TOBICHI東京で轟木節子さんセレクトの
POP UPショップ
「夏の小さな装いのたのしみ展
サマー ユートピアン
Summer Utopian」を開催致します。

7月24日(金)~8月11日(火)の期間
POP UPショップには
BIWACOTTON 2026SummerのLOOK BOOKでも
素敵にスタイリングいただいたジュエリーブランド
グレイキニアも並びます。

今回は、グレイキニアさんに
ブランドのルーツや制作過程の想いを
轟木さんと共に伺いました。
一見天然石を切り出したような佇まいの
ガラスジュエリー。

TOBICHI東京で実際お手に取っていただけますので
ぜひお近くにいらしたらお越しになってくださいね。

>轟木さんプロフィール

轟木節子(とどろき・せつこ)

熊本生まれ。スタイリスト。
自然で凛とした美しさのあるスタイリングを得意とし、
着心地のよい素材を用いた天然素材の
ものづくりの監修、ディレクションも。
ファッション誌や広告等のスタイリングなど、
幅広く活躍。

>グレイキニアプロフィール

Gleichenia(グレイキニア)

イギリスで彫刻を学んだ池ヶ谷香奈子さんと、
空間デザインを学んだ池ヶ谷侑さんによる、
東京を拠点に活動する
コンテンポラリージュエリーユニットです。
ガラスとシルバーを主な素材に、
構想から仕上げまですべて手作業で制作されています。

制作は、
香奈子さんのドローイングやコラージュから始まり、
侑さんがそれを技術的なかたちへと移しながら
おふたりで議論を重ねて作り上げていきます。

  • 彫刻と空間デザインと
    身につけられるアートピース
    ほぼ日
    グレイキニアさんと轟木さん、どこで出会ったんですか。
    轟木
    出会いは…、昨年の夏、本当に「出会った」って感じでしたよね。
    最初は存じ上げなかったんです…、グレイキニアさんのことを。
    伊勢丹新宿店で編集者の安達薫さんと私がキュレーターの
    ポップアップイベントをしまして。
    スペースの半分は安達さんと私が選んだブランドで、
    もう半分は主催の十色の路さんがブランドを選ばれていて。
    せっかく同じイベントにご一緒するからと、はじめましてのブランドさんと
    私達を十色の路さんがリモートで顔合わせの機会をつくってくださったんです。
    最初にインスタグラムを拝見して、
    「わ! かっこいい! 好き!」と惹かれて。
    身につけられるアートピースのようだなって思いました。
    天然石に見えて、ガラス、っていうのも興味持ちました。
    リモートの画面に、お綺麗な、作品とイコールというかんじの
    おしゃれなお二人がいらしたんですけど、
    では簡単に自己紹介を、となって。
    はじめまして、池ヶ谷です。 獅子座です。とさらっとおっしゃって。
    「獅子座です」の瞬間、あ、たのしい展開になりそうって予感がふっと湧いて。
    話も弾みましたね。そこでうかがったお話しもおもしろくて。
    池ヶ谷香奈子
    あ、それ私ですね(笑)。
    1年くらい前ですよね。
    轟木
    はい、そうでしたね。イベントは秋で。

