2020年の年末、ほぼ日は
神田の町に引っ越してきました。
はじめてのこの町をもっと知りたいし、
もっと知ってほしいと思っています。
そこで、日本全国のすべての市町村を回った
若き写真家、かつおさんこと仁科勝介さんに
神田の町を撮ってもらうことにしました。
自由にやってください、かつおさん。
かつお｜仁科勝介（にしなかつすけ）
写真家。1996年岡山県生まれ。
広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2020年の8月には旅の記録をまとめた本、
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA）を出版。
写真館勤務を経て2020年9月に独立。
2021年10月から2022年8月にかけて、
東京23区の490ある全て駅を巡る
プロジェクト「23区駅一周の旅」を完遂。
そこで撮影した、東京のささやかな日々を
まとめた写真集『どこで暮らしても』を
2022年11月に自費出版。
2023年春から新プロジェクト始動予定。
#123
はな街道
神田駅東口を降りてから中央通りを南に進むと、
景色が変わる瞬間に出会う。
それはビルではなく、足元だ。
千代田区から中央区に変わったと分かる看板は無いものの、
中央区に入るとすぐ、
足元に明るい花壇がずらりと現れる。
今立っているのは中央区日本橋室町４丁目の交差点で、
ほぼ千代田区と中央区の境界線。
振り向けば、
はっきりと神田駅の駅舎が見える距離だ。
だから、千代田区をまだ歩いているような
気さえするのだけれど、
いつのまにか中央区に変わったということが、
花壇を見て判断できるのだから面白い。
この花壇は「はな街道」と呼ばれていて、
そのまま南へ進めば日本橋を越えて、
京橋まで続いている。
花の種類が全て同じかどうかは分からないけれど、
最初に出迎えてくれたチューリップのインパクトが強くて、
思わず撮ってしまった。
中央区で撮った写真は第2回の日本橋以来、２回目だ。
オフィス街の中心で咲いているチューリップ。
置かれた場所で咲きなさい、
というよりも、
置かれた場所で咲いております〜、
と風に揺れていた。
多分、のびやかに。のんびりと。
2022-04-14-THU