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今日はどうしても鈴木さんに会いたいという
ほぼ日の乗組員がもう１人いるんです。
呼んできますね。

見習い乗組員のシジュちゃん、どうぞ〜。

鈴木先生、思わずパシャリッ！

シジュ

こんにちは。

鈴木

こんにちは（笑）。

シジュ

鈴木先生、はじめまして。

鈴木

あ、はじめまして、鈴木です。

シジュ

宇宙の鳥、シジュと申します。
今日はよろしくお願いします。

鈴木

よろしくお願いします。

シジュ

座ってもいいだジュか？

鈴木

座れますか？

シジュ

座れまーす。ヨイショっと。

鈴木

座れた（笑）。

代々木公園に突然現れた宇宙鳥に、周りの子どもや学生がザワザワ。見に来ました。

シジュ

シジュウカラの先生なんだジュね？

鈴木

はい。

シジュ

シジュは宇宙のシジュウカラなんだジュ。

鈴木

あ、シジュウカラなんですね！

シジュ

名前のシジュというのは、
シジュウカラからいただきました。

鈴木

ああ、素晴らしいです。

シジュ

それでちょっと質問だジュ。
人間は楽しいと思って
おしゃべりすることがあると思うんだジュけど、
地球のシジュウカラは一体何のために
おしゃべりしているんだジュか？

鈴木

「楽しくてやってる」ってことですか？

シジュ

楽しくてやってるのか、
楽しくてやってないんだとしたら、
おしゃべりって何が目的でやってるんだジュ？

鈴木

あのね、鳥の場合は
楽しんでおしゃべりしているかもしれないんですけど、
僕が観察している限りだと、
「天敵が来てるぞ」とか「いい餌があったぞ」とか
「ここは自分の縄張りだからライバルは入ってくるな」
とか厳しい自然の中を生き抜く上で大切な会話をしてる。

シジュ

そうか！

鈴木

そうなの。
だから動物にも楽しいという感情があるかもしれないけど、
そこの部分をどうやったら解き明かすことができるのかは、
まだ研究者がわかってない状況なんです。

シジュ

そうなんだジュな。
でも、仲間が死んだら悲しいとか、
仲間の行動が面白くて笑ったりとかも、
もしかしたらあるのかな？

鈴木

これはシジュウカラじゃないんですけど、
道を歩いてると、鳥の羽毛が散らばっていて、
小鳥がタカとかに襲われたかなという状況を
見ることありますよね。
その状況を見ると
特別な鳴き声を出す鳥がいるんです。

だから動物たちも、
悲しいといった感情があるかもしれない。

シジュ

そっかぁ。なるほど。

あともう一つ聞いてみたかったんだジュけど、
先ほどのお話で
恐竜が鳥になったかもしれないと
教えてくれましたが、
恐竜ももしかしたらしゃべっていたジュか？

鈴木

それは僕も気になってるところなんです。
だけど、会話とか言葉ってね、化石に残らないんですよ。

シジュ

あ、なるほど。

鈴木

だから、恐竜がどういうふうな会話をしているのか、
なかなかわからない。

シジュ

そっかぁ。

鈴木

恐竜の子孫が、
僕たちが今、鳥と呼んでる動物だってことは
確実なので、
鳥の言葉を調べていくことで、
ひょっとしたら恐竜もこういう会話をしてたんじゃないか
と空想することはできるかな。

シジュ

確かに化石になってないから証拠がないだジュね。

鈴木

そうなんですよ。

シジュ

先生はもうすぐ長野に
シジュウカラの観察に行くそうだジュね。
鳥をかわいいなぁと思う瞬間はありますか？

鈴木

かわいいなっていうのは
ずっと思ってます。

シジュ

そうかぁ（笑）。
特にどんなところが？

鈴木

いや〜、全部かわいくなっちゃうんですよね。
特に、ヒナはかわいいなって思う。

シジュ

そうなんだジュか。

鈴木

うん。その巣箱の中を確認するために開けると、
まん丸の目をしたヒナが
たくさんいて。
ヒナの鳥を見るとすごいかわいいなと思うし、
頑張って巣立ってほしいなみたいな、
ちょっとした親心みたいな。

シジュ

親心があるんだジュね（笑）。

鈴木

そうそう（笑）。

シジュ

じゃあ、もうすぐ長野に行くの楽しみだジュね。

鈴木

そうですね。
これからがちょうどシジュウカラの
繁殖のシーズンなんで、
どんどん卵が孵化してヒナになる。

そしたら巣箱を巣立って、
親鳥と一緒に行動して
森の中でいろいろ学んでいくんです。
その様子を研究しに行こうと思ってます。

シジュ

みんなが鳥の言葉を学んで、
先生みたいに鳥の言葉が分かるようになったら、
いつか私たちも鳥に嘘をつかれるかもしれないだジュね。

鈴木

あ、そうかもしれない。
ひょっとしたら嘘つかれたりするかもしれない。

うちの実家の話をすると、
実家の親に僕がシジュウカラの言葉を教えてるんですよ。
庭に巣箱があるんですけど、
猫が庭に来るとシジュウカラが、
猫が来たと言って「ピーツピ」と鳴く。
そうすると、
うちの親が猫を追い払いに庭に出ていくんですよ。

シジュ

お父さんお母さん、シジュウカラ語がわかるんですね！

鈴木

ひょっとしたらシジュウカラ、
親を呼んでるだけなんじゃないのって思うこともあって。

シジュ

え〜！（笑）、猫がいないのに呼んでるだジュ？

鈴木

そう。
人間側が鳥の言葉をわかれば、
交流がとれる可能性もあるかもしれない。

シジュ

あと、地球の鳥と仲良くするコツを教えてください。

鈴木

まずは、
ちょうど今の時期、巣を作ってるんですけど、
あまり近づかないほうがいいです。

シジュ

わかりました！

鈴木

あとはね、そっと観察をすることね。
あとはそうだな……仲良くするコツでしょ？

シジュ

はい。

鈴木

あとはね、何だろうな。
仲良くするというのは要するに、
ただ単に自分の価値観を押し付けるんじゃなくて、
理解してやることかなと思いますね。

シジュ

自分と何が似ていて何が違うかを理解して
自分なりに探っていくことが大事なんだジュな。

鈴木

そうです、そうです。

シジュ

わかりました。先生、どうもありがとうございました。
お話しできて、とてもうれしかっただジュ。
これからシジュも
地球のシジュウカラと仲良くなりたいと思います。

鈴木

翼をバタバタ動かすのは
「お先にどうぞ」のジェスチャーなんです。
地球のシジュウカラはこうやると、
それを見たシジュウカラが
先に巣箱に入ったりするんですよ。

シジュ

じゃあ、シジュもこうやって、
「お先にどうぞ」って言います。電車とかで。

鈴木

電車で（笑）。

シジュ

長野にもぜひ遊びに行きたいだジュ。

鈴木

たのしいよ。ぜひ遊びに来て。

シジュ

いきま〜す。今日はどうもありがとうございました。

すっかり意気投合した鈴木さんとシジュ。長野の森で再会する約束をしました。