
ここ数年に渡りリニューアルの工事を続けてきた
皇居三の丸尚蔵館が、
2026年11月3日(火・祝)にグランドオープン!
これを記念し、来年2027年の5月まで、
3つのグランドオープン記念特別展が開催されます。
同館が所蔵する
皇室ゆかりの絵画・書・工芸品に加えて、
今回は、外部の博物館・美術館から
グランドオープンの展覧会にふさわしい品々が
ずらりと並びます。
そこで今回『常設展へ行こう!』特別編として、
3つの展覧会を担当した若き研究員、
田中純一朗さん、上嶋悟史さん、山田千穂さんに、
各展の内容や見どころを聞いてきました。
担当は「ほぼ日」奥野です。
皇居のなかにあるミュージアムで、
半年間のおたのしみの、はじまり、はじまり〜!
- ──
- 皇居三の丸尚蔵館のグランドオープンでは、
今年の11月から来年の5月にかけて、
半年にわたって、
3つの展覧会が開催されると聞いています。
- 田中
- はい。
- ──
- すごいことですよね!
- 第1弾が「名品」をたっぷり見れる展覧会、
第2弾が伊藤若冲の「動植綵絵」、
第3弾が「日本の書の美」だそうですが、
まずは、今回のグランドオープンについて、
コンセプト的なところから
お聞かせいただけませんでしょうか。
- 田中
- わかりました。第1弾を担当する田中です。
- このたび、
令和元年から進めてきた新施設への移行が
完結しましたが、
皇室に伝来した美術品というものは、
歴史的な経緯で、
あるものは東京国立博物館へ移管されたり、
またあるものは
奈良の正倉院に残されていたりと、
さまざまなかたちをとっているんです。
- ──
- それらは、基本的には、
それぞれの場で保管や展示がなされてきた、
というわけですね。
- 田中
- ですから、ひとつには、それらの美術品が、
皇室の「お膝元」ともいうべき
ここ皇居内の三の丸尚蔵館で一堂に会する、
はじめての試みとなります。 - もちろん、三の丸尚蔵館の意義だったり、
皇室と日本文化の歴史についても、
展覧会というかたちで
しっかり伝えていければと考えています。
- ──
- 令和元年からのプロジェクトなんですね。
ぼくが最後にこちらへ来たのは、
たぶん、そんな前のことじゃないんです。
たしか、
海野勝珉の超絶的な金工が出てたような
記憶があるんですが、
あのときは工事の途中だったんですかね。
重要文化財 海野勝珉 太平楽置物 明治32年(1899) 皇居三の丸尚蔵館収蔵【展示期間:11/3~11/23】
- 田中
- はい、新施設については、
一気にすべてできあがったわけではなく、
部分的に開館していたので。
- ──
- なるほど、出来上がった箇所を先行して。
たしかに
工事中っぽい雰囲気があったような。 - そのあと、すべての施設が新しくなって、
このたびの全面開館、
グランドオープンを迎えたわけですね。
- 田中
- そうなんです。
- もう30年以上も前にできた旧館が、
古く、手狭となってきていたこともあり、
皇室の文化財を
しっかり保管・公開していくための
新しい施設に建て替えるプロジェクトが、
令和のはじめにスタートしたんです。
- ──
- はい。
- 田中
- それまで皇室の美術品は、
国宝や重要文化財への指定の対象では
なかったんですけど‥‥。
- ──
- えっ、そうなんですか。
伊藤若冲の「動植綵絵」とかの名品でも。
国宝 伊藤若冲 動植綵絵 向日葵雄鶏図 江戸時代、宝暦8年(1758) 皇居三の丸尚蔵館収蔵【展示期間:2/4~3/14】
- 田中
- はい。皇室に伝来した美術品って、
皇室から国へ寄贈されたものなんですが、
令和3年に、
はじめて指定の対象となったんです。
若冲の「動植綵絵」が国宝となったのも、
それ以降のことで、最近なんです。 - また、三の丸尚蔵館自体も、
もともと宮内庁の中にあった組織ですが、
令和5年に、他の国立博物館と同じく、
国立文化財機構という独立行政法人へと
移管されました。
- ──
- いろいろと変遷があったんですね。
- そもそもなんですけど、
三の丸尚蔵館の歴史をおうかがいしても?
