紫外線と肌のこと

2022年GWに開催された「生活のたのしみ展」。
私たちシンクーのブースにも、
たくさんのお客様がいらしてくださいました。

ずらりと並んだシンクーの商品のなかでも、
とくに反響が大きかったのは、
UVカット効果のある製品でした。
「サイトで見て、気になってました」
こう言ってくださるかたの多かったこと!
鏡の前にご案内して、試していただくと、
「軽くてみずみずしい」
「すごく自然なツヤ」
「するすると気持ちいい」
たくさんの感想が集まりました。

もう少しお話してみると、さらに分かってきました。
まず、みなさん、肌になにも塗らずに外出するのは、
良くないことだと、感じていらっしゃいました。
日焼けによるシミやソバカスといった悩みの原因が、
紫外線にあるらしいということも、ご存じでした。

とはいえ、厚く、たくさん化粧品を塗るのは、
心地よくないとも、感じていらっしゃる。
「でも、なにか塗らなきゃ。ですよね?」
こう不安に感じて、訪れてくださったのでした。

日焼け止めを塗りましょう。
売る側である私たちは、当たり前のように、
このメッセージを発しています。でも。
そもそも、なぜ日焼けはいけないのでしょう?

これからの季節を心地よく過ごすために、
ふたりの専門家にお話を聞きました。

お話をうかがったのは、
スキンケアクリニック「美のかほり」院長で、
皮膚科医師である吉岡敦子さんと、
吉岡敦子さん
シンクーの化粧品作りをお願いしてる会社
「ハーブラボ」の研究員、Y.Nさん。
Y.Nさん
聞き手は、シンクーの鈴木です。

 

