ラジオ番組の冒頭では
「今週の猫ちゃんニュース」を突如読み上げ、
M-1にはスピッツの猫のTシャツを着て登場し、
実家の猫、モネちゃんをかわいがっている‥‥
といえば、ピンとくる方もいるかもしれません。
今年の猫の日に登場してくださったのは、
ハライチ・岩井勇気さんです!
「猫の話っておもしろくないんです」と
バッサリ斬りつつ、たっぷり
猫の話をしてくださいました。
全3回、担当はほぼ日の猫好き、藤田です。

>岩井勇気さんのプロフィール

岩井勇気(いわいゆうき)

1986年埼玉県生まれ。2006年、
幼馴染の澤部佑さんと「ハライチ」を結成。
ラジオ番組「ハライチのターン!」では、
冒頭に「今週の猫ちゃんニュース」を
突如読み上げるなど、猫好きとしても知られる。
著書に『僕の人生には事件が起きない』と
『どうやら僕の日常生活は間違っている』(新潮社)が
あるほか、最近では漫画『ムムリン』の原作や、
Nintendo Switch用ゲーム『君は雪間に希う』の
原作・プロデュースを行うなど、多方面で活躍中。

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1.うちの猫は凶暴なんです。

ーー
今日はよろしくおねがいします。
ラジオ、聴いてます。
「今週の猫ちゃんニュース」が
すごくおもしろくて。
岩井
ありがとうございます。
ーー
ご実家に猫がいるそうですが、
猫と暮らすようになったきっかけから
教えていただけますか。
岩井
もともとは、ぼくが実家に住んでいたころ、
ペットショップで里親募集の貼り紙を見たんです。
個人で出していたものみたいで、
子猫が生まれちゃったのでもらってほしい、と。
それで行ったら、カゴに5匹の子猫がいて。

ーー
5匹。 
岩井
メスがいいなと思っていたら、
ちょうどメスが1匹しかいなくて、
その猫、モネをもらってきました。
ーー
モネちゃん。
名前はどなたがつけられたんですか?
岩井
モネは後輩と一緒にもらいに行ったんです。
「どんな名前にしようか」なんて言ってて、
「偉人の名前はどうかな」
「画家の中だったら、モネはどうですか?」
「あ、その響きいいな」
という感じで、モネに。

▲モネちゃん(8歳)。埼玉の実家で暮らしている。 ▲モネちゃん(8歳)。埼玉の実家で暮らしている。

ーー
Twitterで拝見したんですが、
モネちゃん、かわいいですよね。
岩井
ま、見た目はかわいいんですよ、めちゃくちゃ。
見た目はね‥‥。
ーー
(笑)
性格はどうですか?
岩井
本当に凶暴なんで、うちの。
もう8歳ですけど、噛んできますし、
全然落ち着かないです。
実家のテレビの向かいにソファがあるんですけど、
そこがモネがよく居る場所で、
近くに座っていると、後ろから頸動脈をシャーッと。

ーー
頸動脈って‥‥
危険すぎるじゃないですか(笑)。
岩井
そうですね。
首から肩のあたりをバスッと。
背もたれの位置的に、
ちょうど首元が狙いやすいんですよ。
ーー
常に家では狙われている‥‥?
岩井
そういう感じはありますよ。
だからテレビの取材で、
「猫の動画を撮らせてください」みたいな依頼は、
一切無理です。

ーー
(笑)
岩井
本当に何の対応もできないので。
サンシャイン池崎の猫を見てると、
2匹とも無防備でデレデレなんで、
あそこんちはすごいなぁと思いますけどね。
ーー
ああ、サンシャイン池崎さんも
2匹の猫と暮らしているんですよね。
岩井
うちとは全く違うんです。
ーー
モネちゃんの世話は主に
どなたがなさってるんですか?
岩井
今は母親が。でも、実家にいるときは
ぼくもしてましたよ。
ーー
あ、そうですか。ごはんをあげたり?
岩井
はい、もちろん。
トイレ掃除をしたり、水をやったり。
だいたいのことはしてましたね。