- 田中
- 昭和天皇が崩御されたときに、
皇室に伝来した美術工芸品類が
国に寄贈され、
平成5年に、
それらを展示公開する施設として、
ここ宮内庁三の丸尚蔵館が開館しました。
- ──
- それまでは、皇室の美術品というものは、
公開していなかったんですか。
- 田中
- 昭和の時代には
「御物(ぎょぶつ)」というかたちで、
折に触れて
各館の展覧会などに出したりしたことは
あったようです。 - もちろん、貸し出しのハードルは
高かったとは思います。
やっぱり天皇のお持ち物でしたから。
- ──
- 三の丸尚蔵館のコレクションの総数って
「約2万1000点」あるそうですけど、
一般の美術館におけるコレクションって、
年々、増えていくじゃないですか。 - こちらでは‥‥。
- 田中
- いまも皇族方からのご寄贈、
ご遺贈というかたちで増えてはいますし、
独立行政法人へ移管されて以降は、
皇室や皇族以外からの寄贈もあるんです。
- ──
- なるほど。この館にふさわしい美術品が、
折りに触れて入ってくる‥‥と。 - 今回のグランドオープンの記念特別展は、
収蔵品のみで構成されるんですか?
- 田中
- いえ、収蔵品のみではないんです。
- 一部は外部からお借りするんですけれど、
そのことも、はじめての試みです。
- ──
- おお。
- 田中
- わたしが担当している第1弾の展覧会
「皇室の至宝展」でも、
もともとは皇室ゆかりの品だけれども、
さまざまな経緯で、
現在は、三の丸以外の場所にあるものを
お借りしたりしています。
- ──
- なるほどー、そうか、
外から借りるのもはじめてなんですね。
- 田中
- 少なくとも、展覧会のために
皇居の外からお借りするということは、
はじめてとなります。 - 日蘭交流の周年記念のときなどに、
宮内庁とオランダの王室が主催となり、
外部のものをお借りし展示した、
というような事例は過去にありますが、
そういう特殊なケースを除いては。
- ──
- 他から作品を借りてこなかったのって、
どうしてなんですか。
- 田中
- そもそも、この三の丸尚蔵館の目的は、
上皇陛下や宮家からの
ご寄贈の品を紹介することが第一で、
そのための施設だったので。 - 外からお借りして展示することは、
基本的には考えてこなかったんですよ。
- ──
- それが今回、
外からお借りしようと思った理由って、
どうしてなんでしょうか。
- 田中
- 率直に言ってしまうと、
そのことが、展示の「幅」という意味で、
ひとつの限界となっていた、
そういう部分があったかもしれません。 - たとえば法隆寺の宝物というものは、
皇室に献上されていますが、
戦後、三の丸尚蔵館と東京国立博物館に
所蔵がわかれたりしています。
東博にあったものは、
これまではお借りしてこなかったけれど、
今後は、そういうものも、
お借りすることができればと思っていて。
- ──
- なるほど。
- 田中
- 三の丸尚蔵館の作品に加えて、
外部からの作品を借用していくことで、
より多彩な展覧会を
つくっていけると思っています。
国宝 竜首水瓶 飛鳥時代(7世紀) 東京国立博物館 Image: TNM Image Archives【展示期間:11/26~12/20】
(つづきます)
2026-11-02-MON
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令和元年からすすめられてきた、
皇居三の丸尚蔵館の新施設の移行プロジェクト。
このたびすべての建物が完成し、
グランドオープンを迎えます。
そして、そのことを記念した特別展が3つ、
約半年間にわたって開催されます。
まず第1弾は「皇室の至宝」と銘打って、
皇室に伝来した名品をぜいたくに展示。
第1弾の会期を3期にわけて、
総数190件もの美術品を見ることができます。
会期は2026年11月3日(火・祝)から
2027年1月24日(日)まで。第2弾は、皇居三の丸尚蔵館が誇る国宝・
伊藤若冲の「動植綵絵」全30幅を一挙に公開。
三の丸尚蔵館では初の試みとのこと。
会期は2027年2月4日(木)から
3月14日(日)まで。そして、第3弾は「日本の書の美 1300年」。
書聖・王羲之の作品からはじまって、
天皇の筆跡である宸翰(しんかん)、
写経、禅僧の筆による墨跡など、
現代へ至るまでの1300年の歩みをたどります。
会期は2027年3月25日(木)から
5月16日(日)まで。チケットについては、2026年11月1日現在、
第1弾の「前期」の展示分のみ販売中。
それ以降のチケットについては
以降順次、販売・予約が始まりますので、
公式サイトをチェックしてみてください。とにかく楽しみな半年間がはじまります。