2023年春、ほぼ日は自転車を販売します。
自転車メーカー、
「トーキョーバイク」さんとのコラボモデルです。

「トーキョーバイク」で人気の車体に、
ほぼ日オリジナルのカラーリングをほどこしました。
フレームには、ほぼ日がたいせつにしている
「ONLY IS NOT LONELY」ということばも。

山を走るのが「マウンテンバイク」なら、
東京を走るのが「トーキョーバイク」。
もちろん、東京だけでなく、あなたの街でも。

「速さ」や「移動」のための機能よりも、
なんでもない日常にたのしい変化を加えるような
「かろやかさ」や「ここちよさ」をたいせつにする‥‥。
そんな「トーキョーバイク」の自転車のありかたに、
わたしたちほぼ日は、ときめいたのでした。

清澄白河にある店舗にお邪魔して、
「株式会社トーキョーバイク」代表、
金井一郎さんにお話を聞きました。

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第1回 

ペダルを自力でこぐ気持ちよさ。

───
こんにちはー。
お邪魔いたします。
金井
こんにちは。
ようこそいらっしゃいました。

───
‥‥広いお店ですねぇ。
2階まで吹き抜けになっている。
金井
もともと倉庫として使われていた建物を
改装したんです。
3階にオフィスがあるんですよ。

───
2階には植物がたくさんありますが‥‥
販売しているんですか?
金井
はい。
「プラントソサエティ トーキョーフラッグシップ
(The Plant Society Tokyo Flagship )」
というメルボルンのお店が入っています。

───
いいですねぇ、
ああいう植物をぽんと自分の部屋に置きたいです。
金井
「自転車のある暮らし」を
たのしんでほしいと思っているので、
生活のなかには植物もあったほうがいいな、
ということで
植物のお店に入ってもらいました。
───
お店の入り口にあるカウンターは、
コーヒー屋さんですか? 

金井
はい。
コーヒーを提供するお店に入ってもらっています。
今日は残念ながら臨時休業なんです。
ほんとうはここでコーヒーでも飲みながら
お話ししたかったんですが。
───
ああー、飲みたかったです(笑)。
金井
次はぜひ(笑)。
───
こういうお店だと、街を歩いている人が
「あ、コーヒー屋さんだ」と入ってきて、
「あれ? 自転車屋さんなの?」
みたいなことがありそうですね。
金井
そうなんです(笑)、
そうやって来てくださるお客さんも多いんですよ。

───
自転車屋さんというより、
カフェとか雑貨屋さんみたいな雰囲気で。
どうしてこのような複合施設にしたのですか? 
金井
うちだけでやると、
やっぱり「自転車屋さん」に
なってしまうんです。
自転車が目当てじゃない人たちが来て、
偶然トーキョーバイクを知ってくれるような、
そういう場所にしたいなと。
───
偶然、ですか。
金井
はい。自転車屋って、
自転車を買うときと、修理のときくらいしか
入る機会がないですよね。
トーキョーバイクは、自転車を買わなくても
気軽に立ち寄れるお店にしたかったんです。

───
いわれてみると、そうですね、
ふらっと自転車屋さんに
行くことはないかもしれません。
昔は自転車屋さんが子どもたちの
たまり場になってたので、
小学生のころにはよく行きましたが。
金井
そう、昔の自転車屋さんには
地域密着型というイメージがありました。
最近は大型の量販店で買う人が多くて、
街の自転車屋さんは減ってきましたよね。
トーキョーバイクのお店は、
街のたまり場にしたいと思っているんです。
───
いいですね、大人も通えるたまり場。
金井
ええ。
───
向こうの1階の奥に、
作業場のようなスペースがありますが‥‥?
金井
あそこは自転車を修理する場所です。
長く乗っていると、
どうしてもワイヤーが伸びたりします。
何か不具合があったときに
持ってきていただければ、
ここでチェックしています。
───
なるほど、そのスペースは
しっかりと自転車屋さんですね。

───
で、こちらへ戻ってくると、
おしゃれな空間が‥‥。
‥‥ついつい、くつろいでしまいます。
「トーキョーバイク」のお話をうかがわないと。
今日はそのために来たのでした。
金井
はい(笑)。

───
このたびトーキョーバイクさんで、
ほぼ日オリジナルカラーの
自転車を特別に作っていただけるということで。
ありがとうございます。
金井
こちらこそありがとうございます。
───
金井さんは、
ほぼ日のことをご存じでしたでしょうか。
金井
もちろんです。
ほぼ日さんとわたしたちのお客さんは、
親和性がすごく高いと思っていました。
───
おお、ありがとうございます。 
どんなところに親和性があると思われますか? 
金井
なんていうんでしょう‥‥
マニアじゃないけれど、
ちゃんといいものを選んで、
毎日の暮らしがどうやったらたのしくなるかを
考えている人たち、というか。
───
ああ、それはすごくうれしいです。
ほぼ日はインターネットの会社なのに、
扱っている商品は
手帳、ハラマキ、タオルとか、
電源のいらないものばっかりなんです。
金井
ほんとうですね(笑)。
───
自転車もそうだなと、
ここへ来て思いました。
自力でペダルをこぐわけですからね。

金井
そうですね。
───
トーキョーバイクさんに、
電動アシスト付きのタイプは‥‥? 
金井
導入しないと決めてはいないのですが、
そうですね、現在電動アシスト車は無いです。
───
電動アシストの自転車はほんとに便利で
助かっている人はたくさんいますし、
私自身も最近はもっぱら
アシストつきなのですが‥‥。
こうして拝見していると、
なんていうんでしょう、
はじめて自転車に乗れたときの、
あのよろこびを思い出すような‥‥。
金井
ええ、その感覚。
自転車に乗るときには、
身体を動かすたのしさを感じていただきたい
という気持ちがあります。
「自分の力でこぐ気持ちよさ」を味わってほしい。
スーッと身体が前に進む感じ。
うちの自転車に乗っていただくとわかるのですが、
軽くこぐだけで進んでいくんですよ。
───
自分でこぐ気持ちよさ‥‥。
移動手段として乗るだけではなく、
乗ること自体をたのしむ。
金井
はい。
そういう自転車を提供したいと思っています。
子どものころ自転車に乗って、
あてもなく遠くまで走ったりしませんでしたか? 

───
しましたしました。
「どこまで遠くに行けるか行ってみよう!」
みたいな(笑)。
金井
そうそう。冒険に出るみたいに
ドキドキしながら乗っていましたよね。
それが大人になると自転車は、
近所へ買い物にいくとか、
最寄りの駅に行くとか、
目的のために乗るものに変わるんです。
───
たしかに‥‥。
わたしも家と駅の往復で使っています。
金井
自転車があれば、
もっともっといろいろなところへ行けるんです。
たとえばこの清澄白河からは、
浅草にもお台場にも30分で行けちゃいます。
電車で行く場所だと思っていたところにも、
意外とすぐ行けてしまう。
───
自分でこいで。
金井
自分でこいで、
「ここまで来ちゃった」とか、
「ここはどこだろう? おもしろい街だなぁ」
というようなことができるんです。
それって、毎日をちょっとたのしくしますよね。
───
‥‥すごく、それをやってみたくなりました。

(つづきます)

2023-05-26-FRI

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