もしかしたら誰にでもできる
「モノマネ講座」になっちゃうかなとはじめたら、
そうじゃなくて「おもしろがりつつ悩みつつ哲学する」
不思議な芸人さんが表れてきた。
ずっと「なんなんだろう」と考えているから、
おもしろいのかも。
動画で配信中の「ほぼ日の學校」の授業の一部を
読みものでご覧ください。

>清水ミチコさんプロフィール

清水ミチコ(しみずみちこ)

タレント。
岐阜県高山市出身。
学生時代よりラジオ『オールナイト・ニッポン』、
雑誌『ビックリハウス』等に投稿。
1983年、ラジオ番組の構成作家を始める。
次第に出演機会も増え、翌年からは
テレビCMの声のキャラクターを務め始める。
1986年、渋谷ジァンジァンにて初ライブ。
1987年、フジテレビ系『笑っていいとも!』
レギュラーとして全国区デビューを果たす。
また、同年12月発売『幸せの骨頂』でCDデビュー。
翌1988年スタートの
夢で逢えたら』にレギュラー出演、
伊集院みどり」のキャラクターが大ブレイク。
以後、独特のモノマネと上質な音楽パロディで注目され、
テレビ、ラジオ、映画、執筆、CD制作等、
幅広い分野で活躍し、
毎年の武道館単独公演も恒例となっている。
近著に鼎談集『三人三昧』(中央公論新社)、
エッセイ『私のテレビ日記』(講談社)、
CDに『趣味の演芸』(ソニーミュージック)、
DVDに『私という他人』(ソニーミュージック)
などがある。

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  • 出会いは「パロディー講座」

    清水
    よく「ほぼ日の學校」をやろうと思いましたね。
    だって毎日忙しいでしょう?
    糸井
    忙しいんだけど、おもしろいんです。
    先生なんかやりたくない」という人の話が、
    一番おもしろいんだもん。
    清水
    そうですね。
    私、糸井さんとの初対面は、
    糸井さんが私の「先生」だったんですよ。
    絶対に覚えてないと思うんですけど。
    池袋のコミュニティカレッジで、
    パロディ講座」というのがあって、
    そこにアラーキーさんや、南伸坊さんや、
    糸井さんが先生としていらっしゃって、
    それを受講したんです。
    先生たち、みんな照れてて、
    すっごくやりにくそうでした(笑)。
    糸井
    パロディ講座」?
    それは、やりにくかっただろうなぁ(笑)。
    清水
    パロディについて講義せよ」って
    ことだったからね。
    けっこう真面目なクラスもたくさんあって、
    その中の「パロディ講座」だったの。
    糸井さんたち、とにかく逃げるように来て、
    逃げるように去っていったって感じでした。
    南さんも、
    とりあえずモノマネして、
    この講座の時間が過ぎるのを待ってます」
    という感じで。
    糸井
    ええー。 大体のことは覚えているんだけど、
    なんで、それは覚えてないんだろう。
    清水
    たしかにあったのよ。
    そのときの資料も、まだうちにあるから。
    糸井
    そのとき清水さんは何歳でしたか?
    清水
    20歳か21歳かな。
    学生生活が終わって、アルバイトしながら‥‥。
    糸井
    よく、そんなところに行ったね。
    清水
    お金は高かったけれど、
    自分のためになるような気がしたんです。
    自分に投資してる」という感じで。
    糸井
    そこで何を学んだってわけじゃないけど、
    行ったことで得たものがあったということ?
    清水
    そうなんですよ。
    理屈にならない自信がつく」というか、
    自分は、ほかの人よりも
    少しかじってるぞ」と思えたり、
    同じようなこと考えて参加した人たちが、
    こんなにいるんだ!」って知ることで、
    みんな自分の味方なんだ」と思えたり。
    カルチャーセンターに参加する、って
    やっぱり「いいこと」だったんですよね。
    糸井
    いいこと言うね。
    清水
    カメラ目線で)
    清水ミチコです。ありがとうございます。
    拍手、結構です(笑)。

    スターは勉強する。

    清水
    ちょっと前に見た、NHKの特番の
    矢沢永吉さんの話がすごく良かったんです。
    矢沢さん、おしゃべり専門のCDを
    出してくれないかなぁ。
    聞いてるだけで、やる気になるんですよね。
    糸井
    ぼくもずっと見てるけど、すごいよね。
    すごく真剣に考えている。
    昔の自分」をちょっと笑えるところも含めて、
    自分を見る態度が一貫してるんですよね。
    清水
    お金に関しても、てらいがないですよね。
    普通の人だったら
    隠したりごまかしたりすることでも、
    ちゃんと言えるのって立派ですよね。
    糸井
    それこそ、あの人は、
    自分で学んでるんです。
    清水
    本当だ。今まで、えらい目にばっかり
    遭ってきてるもんね。
    糸井
    大昔に、ギターを弾けるようになるためだけでも、
    誰かか何かに習って学んでるわけですよ。
    本当かどうかわかんないんだけど、
    ギター講座で習ったんじゃないか、
    とかいう話もあって。
    英語だってベルリッツに行ってますし。
    清水
    そうなんですか?
    糸井
    アメリカに渡ろうとしたときに、
    ちゃんと学んでるんですよ。
    他にも、ぼくと一緒に釣りに行ったとき、
    釣りって仕掛けが多少あるから、
    じゃ、ぼくが永ちゃんのもやるよ」と言って
    作業をしてると、
    いや、ちょっとオレにやらせて」と言うの。
    そして、ぼくの真横に立って、同じ向きに構えて、
    ぼくの動作を真似して、全部やってみるんです。
    それで、「わかった、わかった」って
    自分でやれるようになって。
    清水
    へぇー、そういう人なんだ!
    糸井
    一級船舶も持ってるし。
    清水
    勉強家なんですね。
    糸井
    永ちゃんの会社の人の話だと、
    もう、床が紙くずだらけだったって。
    勉強した痕跡で。
    タモリさん、永ちゃん、それから
    最近では木村くんが取ったみたい。
    勉強しないとできないこと」を
    みんなやるんだよね。
    清水
    勉強、面倒くさそうですよね。
    一級船舶とか。
    糸井
    うん。スターは勉強するんです。
    清水
    スターは勉強するんだね。
    糸井
    それも、静かに(笑)。

