっと、まとまってなくていいんだよ」
という感じの言葉を残して、またふわーっ去っていって。
そのおかげで私たちも吹っ切れられたというか、
糸井さんはじめ、ほぼ日のみなさんは
どんなアイディアでも受けとめてくださるので‥‥
こちらこそ、いつもありがとうございます。
- ーー
- 今回「やさしいタオル」をお願いさせてもらいましたけど、
sunuiさんって「タオル」自体はもう、
何度もつくってこられてますよね。
Mr.Childrenさんの「ap bank fes」タオルとか、
ハナレグミさんのライブタオルとか。
- 片平
- そうですね。
アーティストさんとか、
音楽関係のイベントで使うものが多いですね。
- ーー
- 「やさしいタオル」のデザインをしていただくとき、
いままでつくってこられた「タオル」とは、
やっぱり、つくり方に違いがあったのでしょうか。
- 片平
- 「ライブで使うタオル」って、振ったり、肩に掛けたり、
「会場でみんなが身につけるとき」のことを
第一優先に考えるんですね。
なので、今回の「やさしいタオル」は、
そもそもの考え方というか‥‥
「ノリ」が全然違っていて。
- ーー
- 「ノリ」が。
- 冨沢
- 「ノリ」がね（笑）。
でもそこは本当に片平が言ってくれたとおりで、
「やさしいタオル」はやっぱり、
生活の中で感じたいアイテムだから。 - あくまでも「普段使いをするもの」として、
受け入れてもらえるものがいいなっていうのが、
まず、イメージとしてありました。
なので、どちらというと、落ち着いたイメージで。
‥‥まあ、私たちが大人になったっていうのも
あるかもしれないんですけど（笑）。 - そこに、私たちのテーマでもある
「旅」をどう盛り込むかでいろいろ迷いつつ、
今回は、私たちが諸国で出会ったテキスタイル（※）を、
タオルに盛り込みました。
今日は、実物があるんですけど。 - ※テキスタイル‥‥織物や編み物のこと
- ーー
- わーー、実物、かわいいーー！！
データで見てたときより、さらに存在感がありますね。
- 片平
- 結果、「落ち着いた」とか、「大人っぽい」というよりは、
けっこう派手になったよね。
- 冨沢
- そうだね。大人になったとか言ったものの‥‥（笑）。
- 片平
- 地味では、ないね。
- ーー
- これは、地味ではないですね（笑）。
あと、すごくいいなと思うのが、
全部左右対称‥‥のようで、
ちょっとずつ違うというか、
チグハグな感じが、絶妙にかわいいなと。
- 冨沢
- あっ！
じつはそこが今回、一番やりたかったことなんです。
旅先で出会ったテキスタイルの中から
どんなものを取り入れていくかというときに、
いろんな遊牧民の人たちの絨毯を見てきたなかで、
「上手に織られたもの」よりも、
子どもが一生懸命つくったような、
「左右対称を目指したけど、ああ‥‥ぜんぜん下手！」
みたいなものが大好きだったんです。 - 今回私の頭に一番あったのが、
そういう「下手な愛らしさ」が
あるものをつくりたいってことだったんですよ。
（つづきます）
2025-07-24-THU
