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#41 カレー、どこまでも

この漫画のもとになった投稿

とてつもなく具合が悪そうなときに、
「何なら食べられそう?」と聞くと、
100%の確率で
「カレー」という返事がかえってくる。

ゲボゲボごほごほして、
生まれたての子鹿みたいに
プルプル震えていてさえも、
「カレーなら食べる」と答える。

一緒に暮らしはじめた当初は
度肝を抜かれたけれども、
20数年経ったいまではもう慣れた。
(わたしは絶対に
おかゆかうどんしか食べられないし、
ちいさいころから
ずっとそれが当たり前と思って生きてきたし、
いまも心からそう思っている)

だからいまはもう、
最初から「カレーならいけんの?」と聞く。
声が出なくなっていても、
親指を立てて返事をする同居人。
慣れていても、毎回ちゃんとおもしろい。

すごいのは、いつもきっちり
おかわりまでして完食すること。
絶対に一杯では終わらない。
なんならもう一杯食べようとして、
さすがにそれはやめとけと、
わたしに止められる。

他はプリンやゼリー飲料しか
食べられないときも、
カレーだけはしっかり食べる。
プリンとゼリーとカレーは、
果たして同列に並べていいものなのだろうか。
アナタの身体にとってはそうなのかと、
彼の細胞に問うてみたい。

逆に言うと、カレーさえ食べられていたら
きっとなんでも大丈夫なのだろうとも思う。

だったらもう、これからもずっと、
どんなときも、カレーを食べ続けてほしい。
ヨボヨボになっても、
だんだん食が細くなっていっても、
カレーだけは食べられるおじいちゃんであれ。

わたしも、
カレーだけは作れるおばあちゃんに
なりたいと思う。

(RINATARO/いつかの「今日のダンナ」より

2025-09-18-THU

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    「今日の小ネタ劇場」とは

    2005年から連載を開始した読者投稿コンテンツです。2022年時点ですでに17年以上、「今日のコドモ」「今日のダンナ」「今日のじーばー」「今日の気になるあいつ」….などの20以上のカテゴリから、日替わりで毎日欠かさず3ネタを更新してきました。アーカイブを残していないため、その日のネタは、その日にしか読めません。2016年には、過去の傑作から選りすぐって書籍化もされました。ほぼ日に来たら、まずはここからという読者も多い、大人気のコーナーです。今日の「今日のコドモ」は、こちらからどうぞ。

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    今日マチ子

    漫画家。1P漫画ブログ「今日マチ子のセンネン画報」の書籍化が話題となる。文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に4度選出。戦争を描いた『cocoon』は「マームとジプシー」によって舞台化。2014年に手塚治虫文化賞新生賞、2015年に日本漫画家協会賞大賞カーツーン部門を受賞。『みつあみの神様』は短編アニメ化され海外で23部門賞受賞。コロナ禍の日常を絵日記のように描いた近著『Distance わたしの#stayhome日記』が、2022年1月『報道ステーション』にて特集された。

  • 漫画:今日マチ子

    編集:奥野武範(ほぼ日)

    デザイン:杉本奈穂(ほぼ日)

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