THE KING OF GAMES
（ザ キング オブ ゲームズ）が、
2003年に『MOTHER１＋２』の
発売記念としてつくった、
「SMAAAASH!! STARMAN Tシャツ」の復刻版は、
当時と同じ京都のプリント工場でプリントしています。
熟練した職人さんが１枚、１枚、
手でプリントを仕上げていくようすは
想像以上に繊細で手間がかかっていて、びっくり。
工場を案内してくれたのは、
THE KING OF GAMESを運営する
エディットモードの江南匡晃さんと、
プリントプロジェクトの宮崎孝法さんです。

――

現場を見て、
「手仕事だったの?!」とびっくりしました。
職人さんが手で刷っているんですねえ。

宮崎

機械より手のほうが正確なんですわ。
オートでプリントされているところのほうが
合わないですよ。
機械は途中で止めれないんで、
手のほうがロスが少ないんですね。ミスも。

△プリントプロジェクトの宮崎孝法さん。

江南

うちのTシャツのプリントは
宮崎さんのところに、ほとんどお願いしてまして、
20代の頃から20年近いおつきあいになります。
20年前、「ドカンマリオTシャツ」をつくるときに、
いつもお願いしていたプリント会社にお願いしたら、
「こんな細かいの、できひん」っていわれたんですよ。
で、「こういうのが得意な人がおるから紹介するよ」って
宮崎さんを教えてもらったのが最初ですよね。

△エディットモードの江南匡晃さん。

宮崎

そうですね。

――

宮崎さんのご実家は友禅の版を
代々つくっておられるとか？

宮崎

そうです、そうです。

――

さっき、友禅は１着200版くらいと
うかがいましたが
200版‥‥200色って
とんでもない数ですねえ。

江南

‥‥すごい。

△パールグレーの色を染める用の版。

――

友禅に比べればどんなに色数が多いTシャツでも
たいしたことないという気持ちになるとか？

宮崎

うーん、ですけど、まぁ、
TシャツはTシャツで難しいんですよね。
振袖と比べて、一番難しいのは
Tシャツは生地に色がついてるいうことです。
友禅は生地のベースが白だから、
どんな色でもきれいに出るんですよ。
Tシャツはベースの色が白ばかりじゃないから、
出ない色がね、どうしても出てくるんで。

江南

ああ、スターマンのTシャツは
ボディが黒だから
パールグレーとピンクを
それぞれ２回ずつ、
重ね塗りしてるんですね。

△パールグレーが染まりました。

――

パールグレー２回、ピンク２回、
合計４回も刷っていたんですか?!
気がつかなかったです。
しかも手で刷って、細かい文字が
１ミリも全然ぶれないっていうのがすごい。

宮崎

ぶれないようにいろいろ
秘密の工夫をしています。

「スケージ」という染めるときに使うヘラのようなものが何十種類もありました。 生地の質や生地目の大きさ、染料の粘度などにあわせて、 いちばんいい具合に合うものを職人さんが選んで使うそうです。

――

手染め‥‥手染めなのがすごいですね。
１回に500枚、1000枚と
けっこうな数をつくるところで、
手染めを捨てずにやってらっしゃる理由は
なんですか？

宮崎

クレイジーなだけです（笑）。
京都なんで、海外の人が、
たまに見学に来られるんですけど、
「何色、手でやっとんねん」
「クレイジープリント」って言うて、帰らはれる。
アメリカはもうみんな機械なんでね。
「アメリカでは考えられん」ってことらしいですね。

――

そういえば、Tシャツって、
いま、国産のほうがめずらしいかもですね。

宮崎：そうですね。

――

京都は観光地というイメージがあったので、
街の中心から近いところに、
工場があることが意外でした。

宮崎：工場や工房、多いです。多いです。

――

ずっと昔から、
お着物をつくっているような産業が
発達してる土地だから、
繊維関連の工場がいっぱいあるのですねえ。

江南

THE KING OF GAMESにとって、
同じ京都で、近くにそうやって
プリントされてる方がいるっていうのは
すごい大きかったです。