いま、ファッションやアートの分野で、
若い世代を中心に注目されている
Lee Izumidaさんに、聞きました。
絵を描くにあたって、創作にあたって、
たいせつにしていることは何ですか？
さらには、
「まあまあ長かった」売れなかった時代、
セレクトショップにつとめていたころに
学んだこと‥‥など、いろいろと。
担当は「ほぼ日」奥野です。
あ、Leeさんは、来年2023年版の
「ほぼ日ホワイトボードカレンダー」の
「月の数字」を描いてくださってます。
そちらもぜひ、チェックしてみてください。
Lee Izumida（リー イズミダ）
絵描き
1986年、北海道生まれ。幼少期から絵を描き始める。アメリカ留学時に絵を学ぶ。
2015年より東京に拠点を移し、2019年より本格的に絵描きとしての活動をスタート。
アクリル画の作品を中心に、看板や宣伝美術、ウィンドウに用いられる絵や文字を描いている。
- ──
- 今回、リーさんは
カレンダーの「月の数字」を
どんな思いで
描いてくださったんですか。
- LEE
- 商品に関わらせていただくときには
いつでも、
使う人の気持ちを
第一に考えなきゃって思っています。 - 今回の場合、ひとつひとつの数字を
単体の絵として見たときは、
もっといろいろ派手に描いたほうが
かわいくなる、
かわいくすることは、できますよね。
- ──
- ぼくたちが、
はじめのラフを見てご相談したのも、
そのあたりのことでした。 - リーさんと言えば、
お花やどうぶつの絵がすてきですし。
- LEE
- そうですよね。ですけど、
このホワイトボードカレンダーって、
描いて消せる仕様だし、
みんな、すごい書き込むだろうなと。 - 自分自身、すごく書き込んだんです。
使わせてもらったら。
なので、わたしの絵でつくる場合も、
書き込むスペースは、
できるだけ、確保したかったんです。
- ──
- 結果、シンプルに数字だけになった。
- LEE
- 買ってもらったら終わりじゃなくて、
どんなふうに使われるのか、
便利に使ってもらえるか、
その後のことがすごく気になるので。
- ──
- そういうことが気になるのって、
ショップの店員さんとして
はたらいていた経験が大きいですか。
- LEE
- たぶん、それだと思います。
- 接客業をやってなかったら、
そういう気持ちにはならないと思う。
いま描きたいものを
ごちゃごちゃと詰め込んじゃったり。
でも、それを商品でやっちゃうと、
ただの自己満足になると思うんです。
- ──
- なるほど。
- LEE
- とくに、このほぼ日のカレンダーは、
毎年使っている人が多くて、
その年代も幅広いとうかがったので、
ただ派手に描いちゃったら、
使いにくい人もいるだろうなあ、と。
- ──
- アパレルの販売員さんでありながら
並行してライターもやっている
岩本ろみさんという方が、
「ほぼ日」で不定期連載していて、
自分が、
その編集担当をしているんですけど。
- LEE
- ええ。
- ──
- ろみさんが、販売員として尊敬する
「ものを売る人」に、
ライターとして聞く連載なんですが、
その取材に同行していると、
「ものを売る」って、
ものすごーくおもしろくって、
クリエイティブだなあと思うんです。
- LEE
- いやあ、うん。ほんとそう。
同時にとても大変なことだと思います。 - たとえいいものをつくっても、
売る現場がきちんと説明できなければ、
お客さんには伝わらないので。
だから、いまはつくり手の立場ですが、
わたしたちも、売ってくれる人に、
きちんと説明するってことを、
やっていかないとダメだなと思います。
- ──
- お店先での組み合わせみたいなことで、
相乗効果をうみだしたり、
みなさん、
本当にいろんなことをたくさん考えて、
ものを売っていたんだなあって。 - なので昔みたいに、もっと
リアルなお店に行って買い物したいと
思ってるんです、最近。
- LEE
- 迷うこととかでも楽しいですもんね。
お店でお買い物をするときって。
- ──
- リーさんは、商品以外にも、
ショップのウィンドウに絵を描く‥‥
というお仕事も
たくさんやられてるじゃないですか。 - あれはまた、
商品の仕事とはちがったりしますか。
- LEE
- その場合も、自分の意見は言いますね。
その点は商品と同じです。 - このイメージを、このへんに、
このまま描いてほしい、という仕事は、
あんまり得意じゃないので。
- ──
- なるほど。
- LEE
- まず、ざっくりしたコンセプトと、
ダメな方向性を聞いて、
じゃあ、こういうのはどうでしょうと、
自分が描きたいものを提案します。
商品と同じように、
話し合いながら進めていく感じですね。 - やっぱり、一緒に何かをつくる感じが、
わたしは好きなんです。
- ──
- 作品とか商品とはちがって、
ディスプレイは
一定期間が過ぎたら消えちゃいますが、
そのことについては、
何か、思うことってありますか。
- LEE
- 消えるから楽しいです。
- ──
- あ、そうですか。
- LEE
- はい。ディスプレイの仕事は、
消えるから楽しいなって思っています。 - 一定の時間しか存在しないもの‥‥を
つくるのって、やっぱり、
商品や作品とは別の楽しさがあります。
- ──
- なるほど‥‥わかる気がします。
消えてしまうからできることなんかも
ありそうですしね。 - じゃあ、商品でもなく、
ウィンドウのディスプレイでもなく
作品制作や個展って、
リーさんにとってどんなものですか。
- LEE
- わたしは、個展ができなくなるくらい
忙しくなっちゃうようなら、
クライアントワークは、やらないです。
- ──
- つまり、いちばんやりたいこと。
- LEE
- そうです。
- 描きたい絵を描いて個展を開くことが、
わたしの、いちばんやりたいことです。
（つづきます）
2022-12-17-SAT
-
2023年の
ほぼ日ホワイトボードカレンダーは
Lee Izumidaさん！
毎年、一級の作家にお願いしている
ほぼ日ホワイトボードカレンダーの
「月の数字」ですが、
2023年版は、Lee Izumidaさんに
描き下ろしていただきました。
インタビューでも語られていますが、
ファッショナブルでおしゃれなのに、
どんな年代の人にも使いやすい
シンプルさを兼ね備えた、
素敵な数字を描いてくださいました。
ぜひ、手にとってみてください！