ーー
ああ、すごい。お忙しいのに。
モネちゃんと出会ったころ、
岩井さんはおいくつだったんですか。
岩井
27歳です。
ーー
猫と一緒に暮らすようになったのは、
そのときがはじめてですか。
岩井
はい。猫はもともと好きでしたけど、
猫と触れ合う機会は全くなかったんです。
おばあちゃんちで犬を飼っていたくらいで。
ーー
じゃあ、通りすがりの野良猫を見たりするくらい。
岩井
いや、ぼく、埼玉の団地に住んでいたんですけど、
野良猫もいなかったんです。
野良犬ばっかりで、犬にはいつも嚙まれそうになってて。
でも、モネを飼う前は、
よく一人で猫カフェに行ってましたよ。
ーー
猫カフェに通ってたんですか。
岩井
大宮にある猫カフェに好きな猫がいて。
雑種だと思うんですけど、灰色っぽい猫で、
その子は本の開く部分を爪でビャビャビャッと引っ掻いて、
本をボロボロにするのが好きな子でした。
その子目当てで通っていたんです。
ーー
もともと、猫はいいな、
猫と暮らしたいな、
みたいな気持ちはお持ちだったんですね。
岩井
ありましたね。
ーー
実際に猫と暮らすようになって、
イメージは変わりました?
岩井
うん、うちの猫はすごく猫っぽいんです。
ツンとしてて、野良猫の血、というか、
「こびないぞ」という感じがすごくするので、
猫ってこういうもんなんだなと。
ーー
エッセイで拝見したんですけど、
岩井さんは30歳で一人暮らしをはじめたんですよね。
モネちゃんと会えなくて寂しかったりは‥‥。
岩井
まぁ、寂しかったですね。
でも、連れて行くわけにもいかないし、
モネにとっても実家にいたほうが絶対にいいんで。
ま、しょうがないですね。
でも、モネに会いたいから帰ろうかな、という感じで、
帰ってますよ。
ーー
そのときもモネちゃんは、相変わらずシャーッと?
岩井
そうです(笑)。
そういうやつなんです。
ものすごく猫をあがめている人、多いですけど、
たとえばうちに息子や娘がいたとしても、
家族って、かわいいだけじゃないですよね。
きっとムカつくし、
ケンカすることもあるじゃないですか。
でも、ま、家族だし‥‥みたいなことです。
「猫様!」みたいに言う人も多いですけども、
普通、家族だったら、
俺のテンションのほうが正しくないか? 
と思うんですけど(笑)。

ーー
ああ、わかります。
うちも19歳の猫がいるんですけど、
すごく元気で、ときどき
「もう、うるさい」ってケンカしてしまいます。
岩井
そんな感じですね。
うちも、「ふざけんなよ」みたいなこと、
けっこうありますからね。
「痛てぇなあ」みたいな。
ーー
とくに毎回、シャーッとかやられたら‥‥。
岩井
「おい!」ってなります。
ーー
でも、憎めない。
モネちゃんって、胸元の白いところも、
すごくかわいいですね。
岩井
フワっとしてますね。
でも、よくね、猫をぎゅっと抱く人いますけども、
あんなこと一切できないです。
ーー
あれ、できないんですか?
岩井
できないですね。
モネは抱かれたくないんです。
ーー
無防備に寝てるときに、
顔をボフッとうずめたり‥‥できないですか?
岩井
え、危ないっすね。
やられます。
一回、顔に血がツーッとなったとき、
ありますからね(笑)。

ーー
テレビに出られるのに、そんな流血を。
岩井
そうですよ。
普通に傷、ありました。
ーー
そういう攻撃をされても、
やっぱりモネちゃんはかわいいんですね。
岩井
うん、かわいいです。
ーー
他の、どんな猫でもお好きなんですか?
岩井
はい。猫好きは、
人の猫もみんなかわいいと思っている人、
多いと思います。
ーー
ラジオ『ハライチのターン!』の
「今週の猫ちゃんニュース」も
大人気コーナーになっていますね。
岩井
あのコーナーは、まあ急にはじめて、
何でやってんのか、よくわかんないですけどね。
続いているからやってます(笑)。
やめる気はない、みたいな。
ーー
すごく前の「猫ちゃんニュース」に、
たしかイギリスの生物学者による説で、
「猫は人のことをでかすぎる猫だと思っている」
というニュースがありましたよね。
岩井
ああ。
ーー
すごく印象に残ってます。
うちの猫を見ても、
「この子は私のことを大きな猫だと
思っているのだろうか」と。
岩井
そんな感じがします。
猫は、猫に対しても、人間に対しても、
あんまり区別してない感じはしますよね。
他の猫に対して、こいつ嫌だなとか、
こいつ合うなとか思うのと一緒だと思います。
自分のことを客観視もしてないでしょうし。
ーー
猫ってほんとうに、
そのままで生きているというか‥‥。
岩井
そうですね。そこがいいですよね。

(つづきます)

2022-02-22-TUE

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  • デザイン・イラスト:志田公代