    ほぼ日
    ブランドはご夫婦でやられていて。
    何年くらい?どういう成り立ちで。
    香奈子
    ブランドは今、6年目です。
    そもそもは大学時代、 20年近く前にイギリスで夫と出会って、
    専攻してた内容が、私が彫刻、彼が空間デザインで。
    轟木
    イギリスの大学を選ばれたのは、どうして?
    香奈子
    私は、なんだろうな、なんか一つの素材を
    すごく上手に作りたいっていう意欲は最初からなくて、
    好きなことを、アイディアを形にするっていう、
    そのプロセスが学べるのがイギリスだっていうのと、
    英語の雑誌とか向こうの文化も好きでしたね。
    池ヶ谷侑
    自分は大学の前、父親の転勤でイタリアにいたんです。
    家族で行ってたんですけど、高校卒業の時に、
    まだ日本帰りたくない、もう少し海外にいたいと思って、
    ヨーロッパで美術勉強するんだったら
    絶対イギリスっていうのがあるんですよ。
    イタリアも美術って有名なんですけど、なんか保守的で、
    現代美術を勉強するんだったらもう絶対イギリス、って。
    ほぼ日
    そこでお二人が出会って。
    はい、そこで最初の一年間一緒で、
    その後は同じ大学内の別の科学生になっています。
    香奈子
    イギリスでは、何か一つの素材を4年やるというより、
    好きなことをテーマ、コンセプトに合わせてやるんです。
    好きなことをやってる二人が帰国して、
    ちょっと働きつつ、一緒に何かやろうってなって、
    ミックスしてジュエリーになりました。
    ほぼ日
    彫刻と、空間デザイン。
    香奈子
    彫刻は、物理的には同じ大きさのものでも
    解釈によってサイズが変わる、って思っていて、
    空間デザインは、空間に合わせてスケールを変える。
    どっちも空間や人間と関係性があって成り立つ、
    っていうテーマなので、
    身につけられるものが一番強いと思って。
    身につけられるアートピースって、なんだろうなって。
    持ち運べるっていうのにやっぱり興味がある。
    そういうのって何だろうって思った時に、
    ジュエリーいいな、っていう。
    元々は僕は文房具の会社に勤めてたんですけど。
    ポスタルコっていう。
    ほぼ日
    ああ。ポスタルコ。おしゃれな文房具。
    自分は海外向けの販売とかしてたんです。
    そういうのもいいけど、軽くて小さいもので
    いろんなところに行ってるものってなんだろうって。
    たまたまその時八王子に住んでて、
    八王子市民は多摩美の図書館に入れるんですよ。
    それで行ってみたんですけど、 ちょっと緊張しちゃって
    とりあえず座ったら、その後ろがジュエリーの本で。
    轟木
    どんなものだったんですか、ジュエリーの本は。
    オランダのジュエリーだったんです。
    コンテンポラリージュエリーでした。
    もともとコンセプチュアルなデザインが好きだったので、
    本当にたまたま手にとった本が、あ、これは面白い、って。
    ちょうどその年に庭園美術館で、
    オランダ人のコンテンポラリージュエリーの
    作家さんの展示をやってて、
    それを見て、いつか絶対これやりたい、って。
    二人のできることも合わせられるし、っていうので。

    ほぼ日
    最初の作品ってどういう形だったんですか。
    今とは全く全然違うもので、最初は3Dプリントで。
    香奈子
    そうなんです。
    ジュエリーやるぞって始めたけど、 作れない。
    その時自分ができたのはコンピューターで 、
    CADでデータだけ作って、
    山梨の甲府ってジュエリーの産業地なんですけど、
    そこの知り合いにお願いして作る、っていう。
    香奈子
    CADでこの粒、これ砂粒といいつつガラスなんですが、
    この粒の位置をつぶつぶつぶつぶつぶ、って書いて。
    3Dプリントでこのつぶつぶつぶを。
    それを販売しようっていうときにコロナになって。
    こういうやり方だとどうしてもお金がかかっちゃうし、
    自分でやれたら表現の幅も広がるし、っていうので、
    みんなが静かなタイミングで、
    勉強して、自分で作るようになったんです。

