
「食」を中心にして、食べることの大切さや
食材を作る農家さん、日本の景色を守りたい
という思いで暮らす、
料理人野村さんがおすすめしてくれた、
お店や自宅で愛用しているスツール。
野村さんと一緒に作った
WRIGHTの河野さんにお話しをうかがいました。
-
- ──
- 今回、野村友里さんと作られたスツールを
ご紹介させていただくことになりまして。
野村さんとは、IDEEでご一緒だったとうかがいました。
- 河野
- そうなんです。
ここのショールームIn a Stationも、
そのときの仲間の熱田さんと一緒に始めました。
会社は別なんですけど、それぞれ家具の仕事をしていて、
それで2人で家具屋をやろうということで。
- ──
- 河野さんのお仕事は、こうやって、
お店をされたり、家具を作られたり、ですか?
- 河野
- 普段は主に商業施設やホテルなんかの家具を
設計士さんやオーナーさんと
一緒に作って納品しています。
ここのお店は木金土だけ開けていて、
一般の方向けでやってるという感じですね。 - ここはどちらかというと僕らが好きな世界観だったり、
表現したいものを展示して売っているような。
アイテムとしてはオリジナルからヴィンテージ、
アンティークのものもあります。
作家さんのものもちらほらあったり、
ミックスされています。

- ──
- なんだか、おうちにお邪魔した気持ちになります。
- 河野
- いわゆるモダンなショールーム、
っていう感じではないですよね。
自分たちが好きなことだったり、
それに囲まれた空間というほうが好きなので。 - オリジナルのもの、
アンティークのデンマークのもの、
それからメキシコの民芸の椅子も。
これはエキパルスチェアといって、
メキシコに行ったときに買い付けしてきて。
すごく好きなので、
これのアウトラインを切り取ってモチーフにして
オリジナルで作ってる椅子もあります。

- ──
- えー、なるほど~。どちらもすてきですね。
- 河野
- 南米がけっこう好きなんです。
あまり国ではこだわってないので、
いろいろありますね。
- ──
- そうやって外国で買い付けたり、
オリジナルで作られたりしたものが並んでいると。
- 河野
- はい。この照明はイタリアで買いました。
- ──
- あー、かっこいい。
この建物も面白いですね。

- 河野
- この建物はね、元々質屋さんだったんです。
50年ぐらい前の建物だそうです。
- ──
- 質屋さんから、こんなすてきな
家具のショールームに。
椅子が多いんですね。
- 河野
- 椅子はね、なんか物件をいろいろやってると
どんどん増えていっちゃって。
椅子を買うときって、1脚ではなくて、
複数そろえるから、それに対応できるように
セットで置いてるので。
- ──
- たしかにそうですね。
eatripの家具も手がけられたんですか?
- 河野
- eatripの原宿のお店の家具はやりました。
テーブルとか、スツールとか。
そのときもそうだったんですけど、
(野村)友里ちゃんと作るときっていつも
けっこうディスカッションしながら、ですね。
最初からデザインありきじゃなくて。
このスツールもそういう流れで。
「食」にまつわる素材でできないかなと思って。
で、クルミだったりメープルだったり。あとチェリー。
実になる、食べられるものの木を使ったんです。 - 形も、「しっかりデザインしました」
っていうのじゃなくて、
道端に落ちてる石ころじゃないですけど、
あんまりデザインが前に来るものじゃなくて、
その場に佇んでも違和感ないものを目指して。
- ──
- 石ころからできた、家具。
- 河野
- 最初の形は、
それこそぼくが海辺で拾って、
きれいだと思った石ころを
そのままちょっとトレースして座面にしたんです。 - この取っ手も最初はなかったんですけど、
友里ちゃんと話してて
「取っ手欲しくない?」「ああ、いいね」って、
それで付けたんです。
結果、こうやって持ち運びできるし、
なんかかわいいですよね。

- ──
- 比喩かと思ったら、
本当に石を元にされたんですね。
そうやって、お話しながら、
形が決まっていくんですね。
- 河野
- 今回お話いただいて、また友里ちゃんとも話して、
もうちょっとお尻に気持ちよくフィットして
座りのいい大きさと形状にしようということで。
- ──
- バージョンアップですね。
- 河野
- 考えるのも、すごい楽しかったです。
- ──
- お尻にフィットするこういう形、
くぼみというかでっぱりというか、
これはやっぱり大事なんですか。
- 河野
- 大事ですね、椅子なので。
伝統的なシューメーカーチェアーとか、
もっと凹凸がはっきりしたものもありますけど、
やっぱりあると、座りやすいんですよ。
- ──
- それに比べるとこちらは穏やかな凹凸。
- 河野
- そうです。

- ──
- 野村さんも何年間か使ってみて、
もうちょっとこうしたら、
ということが出てきたんでしょうね。
- 河野
- そう、ずーっと言ってたんですよ。
もう1回やりたいって。
「あのスツールを買いたいです」
というお問い合わせも、ちょこちょこ入っていて。
なので、ほぼ日さんからお話しがあって、
これがちょうどいい機会になって。
- ──
- あー、そうですか。よかったです。
- 河野
- 脚のつくりもちょっと変えて、
強度的にもバージョンアップというか。
デザインし直してモダンになったかな。
- ──
- 今回の木はなんですか?
- 河野
- クルミです。北海道の。
今回この取っ手にイグサを巻くっていう話もあって、
そうすると、いろんな素材が入って、
ごちゃごちゃしちゃうんですよね。
クルミならクルミで、
割り切った方がなじむんじゃないかって。
- ──
- 紆余曲折があったんですね。
製作自体は北海道でされてるんですよね。
工房ともずっと長いお付き合いを?
- 河野
- そうです、そうです。旭川の工房なんですけど。
もうずっと20年ぐらい付き合ってるところで。
- ──
- 個体差ってけっこうあるんですか。
- 河野
- ちょっとあるとは思います。
たとえばこういう節が入ってたりとか。

- ──
- 節、かっこいいです。
- 河野
- かっこいいですか。うれしいです。
こういうの、あまりみんなは使わない。
はじかれちゃう部分なんですよね、これ。
- ──
- 自然のものですからね。
均一じゃつまらないし、それもご縁として。
- 河野
- あった方がいいですよね。
- ──
- そこも含めて、愛でたいです。
お手入れはどうしたらいいんでしょうか?
- 河野
- 基本的には、から拭きですね。
オイル仕上げなんですけど、ずーっと使ってると
やっぱり乾いてくるので、
1年に1回とか2回くらい、
オイルを塗ってもらうのがいいですね。
家具用オイルというのが、あります。
ただ友里ちゃんの家で使ってるのなんかは、
たぶんほとんど何もしてないと思うんですけど
人の手の脂でツヤが出て、
すごくいい感じにはなってるんですよ。

- ──
- なるほど。
使っていくうちにどんどん育っていく。
- 河野
- そうですね。
そこまで気にする必要ないと思いますね。
- ──
- うれしいですね、それは。
- 河野
- そうそう、裏面に「eatrippe」という
スツールの名前をつけようと思ってます。
- ──
- かわいい響きですね、楽しみです。
スツールとして使ってもいいし、
インテリアとしても。
今回の受注販売の機会を逃すと、
次にいつ買えるかはわかりません。
ぜひこの機会を、お見逃しなく。
河野さん、ありがとうございました。

