
シリーズ第18弾の今回は、
福岡市美術館の近現代コレクションを拝見。
ウォーホル、ロスコ、バスキアからミロ、
松本竣介、桂ゆき、吉田博、中園孔二、
カプーア、グルスキー、塩田千春‥‥
そして菊畑茂久馬など九州派の面々など。
きらめきの所蔵作品の数々でした!
同館には見事な古美術部門もあって、
今回は取材できなかったんですけど、
2024年の
「ミュージアムキャラクターアワード」で
銀メダルに輝いた、
かの「こぶうしくん」には会えました!
お話くださったのは学芸員の忠あゆみさん。
担当は「ほぼ日」奥野です。
※展示替え等により、
現在は展示していない作品もあります。
- ──
- まずは、こちらの福岡市美術館の歴史を
教えていただけますか。
- 忠
- はい、1979年に開館した美術館で、
2029年には「開館50周年」を迎えます。 - 福岡では、
旧石橋美術館つまり現在の久留米市美術館、
そして
北九州市立美術館に並ぶ歴史があります。
- ──
- 市立の美術館って、
これまであまり取材したことがないんです。 - こちらの他にも、
豊田市美術館とか府中市美術館とか、
市立で有名なところは
たくさんありますけれども‥‥でも、
すこし前に
広島市現代美術館は取材したんですが。
あ、横浜美術館は市立なのかな。
ともあれ、
こちらも市立としては大きいですよね。
- 忠
- 自分たちで言うのもなんですけど、
わたしたち、かなり気合いを入れています!
- ──
- はい、そんな気がしていました(笑)。
- 忠
- はじめは、アメリカの現代美術を集めたい、
という人たちが
初代の学芸員の中にいらして、
開館記念展は
アメリカ現代美術展でいくはずだったのが、
福岡はアジアの玄関口ということで、
急きょアジア美術の展覧会にしよう‥‥と。 - 開館前の1978年にアジアへ調査に行って、
アジア美術のコレクションをはじめました。
それらの作品は、1999年にできた
福岡アジア美術館へ移管されていきました。
- ──
- ちょうど昨日、福岡アジア美術館で
ヴェトナム戦争に関する展覧会
(「ベトナム、記憶の風景」)を見てきました。
いま、ほぼ日で、
ヴェトナム戦争の特集をやっているので。
- 忠
- あ、そうなんですね。
アジア美術館の展示はわたしも見ました。 - 日本の近代美術は頭にあったんですけど、
20世紀のヴェトナムで
美術がどう展開してきたかを見ていくと、
植民地支配の問題があったり、
日本も関与していたりして、
とっても複雑な経緯があると知りました。
- ──
- ヴェトナム戦争って、
いま日本ですごく知られている戦争だとは
言えないと思うんですけど、
米軍基地から戦闘機が飛んでいったり、
じつは、とても関係が深かったんですよね。 - 展示では以前インタビューしたことのある
ディン・Q・レさんのつくった、
ヘリコプターが、
次々と海へ堕ちていく映像が印象的でした。
あと、コレクション展
「変革の時代、新たなる自画像」では、
昔から好きだった
ヘリ・ドノの作品が見られてよかったです。
- 忠
- ああ、ヘリ・ドノ。ありましたね。
- ──
- でもそうか、ここにあったアジアの作品が、
あちらに行ったんですね。
- 忠
- もちろん福岡アジア美術館が収集してきた
作品もありますが、
それ以前は、福岡市美術館としても、
アジアの美術が、ひとつの柱だったんです。 - それらがアジア美術館に移管されたことで、
近現代部門では
ミロやダリ、ウォーホルなど、
西洋のモダンアートのマスターピースや
現代美術を取り扱う、
という方向へ舵を切ったんです。
- ──
- あ、「こぶうしくん」がいる!
- 忠
- はい(笑)、います。
- 2024年の
「ミュージアムキャラクターアワード」で
2位になったんですよ。
- ──
- えええ、そうなんだ。かわいいもんなあ。
1位は、ちなみに?
- 忠
- たしか宮城県にある利府町郷土資料館の
「あさガオー・みヤギー」です。
- ──
- この子にまさるキャラがいたのか~。
でも、こぶうしくん、いいですねえ。 - ミュージアムグッズ愛好家の
大澤夏美さんの家で見せてもらって以来、
すっかりファンです。
- 忠
- ありがとうございます(笑)。
当館の古美術のコレクションがモデルです。
- ──
- そうなんですよね。
今日は古美術のほうの取材はないですが、
いつか会えたらいいなあ。 - ちなみに
この美術館の建物を設計なさったのって。
- 忠
- 前川國男さんです。
- ──
- ああ‥‥レンガ色な感じとか、どこか
前川さんの手掛けた
東京都美術館と似てると思ったんですが、
やっぱりそうでしたか。 - たしか、前川さんって
国立西洋美術館の新館なんかもですよね。
- 忠
- はい、当館では照明や家具なども含めて、
前川さんによるものです。
- ──
- はっ。あれに見えるは‥‥いったい何!?
中ハシ克シゲ《Nippon Cha Cha Cha》1993
- 忠
- 彫刻家・中ハシ克シゲさんの作品ですね。
作品名は《Nippon Cha Cha Cha》。
- ──
- 小錦‥‥八十吉さん?
- 忠
- そうです。
- ──
- めっちゃいい!
- 忠
- 滋賀を拠点にしている彫刻家で、
国籍だとか日本らしさというものを疑う、
という観点から制作されています。 - このあいだ、小錦さん、いらしてました。
- ──
- えっ、ご本人が?
- 忠
- ご本人が。
- ──
- 本物の小錦さんが、黄金の小錦さんと
ご対面‥‥。 - そのシーンに立ち会いたかった(笑)。
- 忠
- みなさん、ここで記念写真を撮られます。
- 奥にある松の木の作品も
金属のパイプでできているんですが、
中ハシ克シゲさんは、
日本らしいというか、
固定したイメージで受け止められがちな
記号的なものを、
意外な素材でつくっている方なんです。
中ハシ克シゲ《Nippon Cha Cha Cha》(部分)1993
- ──
- ぼくらが思っている「日本らしさ」って、
何なんだろう‥‥と。
- 忠
- 考えるきっかけをつくってくれるというか。
- ──
- 脇の「三方」に小銭が入ってますが。
- 忠
- お賽銭を入れるところじゃないんですが、
つい、入れてしまう方もいらっしゃって。
- ──
- わはは、思わず小銭をお供えしたくなる。
わかる気がする!
ゴールデンで、全体的にめでたい感じが。 - でも、こんなに大きかったんですね、
小錦さんって。こちらは実物大、ですか。
- 忠
- 現役当時の体型をもとにしています。
- ──
- こりゃあ、絶対に勝てない気がしますね。
- 忠
- はい。勝てないと思います(笑)。
中ハシ克シゲ《Nippon Cha Cha Cha》(部分)1993
(つづきます)
2026-03-31-TUE