     
    偶然出会ったガラスに惹かれて
    失敗と実験で一点ものを作る
    ほぼ日
    ガラスで作るようになったのは?
    香奈子
    大学時代、光を透過する素材がすごい好きで。
    ワックスとか。キャンドルみたいな。
    透け見えて、ディティールが見える。
    でもワックスは耐久性もないし、儚すぎる。
    で、ちょっと同じテクスチャーが出せて、
    強度があって、動きがあって、でガラスに行きました。
    素材の勉強は全くしたことなくて、
    たまたま温泉に行った時に美術館があって。
    群馬県の水上に。もうなくなっちゃったんですけど。
    10年くらい前ですね。
    香奈子
    吹きガラスとかいろんな技法のガラスがある中に、
    ブロッコリーがあったんです。
    轟木
    野菜のブロッコリー、ですね。
    コップとか並んでる中にブロッコリーがあったんです。
    香奈子
    ブロッコリーのオブジェを精密にガラスで作ってあって、
    すごくガラスが濁ってて、軽そうに見えるのに重そうで、
    この素材だ、ってビビッときて。

    調べていったら、その技法で作っている作家さんが
    うちの近くに、日野市って隣なんですけど、いて。
    香奈子
    連絡して、教えてもらい始めたんです。
    轟木
    その初めの1歩の行動力がほんとうに素晴らしいです。
    めちゃくちゃ楽しそうで、自分もよく遊びに行って。
    香奈子
    普通は濁ってるガラスを作る技法なんですよ。
    型に入れて作って、磨いても光らない素材を
    私たちは独学とかオリジナルで
    何回も磨いて光沢が出るまでやってるんです。
    轟木
    私たちは詳しくないから、すりガラスって言っちゃいますね。
    濃い感じのテクチャーが、コップとかのガラスと全然違う。
    ほぼ日
    これはなんていう技法なんですか。
    香奈子
    パートドヴェール技法って言います。
    起源は古代メソポタミアって言われていて、
    一旦廃れて、 フランスで再興されたのが
    19世紀後半になってから、というものです。
    型を粘土で作って、その上に石膏をかけて、
    粘土を抜き取って、そこにガラスを詰めていく。
    それをじっくり窯の中に入れて溶かしていくんです。
    取り出す時に石膏の型を壊さないといけないので、
    その一回きり、型は一回きりなんです。
    ほぼ日
    まさに一点ものですね。
    たまたまガラスに出会った感じですけど、
    いろいろ試してたらやっぱり金属とガラス、
    いいな、って。
    それと、よく考えたらガラスも金属も
    溶かして何回も使えるんですよ。
    そういう魅力にも惹かれて、
    今はガラスと、金属はシルバーでやっています。
    ほぼ日
    いやぁ、綺麗ですよね。
    型を作らずにブロック状にしていく方法もあって、
    それを切って、さらに一個一個削っていって、
    で、磨いていって、っていうこともします。
    轟木
    スタートは粒々のガラスなんですね。

    香奈子
    パレットっていうガラスの粒と顔料。
    ドイツとアメリカと日本の色を使ってて、混ぜる。
    混ぜ方とかパレットの粒の大きさでニュアンスが出るので、
    大きかったり小さかったり。
    型から出た時はすごいスモーキーなのをこの形にカット。
    それから一つの面を6回磨くと光るということです。
    轟木
    独自の色を、顔料で出されているっていうのも
    興味を持ったポイントのひとつでした。
    香奈子
    個人的に好きな色、嫌いな色はあるんですけど、
    この色が好きな人がいるだろうなと思って、
    あえていろんな色を作ってみています。
    チャレンジしてもらえる色の展開をと思って。
    まあ、いろいろ失敗して色にたどり着いてるので。
    色って混ぜちゃうと、どんどん黒くなっていくんです。
    燃焼時間もいろいろやって、綺麗だなって思うのを残して。
    失敗したら溶かして、そうやって出す色もあるんですけど、
    それはもう本当に再現できなくて。
    轟木
    何を使って磨いているんですか。
    香奈子
    機械があって、砂と水を使って。
    彫金の時に使うのと同じです。
    金剛砂って、サンドペーパーとか
    砥石に使われるものですね。
    ガラスって熱を持つと割れやすくなるので、
    水を、砂と一緒にずっと流しながら、
    機械で回ってる円盤に当てて少しずつ削る。
    番手の荒いのから細かいのに変えながら、
    ひたすらやっていくと光っていくんです。
    ほぼ日
    根気のいる作業ですねー。
    何時間もかけるのがたまたま性に合ってたというか。
    基本的に宝石を削るのと同じやり方で、
    自分たちが宝石よりもガラスがいいなっていうのは、
    ガラスの方が表現ができるっていうのと、
    やっぱり戻せること。
    香奈子
    磨いてる途中で、パンって割れたらもう振り出し。
    宝石だったら完全におしまいですね。
    ガラスなら、捨てずに溶かしてもう一回使える。
    そうするとまたなんか意図してなかったことが、
    色がちょっと他の色と混ざったりしてみたいな
    そんなことも化学反応で起こったりするんです。
    そういう実験的なものが好きで、これにこれ混ぜたら
    どうなるかとか、けっこうやっちゃって(笑)。
    ほぼ日
    毎回新しい、楽しいんですね。
    香奈子
    楽しいですね。失敗しても。
    私は磨いてる途中で欠けたらまあ落ち込むんですけど、
    彼は喜んでる。
    失敗なんて存在しないからっていう人なので。実験なんで。
    ほぼ日
    いいコンビネーションですね。
    香奈子
    形も色も、同じ場所に同じものは出ないので
    全部一点ものなんですけど、
    素材としてはすごく奥が深いんですよね。