    「リラックスすること」が練習。

    糸井
    モノマネをやってる本人は、
    なんでおもしろいんだろう」って
    思うことはないの?
    清水
    なんでおもしろいんだろう」って
    思うこと‥‥ある!
    糸井
    考えたことの一端を、教えてくれない?
    清水
    私が感じたことで、今ふと思い出したのは、
    お風呂に浸かって、
    誰々風」みたいな感じで、
    たとえばユーミンを歌うとしますよね。
    我ながら「すごく似てるなぁ」と思って、
    ステージの上でやってみるわけ。
    そしたら、その声が全然出ない。
    お風呂の自分はどこ行った?」
    という感じで、全然うまくいかないわけ。
    そのときに、
    しょっちゅうリラックスしてる」
    というのが、プロの練習だと思ったんです。
    喉の辺りを「遊ばせとく」というか。
    さあ ウケてみせる!」とか、
    似せてみせる!」となると、
    邪念がでてくるのか、筋肉みたいのが邪魔して、
    全然寄せられなくなる。
    そうか、これは本番ですよ。 
    本番だけど、全然緊張してませんよ」って
    自分の神経を持っていくわけ。
    糸井
    はぁー。
    つまり、どう似てるかを
    自分でチェックしながらは、
    やっちゃダメってことですね。
    清水
    そうですね。
    桃井かおりさんのマネも、
    高校時代からずっとやってるから、
    モノマネをしながら)
    もう、目をつぶってぇても
    桃井かおりには、なれたり
    するわけです】
    英会話と一緒でペラペラなわけ。
    一生しゃべってろ、って言われても
    平気なんだから】
    って感じなんですけど(笑)。
    まだ体に入ってないものだと、
    英会話の勉強、スペイン語の勉強を
    やり始めたばっかりだと、
    そんなに長くしゃべれないっていうのと一緒で、
    名前言って終わり、とかね。
    そんな感じになっちゃうんですよ。

    気持ちを抜くと、うまくいく。

    糸井
    どこかにいそうな人のモノマネは、
    ぼくもやりますよ。
    コピーライターがロケに行ったときって
    すごく暇なんですよ。
    特にすることないし、あまりにも暇だから、
    ロケを近所のおじさんが見に来た」って
    モノマネをよくしてました。
    清水
    やりそう(笑)。
    糸井
    あれ、有名な人でしょう?】
    あれ、知ってる! 知ってる!】
    清水
    笑)ちょっと子どもなんでしょうね。
    糸井さんって。
    糸井
    子どもなのかな。
    清水
    子どもですよ。
    脳みそがすぐ「暇だ、遊ぼう!」ってなるから、
    そういう、ふざけた行動にでるんですよ。
    つい先週も、矢野顕子さんのコンサートで、
    近くに糸井さんがいたんですよね。
    そしたら、会場のアナウンスがあって。
    お客様に申し上げます。
    ブラボーなどの歓声は‥‥」って
    言われた時点で、糸井さんが
    ブラボー!!」って言ってたもんね(笑)。
    なんでやるんだよ!って。
    糸井
    確かに、あれはおかしかった。
    清水
    おかしかった。
    ブラボーなど」って言われると、
    おかしいね。
    あれって、感極まって、つい出るものなのに、
    改めて言われると「先に言うなよ!」って。
    糸井
    特に、普段「ブラボー」って言葉は
    言わないから、余計恥ずかしい。
    糸井
    そうか。それは子どものやることなのか。
    清水
    そうですね。
    いつまでも遊んでるように見える」
    というか。
    糸井
    清水さんもそうなんじゃない?
    清水
    そうですね。
    私もそういうところは子どもっぽいというか。
    仕事だ、がんばらねば!」と思うと、
    ライブとかも、すごくつまんなくなるでしょうね。
    不思議ですね。
    どうでもいいんだ」と思ってやると
    100%なのに。
    お客様は本当に神様です!」と思うと、
    全然つまらないんですよね。
    糸井
    でもさ、段取りができなかったら、
    ワンマンコンサートはできないじゃない?
    ここではける、とか、そういうのは
    ちゃんとやってるわけでしょう?
    清水
    そうですね、ちゃんとやってる。
    糸井
    じゃあ、あいだを抜いてるの?
    清水
    気持ちを抜く」っていうのは、すごくあります。
    糸井
    たいしたもんだなぁ。
    俺もそんな人になってみたいな(笑)。

    清水ミチコさんの授業のすべては、
    ほぼ日の學校」で映像でご覧いただけます。


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