イラスト/小幡彩貴

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後編 肌を大切にしたいという気持ち

──
少し話は変わるんですが、
子どもの頃に浴びた紫外線量が、
肌の美しさに関係すると聞いたことがあります。
秋田に美人が多いといわれるのも、
紫外線量の少ない環境で育つからだ、とか。
子どもの頃に浴びてしまった紫外線は、もう、
返上できないのでしょうか?
Y.Nさん
まったくなかったことにするのは難しいですね。
大人になってから、光老化の進行を
どれだけ遅らせることが出来るか、でしょうね。
吉岡さん
子供の頃は真っ黒に焼けていても、
大人になって同窓会なんかで再会すると、
白くなっている人、いません?
──
私、小学校6年生までスポーツ少女で、
夏は全身脱皮するくらい焼けていました。
吉岡さん
遺伝的な要素も関係していますが、
子供の肌は新陳代謝が活発なので、
紫外線を受けたダメージからの回復が、
大人よりもうんと早いんですよ。
鈴木さんは、大人になってからは、
日焼け止めを塗るようになったでしょう?
──
はい、高校生くらいから、
おしゃれや美容に興味が出てきて。
でも、子どもの頃は、屋外でたくさん運動して、
骨を丈夫にしなさいと言われた世代です。
日焼け止めなんて塗っていなかったし。
吉岡さん
子どもといえども、
ダメージはゼロではないから、
日焼け止めを塗ることをおすすめしますね。
特に、肌の敏感な子には、
日焼け止めを塗ってあげてください。
──
オーガニックや低刺激をうたった、
子ども用の商品、ぐんと増えましたよね。
大人の私でも惹かれますもん。
子ども用の製品を私が使っても、
問題ないでしょうか?
吉岡さん
問題ありません。
──
逆の場合はどうでしょう?
お母さんと同じものを、子どもに塗るのは。
Y.Nさん
一部の商品には、紫外線吸収剤など、
肌への負担が比較的大きい成分が含まれています。
12歳未満が使用する場合は、
肌への負担についてきちんと考えられた処方の、
子どもの日焼け止めを使ったほうがいいです。
というのは、12歳を超えれば、
大人と同等のバリア機能が完成するので。
お母さんと同じもので、基本的にOKです。
──
先ほど骨の話が出ました。
今、過剰な紫外線対策による、
ビタミンD欠乏ということが言われますよね。
日焼けをしないと、ビタミンDが合成されない。
ビタミンDが不足すると、じゃあどうするか。
骨からもらうしかない。結果、
骨粗鬆症のリスクも高まる‥‥と。
吉岡さん
ええ。気になる問題ですよね。
ビタミンDって、カルシウムに比べると、
軽視されがちなんですよね。
でも、免疫力をアップさせる効果とか、
不妊症にも有効と言われていますから、
ぜひ摂取していただきたいです。
というか、ビタミンDに限らず、
そもそも人って、さまざまな栄養素を摂取して、
食事、睡眠、運動の3つをととのえて、
生活していかなければだめなんですよ。
──
肌だけではなく、体ぜんぶのこと。
吉岡さん
そう。だから、日焼け対策というのは、
何をどんなふうに塗るかも大切だけれど、
生活スタイル全体にかかわる、
意識の持ち方の話なんですよね。
夏なんだから少しくらい日焼けして当然、
と考えるのも、それはそれで、
ひとつのスタイルだと思いますし。
──
骨のことを考えると、
まったく日に当たらないのも、いけない。
でも、適度に浴びるさじ加減も、むずかしい。
Y.Nさん
そこですよね。
適量の指針になるものとしては、
日に必要とされるビタミン D 15 μg のうち、
ビタミン D10 μg を 生成するのに必要な日光浴の時間は、
季節や場所にもよりますが、
5~15 分程度とされています(※)。
※国立環境研究所地球環境センターが運営する
WEB サイト「ビタミン D 生成・紅斑紫外線量情報」 より
──
ちょっと洗濯物を干したり、
植物に水をあげたりするくらいの時間。
私、日焼けの話題になると、
祖母のことを思い出すんです。
ずっと農作業に従事して、
それでも肌はとても白くてきれいだった。
日焼け止めなんてない時代だったのに。
Y.Nさん
昔は化粧品が充実していなかったから、
お祖母様は必要最低限のお手入れのみで、
過ごされていたんじゃないでしょうか。
たとえば、昔からあるヘチマ水。
アミノ酸やサポニンと呼ばれる成分が豊富で、
美容に良いとされてきました。
そうした植物の知恵を利用することよって、
自らの肌の力を高めて、
美しさを保たれていたのかもしれませんね。
──
今ほど化粧品に頼れないからこそ、
肌を大切にする気持ちが、
強かったのかもしれません。
Y.Nさん
ところで、メラニンって、わかりますか?
──
肌に存在する黒い点のような‥‥。
紫外線を浴びると、メラニンの活動が活発になり、
シミができる、という図をCMで目にします。
Y.Nさん
良くないものとして描かれますよね。
でも、メラニンは紫外線から体を守る
役割も果たしているんです。
お祖母様は長年農作業に従事されて、
紫外線を浴びることによって、
肌の防御機能が鍛えられたのではと推測します。
──
へえ!
Y.Nさん
各化粧品メーカーが、
美白の分野ではげしい競争を重ねて、
「肌は白ければ白いほど良い」
という風潮が広まってきて。 
──
はい。美白という言葉を、
雑誌でも広告でも、目にしてきた世代です。
Y.Nさん
ただ、肌が白いということは、
メラニンが少ないということとほぼ同じ意味なんです。
メラニンというのは、紫外線を浴びた肌が
自らを守るために生み出す物質ですから、
それを完全にゼロにしてしまうと、
紫外線から肌を守ることができなくなります。
──
メラニンは、増えても、減っても、だめ。
Y.Nさん
適度にメラニンを維持しつつ、
肌の防御機能と美しさを兼ね備えることが、
大切なんじゃないでしょうか。
──
なるほど。
紫外線=怖いものというイメージ、
少し減ってきました。
日焼け止めをきちんと塗って、
帽子やサングラスでおしゃれをして、
遊びに行きたいなと思います。
吉岡さん
野外はもちろんだけれど、
室内でも、紫外線対策はしたほうがいいです。
──
ビルのオフィスでも、ですか。
吉岡さん
あまり神経質になる必要はないですが、
窓があるところは、基本的には
紫外線が入ってきていると考えられますから。
その流れでいうと、くもりや雨の日でも、
日焼け止めは塗ってくださいね。
Y.Nさん
晴れの日に比べて、曇りの日は60%、
雨の日は30%まで紫外線量は
落ちると言われてはいるものの、
本当に、油断はいけないですよね。
紫外線の中でも、光老化に大きく関わるUVAは、
窓ガラスを透過して、
80%が゙屋内に入るといわれますし。 
──
そんなに!
屋内の、窓のあるプールはどうでしょうか?
水の中だと冷たくて気持ちよくて、
つい油断してしまうのですが。
Y.Nさん
水はアスファルトよりも紫外線を反射します。
同じく、雪も反射します。
夏の海やプールはもちろん、
冬の雪山でも日焼け止めを塗って、
紫外線から肌を守ってください。
──
雪山で油断して、
ゴーグルの跡がくっきりついたことがありました。
うっかり焼けてしまった場合はどうすれば?
吉岡さん
日焼けは、やけどの一種ですから、
まず冷やして肌を沈静化させることです。
濡らしたタオルやとか、
冷たいおしぼりがあるといいですね。
タオルなどが手元にない場合は、
水道水などで冷やしてもいいと思います。
赤みが少しおさまって、熱がひいてきたら、
保湿や美白をうたった化粧水で保湿をしてください。
水ぶくれになるくらいひどい場合は、
皮膚科医を受診していただきたいですね。
Y.Nさん
目に見える変化がすぐには出なくても、
日焼けによって肌には負担がかかっていますし、
乾燥もしています。
水分を補給した肌に、乳液やクリーム、それも、
保湿や整肌に優れたアロエベラ葉エキスなどが
配合されたものを使うと、より効率的だと思います。 
──
植物の力ですね。
昔、やけどをした時、母が
アロエのプルプルした部分を貼ってくれました。
Y.Nさん
私たちが植物オイルをはじめとして、
自然由来の原料を使う理由も、そこにあります。
植物は自らを守って成長するために、
さまざまな成分を蓄えていて、
未知の力が、まだまだ、眠っていると思います。
──
日焼けって、シミやしわ以前に、
自分で肌に触れたときに、
ざらつきやカサつきに気がついて、
後ろめたさを感じてしまうんですよね。
防げたはずなのに、横着して、実践しなかった。
肌を大切にしてあげられなかったという自責の念。
せっかく気持ちのいい季節ですから、
ちゃんと日焼け止めを塗ろうと思います。
吉岡さん
もし、何を選べばいいか迷ったら、
できれば、気になる商品のサンプルをもらって、
首やフェイスラインに塗ってみてください。
汗でしみないかチェックしてみるのもおすすめです。
日焼け止めは一生必要なものですから、
合うものを見きわめてくださいね。
Y.Nさん
気象庁やウェザーニューズ社などのサイトで
紫外線情報を毎日提供しているので、
そうしたものに目を通してもいいかもしれませんね。
気象庁
ウェザーニューズ社
──
ありがとうございました。

(終わります)

2022-06-30-THU

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