     
    グレイキニアを象徴するような
    CAIRN(ケアン)のシリーズ
    ほぼ日
    パートドヴェールっていうのは、
    曇った感じで完成なんですね。
    そこから研磨して、透明にしようっていう人は…、
    香奈子
    そうですね。いない、ですね。
    ほぼ日
    その先に行った、ってことですよね。
    香奈子
    先だといいけれど。
    これ、最初のブロックの時には、
    どこのテクスチャーを使いたいとかが見えないんですよ。
    それで、水につけると、その時に、光るんです。
    光った方がこの泡粒が見えるんじゃないか。
    じゃあ光らそう、って。
    光るところまで磨くのはあんまり見たことなくて、
    それがいいと思ってやってる感じです。
    轟木
    2つのパーツがつながっている こちら、
    グレイキニアさんのアイコニックなデザインですよね。

    最初、とりあえず小さい彫刻みたいな感じで
    一年くらいずっと、置いてたんです。
    こう触ってるうちに何かにならないかな、って。
    その期間がいつも自分たち長いんですけど。
    何かにならないかなっていう時間。
    ほぼ日
    その時間も必要なんでしょうね。
    それをやってるタイミングで、ジュエリーじゃなくて
    屋外でやる彫刻展に彫刻を出したんです。
    多摩の山の中で、水が流れていて、橋があって。
    この風景が面白い、ここに舟を作りたいな。
    でも舟は作れないからオールを、
    ワックスで3メートルぐらいのオールを作って。
    舟が川を下って海に出てくっていうストーリーで。
    それと、石を積む、っていうのがあったんです。
    もともと登山の人がやる習慣っていうのは知ってて。
    川下りにも実は石を積む習慣があるんですね。
    積むことで、登る人、 渡る人にメッセージを残す行為で、
    それがコンセプトとして面白いなっていう。
    道しるべ、ていう意味合いがあるんで、
    これを自分たちの、もしくは誰かの道しるべにしよう。
    香奈子
    石を積むのって世界中にある慣習で、
    でもその積み方にはルールも正解もなくて、
    なんか知らないけど積んだみたいな感じが好きで。
    石は丸くてすごいオーガニックな感じだけど、
    うちは幾何学にして、光が反射して透過するものの中に
    この有機的なテクスチャーを残して。
    CAIRN(ケアン)っていうシリーズになりました。
    ケアンって、石積みのことです。
    香奈子
    点で重なってて、間に金属っていう異素材を混ぜて
    コントラストが見えるように。
    轟木
    点でついてる感じのバランスがきれいですよね。
    そこからもう少しコンセプトを加えて
    これが自分たちの象徴にもなった感じです。
    ブランド名のグレイキニアって、
    裏白っていう葉っぱのことなんです。
    正月飾りに使われる縁起物で、
    2枚に見えるんですけど、実は1枚の葉っぱで。
    ほぼ日
    それがこの作品に投影されてるんですね。

