今年、2026年はFIFAワールドカップがあります。
みなさんご存知でしたか?
ほぼ日の社内では、なにせ野球人気が高いもので、
あまりよく知らない人もいました。
そのことにやきもきしていた
サッカー好きの乗組員たちが、社内のサッカー熱を
上げようと、すごい方をお呼びしましたよ。
2010年サッカー男子ワールドカップ決勝の舞台に立った
唯一の日本人、西村雄一FIFAワールドカップレフェリーです! 
自身も休日にサッカー審判員を務める、
西村さんの仲間、乗組員佐久間も同席し、
初心者にもわかりやすく、審判の役割や
サッカーのおもしろさを聞きました。
今年のワールドカップは、一味違う楽しみ方が
できるかもしれません。さあ、キックオフ! 

>西村雄一さんプロフィール

西村雄一(にしむら・ゆういち)

1972年 東京都生まれ。
2010・2014 FIFAワールドカップレフェリー
(元国際審判員・元プロフェッショナルレフェリー)。
2010年のFIFAワールドカップ南アフリカ大会では、
決勝戦での第4の審判員を務め、
2014年のFIFAワールドカップブラジル大会では、
開幕戦で主審を務めた。
2014年まで国際審判員を務め、
2024年シーズンをもってJリーグ担当審判員を退任し、
現在は(公財)日本サッカー協会(JFA)
審判マネジャーを務めている。

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【第1回】レフェリングとはマネジメント

西村
笛を吹いて始めましょうか。いきます。
(ホイッスル)
ピーーーーーッ! 
──
おおーーっ。気分が高まります! 
このホイッスルは、
実際に試合で使われていたものですか。
西村
はい。
2010年の南アフリカワールドカップで使った
笛の音をお届けしました。
──
なんと、それを
こんなところで使っていただいて‥‥(笑)
ありがとうございます。
西村
いえいえ。
笛も、音が鳴ったほうが喜びますから。

──
サッカーが好きな方で、西村さんを
知らない方はいないと思いますが、
ちょっとだけご紹介から
お願いしてもよろしいですか。
佐久間
では、私から
雄一さんを紹介させてもらいます。
──
あ、なぜか西村さんの隣に座っている、
佐久間さんの自己紹介もお願いしますね。
佐久間
はい。ほぼ日乗組員の佐久間です。
私は、休日はサッカー審判員として
活動していて、もともと西村さんの
友人であり「弟子」なんです。
そのご縁があって、今回西村さんを
お呼びすることができました。
きょうは、私から見た西村さんのことを
お話ししたり、
サッカーについて豆知識を挟んだりする
役回りで、同席させてもらいます。
よろしくお願いします。
そして、西村雄一さんは、
歴代5人目のサッカーの
プロフェッショナルレフェリーです。
長く、Jリーグと、
FIFAワールドカップを中心とした国際大会で
活躍されていました。
雄一さんは、ワールドカップで主審を務めた
日本人歴代4人目のレフェリーでもあります。
2010年南アフリカ大会の決勝と、
2014年のブラジル大会の開幕戦と
3位決定戦も担当されていた、
世界的なトップのレフェリーです。

西村
ありがとうございます。
よろしくお願いします。
──
あらためて、よろしくお願いします。
すごく初歩的なことから
お聞きしてしまうのですが、
サッカーの審判員とは、
試合中にそもそもどんなことを
されているんでしょうか。
西村
そうですね‥‥逆に聞いてみましょうか。
サッカーの審判員って、
ジャッジをする人だと思いますか? 
それとも、マネジメントをする人だと
思いますか? 
──
えーっと‥‥ジャッジをしている
イメージがあります。
西村
そのとおり、ジャッジはしています。
でも、じつは、最終的にはマネジメントを
しているんです。
──
えっ、選手のマネジメントを? 
西村
選手もですし、
ゲーム全体のマネジメントもします。
審判員は、みんなが楽しく
サッカーができるように、
マネジメントをする人なんです。
ジャッジだけだと、
うまくいかないことがほとんどです。
──
マネジメントとは、
具体的にはどんなことをされるんですか。
西村
たとえば、選手が競い合うなかで、
一生懸命やっていると、どうしても
接触が起きてしまうことがあります。
そのとき「規則に照らすとファウルだな」
と見極めるところまでがジャッジです。
ですが、ファウルひとつのなかにも、
両チームの選手の思いがあるので、
その思いをちゃんと受け止めて、
お互いが理解、納得できるように整える。
そこがマネジメントなんです。
選手どうしが怒ってしまっているときには、
なんとか相手の気持ちを理解してもらって、
「お互いに納得できるかい?」と
合意を形成する。
そして「じゃあ、気持ちよくやろう」と、
同じ未来を一緒に選んでもらう。
要は、選手たちが安心して競い合い、
観客のみなさんにも
楽しんでもらえるゲームになるような
マネジメントですね。
なので、プレーそのものの
「いい」「悪い」
をジャッジしているのではなく、
競技としてどう成立させるのか。
そこを考え続けているんですね。
──
そうなんですね、
最初からイメージがくつがえりました。
選手のなかには、けっこう、
感情をあらわにする方も
いらっしゃるんですか。
西村
感情があってこそ、
サッカーは面白くなりますから。
観客のみなさんはその部分、
選手の感情も見たいんだと思います。
もちろん、すばらしいプレーも
サッカーの醍醐味ですが、
選手の感情の動きも含めて楽しまれている。
なので、レフェリーとしては、
選手たちの感情を受け止めて、
ゲームとして成立させながら、
観客のみなさんにも楽しんでもらう。
これを実現したいと考えています。

──
観客も試合をかたちづくる一員なんですね。
観客として試合を見る場合と、
審判として見る場合は、
どんなふうに見方が違いますか。
西村
私が、日本代表の試合を
観客として観戦するのであれば、
「選手たちの一生懸命さ」
を応援する気持ちで見ています。
審判として見る場合は、
両チームの選手たちが、
日ごろの練習の成果を発揮して
輝いているかな…
ということを考えて観ています。
──
どちらかのチームを応援することは
できないですもんね。
西村
そうですね(笑)。
サッカーというスポーツは、
ほかの多くのスポーツと同じく、
相手がいないと成り立たないものです。
なので、選手たちには、お互いに
相手をちゃんとリスペクトしたうえで、
競い合って練習の成果を発揮してもらう。
そうすると、応援している方々にも
喜んでもらえるゲームになりますね。

(明日に続きます)

2026-06-15-MON

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