
南伸坊さんと糸井重里が
あちこちを小旅行しながら、
めくるめく雑談をくりひろげる、
そこそこ人気のシリーズ、黄昏。
思えばずいぶん久しぶりの新作です。
奈良に居を移したゲージツ家、
「クマ」こと篠原勝之さんと話します。
それぞれが二十代のころから
とっくに雑談し合ってる3人、
はたしてどこまで行くのやら。
どうぞ、のんびりおつき合いください。
必然、「老いと死」についても語ります。
糸井重里(いといしげさと)
コピーライター
株式会社ほぼ日会長
雑談オールラウンダー。
ダジャレもシモもどんどん行く。
タコの話なども得意。
南伸坊(みなみしんぼう)
イラストレーター
エッセイスト
蓄積した雑学から雑談を展開。
さまざまなモノマネ経験あり。
タコの話なども得意。
篠原勝之(しのはらかつゆき)
ゲージツ家
作家
鉄や土の作品をつくる一方、
文筆家としても活躍し、
泉鏡花文学賞を受賞する。
過去のエピソード豊富。
- 篠原
- さっき会った人は、
軍艦バッタみたいな顔してたな。
- 糸井
- そうだったかな。
- 南
- 本人にそんなこと言っちゃダメだよ。
- 篠原
- 言わないけど、似てたな。
- 糸井
- とくに「軍艦」って言っちゃだめだ。
「バッタ」はいいけど。
- 南
- 「バッタ」もダメだよ。
- 糸井
- 軍艦バッタ。え? 軍艦バッタ?
そんなのいる?
- 南
- 軍艦バッタ‥‥。
- 篠原
- いや、いるんだよ、軍艦バッタ。
大きいやつ。
- 南
- 殿様バッタじゃなくて?
- 糸井
- ショウジョウバッタって、
何が「ショウジョウ」なんだっけ?
- 南
- 「ショウリョウ」じゃない?
- 糸井
- 「ショウリョウバッタ」か。
- 南
- こういう細いやつでしょ?
- 糸井
- そうそう。
じゃあ、「ショウリョウ」って何?
- 南
- たしか、「精霊」って書くんだよ。
- 糸井
- 「精霊」で「ショウリョウ」なの?
- 篠原
- 「しょうりょう流し」って歌があったな。
- 糸井
- あれは「精霊(しょうろう)流し」でしょ。
じゃあ、「ショウロウバッタ」?
- 南
- そんなバッタはいない。
- 糸井
- じゃあ「ショウリョウバッタ」か。
少ない数のバッタじゃないんだよね?
- 南
- ははははは! 少量バッタ!
- 糸井
- 少量バッタよりは、
軍艦バッタのほうがマシだと思うぞ。
- 南
- ははははは、なんだよ、マシって。
- 糸井
- だってショウリョウバッタは
文字が思い浮かばなすぎるよ。
- 南
- ショウリョウバッタは
俺がつくったわけじゃないよ。
- 糸井
- じゃあもう調べてみるよ。
‥‥‥‥あ、ショウリョウバッタは
やっぱり「精霊」だ。南さん、さすがです!
- 南
- 俺がつくったわけじゃないけどね。
- 篠原
- じゃあ、軍艦バッタも調べてみて。
いるはずなんだよ。
- 糸井
- どうだろうなあ‥‥
俺は、いないでほしいなあ‥‥
ちょっと待ってね。
なんか、あれだね、バッタの名前は、
なんか変な当てこすりみたいなのが多いね。
- 南
- 「当てこすり」(笑)。
- 糸井
- 殿様とか。
- 南
- 軍艦とか。
- 糸井
- うーん‥‥「軍艦バッタ」は出てこない。
- 篠原
- ない?
- 糸井
- クマちゃんの故郷、
室蘭にしかいなかったんじゃない?
ほら、室蘭、鉄の町だから。
- 篠原
- 方言みたいなもんだったのかな。
室蘭はね、艦砲射撃に遭ってね、
軍艦が来たんだよ。
- 南
- ああ、そうか。
- 篠原
- そのとき、野原に、
いっぱいバッタがいたんだろうな。
- 糸井
- それを「軍艦バッタ」と呼ぶようになりました、
ってことでどうだろう。
- 篠原
- ま、そういうことにしよう。
めんどくせえだよ、バッタぐらいでね。
- 南
- 「バッタぐらい」って(笑)。
- 篠原
- 殿様バッタが軍艦バッタなんだよ。
- 糸井
- じゃあ、室蘭で、
殿様ガエルは軍艦ガエル?
- 篠原
- いやいやいや、それは違う。
- 南
- (笑)
(まだつづきますけど、さすがにもう終盤へ?)
2026-03-30-MON
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写真・山口靖雄(MountainDonuts)
これまでの「黄昏」シリーズ
黄昏
黄昏放談
黄昏 日光・東北編
黄昏 あちこち編
黄昏 スカート編
黄昏 ブータン編