    八の字で、裏白を表現したようなかたちで。
    夫婦とか、自分たちも2人でやってて、
    バックグラウンドがアートとデザインの2つ、
    っていうのを象徴してたり。
    香奈子
    シダ植物なので、胞子が弾けて遠くまで行って
    いつかは芽吹いたらいいな、みたいな。
    ほぼ日
    なるほど、素晴らしい。
    轟木
    すてきです。縁起物というのにもときめきました。
    胞子のミクロ感の繊細さもいい。
    香奈子
    ものを作るだけじゃなくて、
    そういうストーリーとかも織り交ぜるのが好きで。
     
    「失透」を美しいと感じてうまれた
    インウォーターのシリーズ
    この前イタリア人のお客さんが教えてくれたのは
    イタリアでは教会のステンドガラスが
    嵐とかで割れちゃったりしたら、
    その割れたガラスをジュエリーにしてるっていう。
    ほぼ日
    割れたステンドグラスを。
    そういうこともあるらしいんですよね。
    なんかそういうストーリーも好きなんです。
    自分たちも実は2種類、ガラスがあって。
    ちょっと青っぽいガラスは窓ガラス。
    本当に住宅の窓ガラスを再利用したのも混ざってます。
    ほぼ日
    流氷みたいな綺麗な色。
    窓ガラスって若干青みがあるので、
    着色しなくてもそのまま、この青さが出る。
    でもこれ、普通は透明になるんですけど、
    自分たちはたまたま失敗して、濁っちゃったんです。
    先生に聞いたら、失透っていうものだ、と。
    つまり透明を失うっていう現象で、
    ガラスでは起こりうることなんだけど、
    もう完全にB品になっちゃうので市場には出ない。
    ガラス職人さんは失透は出すなって教わるらしくて。
    自分たちはなんかすごいことが起こったと思って、
    逆にそれを装飾として、
    モチーフに使いたいなって思ったんです。
    香奈子
    インウォーターっていうシリーズになりました。

    ほぼ日
    あえて濁りを出す方法がわかったということですか。
    香奈子
    コントロールはしきれないんですけど。
    何回もやってみて、開発期という名の失敗が続いて。
    ほぼ日
    失敗は必要ですもんね。
    そうなんですよ。
    最初は偶然で、今は必然で出せますけど、
    何回も実験して出し方がわかってきた感じです。
    ガラスを溶かすのは大体800度ぐらいでやるんですけど、
    10度違うだけで全然違うよ、みたいな。
    そこをひたすら。
    釜に入れる時間とか温度とかを全部記録して
    こうやったらできたとかできなかったって
    なんか科学者っぽく。そういうのが好きで。
    ほぼ日
    工業製品としてのガラスとしては失格。
    職人さんはいっぱい見たことがあるけれど、
    一般の人の目には触れないものなんですね。
    香奈子
    だから、失敗でしょ、って言われますけどね。
    轟木
    磨きあげられて、曖昧できれいです。
    ものの見方って本当に人それぞれで、さらに情報でもいかようにも
    色付けられますよね。
    これを美しいと思うかっていうところの違いなんですね。
    自分たち、もちろん意図した表現も好きだけど、
    なんかそうじゃない、偶然の産物もすごく好きで。
    自分の意図を超えた表現みたいな。はい。
    出さないもの出してきたっていうので、
    面白いって言うガラス作家さんもいます。
    轟木
    顔料の色を入れて作ったものとはまた違う良さがありますね。

    香奈子
    このインウォーターも本当に偶然なんですけど、
    ガラスというものができたのも偶然なんです。
    ガラスの原料って砂で、砂漠できたっていう。
    香奈子
    シュメール人が火を起こした時に
    火の熱と浜辺の砂粒と植物の灰が混ざって
    固化してできたって言われてるんです。
    石鹸の起源も偶然で、それをミックスさせて
    ガラスで石鹸のオブジェを作りました。
    石鹸は神殿で生贄の羊を燃やしたときに、
    羊の脂と焚き火の灰が混ざって、
    雨水と一緒に土に沁み込んで固まってできた、
    って伝えられてるんです。
    香奈子
    偶然が大好き。
    アイディアがパッて出たら、それを逆引きして
    偶然そうだったってなるとチャンス、みたいな。
    それをしぶとくしつこくやるとっていう。
    インウォーターのシリーズは
    水、川っていうのをイメージしていて
    自分たちが山から川を下って海に出て行って、
    じゃあ目指すのは次の大陸みたいな。
    人それぞれの解釈の余地は持ってほしいけど。
    轟木
    偶然のときめきいいですね。初めて伊勢丹のポップアップでお会いして、
    ブランドのコンセプトブックを頂戴したんですよね。
    もうこれが素晴らしくて、すっかりファンになりました。
    写真デザイン、全てお二人で作られたんですって。
    このオブジェのかっこよさ。見てください
    コラージュ作品がおさめられていて。
    香奈子
    スケッチをしないので、
    コラージュをやって、それで構図を決めるっていう。
    ホッチキスの針をかたまりで貼っちゃったり。
    全然違うもの持ってくるっていうのはもう、
    10年、20年ぐらいやってるんです。
    轟木
    嬉しい! 現物が拝見できる。

    香奈子
    こういう重なった感じ、ガラスで出せたらいいなとか。
    こういう積み方いいなとか、かっこいい色とか。
    たとえば私は黄色はあんまり身につけないけど、
    黄色ってどういう色だろう。黄色に触れてみるとか。
    私はすごい足し算の人間で
    いろいろこうやって足して、最後引き算で。
    このコラージュの表現をジュエリーでやりたいんです。
    紙でこう切ったらこの形もいいなみたいな。
    難しいのは、これとジュエリーが結びつかない。
    うまい方法がわからなくて。
    自分たちは同じ人間が同じ体の使い方でやってるから
    どっちもわかるんですけど。

    香奈子
    轟木さんはわかりますか。
    同じ人間がどっちもやってるみたいなこと。
    轟木
    はい、わかります。
    ほぼ日
    解像度が違うんですね。
    香奈子
    そう、解像度なんです。
    質より量みたいなコラージュの中から
    実現できそうな構造と設計で作るのがジュエリー。
    コラージュはルーツでありゴールでもあって、
    もっとジュエリーとして表現したい。
    ほぼ日
    ルーツでゴールっていいですよね。
    轟木
    で、通り道でもある。ような。
    ジュエリーにコラージュのイメージやいろいろな創造が内包されている。
    香奈子
    紙とガラスって実は親和性があるって勝手に思ってて。
    とっても弱いし、でも固くもできるしみたいな意味で。
    ほぼ日
    手が切れますしね、どちらも。
    優しいようで鋭くて。
    香奈子
    山ほどやりたいことはあるので、
    順番に何年もかけてっていうことで。
    山ほどあるけど、飽きないんです。
    ほぼ日
    素敵ですねー!
    そうやってできたもの、見てみたいです。
    轟木
    この短い時間で、いろんな世界に連れて行ってもらえた、
    そんな感じがしています。なんだか しあわせでした。
    ほぼ日
    本当にそうですね。
    ありがとうございました。

    (おわりです)

     


     

    TOBICHI東京で轟木節子さんセレクトの
    POP UPを開催致します。
    7月24日(金)~8月11日(火)の期間
    ビワコットンほか、多彩なブランドが並びます。
    ぜひお近くにいらしたらお越しになってくださいね。