
アースボールのことなら、世界で一番くわしい。
アースボールの話をするのが大好き。
アースボールを、世界で一番愛している!
‥‥という設定の「ほぼ日のアースボール」ハカセこと、
アースボールチームで企画などを担当している松田です。
ほぼ日のアースボールは、2024年11月に新アプリを
国内リリースし、「新たなフェーズ」に入っています。
新アプリは、ほんとうに驚きの進化をしました。
世界各地のライブカメラが見られたり!
恐竜や太陽系が空間に飛び出たり!
表現が格段に美しくなったり、BGMも入ったり!
それを、もっともっと多くの方に楽しんでいただきたいっ!!
今回は、教育関係者3名にお集まりいただいて、
その新アプリ「Hobonichi Globe(ホボニチ・グローブ)」を
実際に触っていただきながら、
どんな授業や取り組みができそうか、座談会を行いました。
というのも、教育現場で「ほぼ日のアースボール」が
どのように使われているか、よくわかっていません。
どうしたらもっと使いやすくなるか、
ぜひともヒントをもらいたいんです。
全5回でお届けします。
中野庄(なかの・たいら)
帝京大学小学校理科主任。帝京大学教育学部卒業。
ゼミ担当教授(当時の同校校長)からの誘いを受け、
卒業と同時に同校へ赴任し2026年度で勤続11年目。
低学年指導や社会科専科など多角的なキャリアを経て、
現在は理科専科として2つの学年を担当。
緑豊かな校内環境を最大限に活用した
「本物の実体験」を重視しつつ、
記録や分析にはICTを効果的に導入。
体験とデジタルを往還する授業づくりに取り組み、
理科主任として子どもたちの科学的な探究心を育んでいる。
佐藤克行(さとうかつゆき)
神奈川大学附属中・高等学校で物理を教える。
実験や探究を通して、身のまわりの「なぜ?」から
科学のおもしろさを伝える授業を実践。
宇宙エレベーターをテーマにした活動をはじめ、
JAMSTEC(海洋研究開発機構)のコンソーシアム
メンバーとしても活動している。東京都教育庁による
行動経済学の教科書の執筆にも参加。
宇宙から海、そして人間の行動まで、
さまざまな分野を行き来しながら、
科学と教育の新しいつながりを探っている。
髙橋 香名(たかはし・かな)
市進学院 パンセフロンティエルラボ事務局
市進学院で小学1年生~3年生対象の講座を運営する部門に所属し、
カリキュラムや広報物の作成、イベントの企画・運営など、
低学年コースの運営を支える業務に携わる。
また、千葉県内で低学年専門教室の開校や、
国内初の低学年専門オンライン講座「パンセフロンティエル」の
立ち上げから運営などに携わり、子どもの学びを広げる
さまざまな教育サービスの開発・企画・運営に取り組んでいる。
撮影協力:株式会社ナリカ
※記事内の肩書等は2025年10月時点のものです
今回の座談会にご参加いただいたのは、
こちらの3名の方々です。



- ──
- きょうはお集まりくださり、ありがとうございます。
ハカセの扮装ですみません。ただ、みなさんに
アースボールを触っていただけることを
とっても楽しみにしていました。
みなさんには新アプリ「Hobonichi Globe
(ホボニチ・グローブ)」を触っていただきながら、
座談会を進めていきましょう。
最初に「今の地球」モードを選んでみてください。
「ライブカメラ」の機能が搭載されていて、
世界各地の「今のようす」をご覧いただけます。
- 佐藤先生
- ‥‥アラスカのライブカメラでは、
うっすら、オーロラが見えます。
- ──
- あ、ほんとうですね! 珍しい。
ただ、このライブカメラは
授業では結構使いにくくて、
見せたいタイミングに見えてない
っていう状況が結構起きてしまうんです。
- 佐藤先生
- でも、「白夜」だったら、
体感させることはできそうですね。
- ──
- たしかに、白夜なら
見せるタイミングが図れますね!
「今の地球」モードで、世界20数か所のライブカメラが見られる。
- 髙橋先生
- 中学生であれば、知識がたくさん
身についていると思うんですけど、
小学3年生ぐらいまでの子って、
知識を身につけさせるのではなくて、
対象物を見て、「何か気づいたことない?」
といった問いが大事なんですよね。
「あ、これってもしかして、こういうこと?」って
気づくことが、低学年生での狙いかと思います。
そういうふうに使えると楽しそう。
- ──
- じゃあ、「今の地球」の気象のことも、
何かに気づくみたいな使い方はできるでしょうか?
大人相手になってしまうと
「雲なんです」「雨なんです」みたいに
説明したくなってしまいます。
初めて見る子がいたとして、たとえば
「この白いのは何だろう」みたいな
ところから始めるとかでしょうか?
- 髙橋先生
- 雲だっていうことには、たぶん気づきます。
雲があったら雨が降るんだけど、
やっぱりこういうふうにアプリで見てみても、 - そうなんだなとは気づけるんじゃないかな。
あと、「この地球の外側が、ほわっと
白くなってるの何だろう?」みたいな、
そういう観点でしょうか。
小さい子であればあるほど、
そういうところから「実はね‥‥」
みたいにつなげるとか。
パッと見て観察できるようなものが、
わかりやすいですね。
衛星データにもとづいた雲、雨、風のようすが30分または1時間ごとに更新される。
- ──
- 佐藤さん、気象に関して、
中学・高校で授業をされると思うんですが、
どう活用できそうでしょうか?
- 佐藤先生
- これも普通に理科で使えますね。
たとえば、資料集とか教科書に載っている現象を、
現実世界だと、子どもたちは
1回も見たことないんですよ。
教科書で暗記してるだけなんですね。
でも、実際にこうなんだよって
見れるのが、すごいことで。
「風の向き」も表示できるじゃないですか。 - たとえば、台風が東南アジアのあたりで発生して、
「こんな感じに動いてるよね」って
いうのが見られると思うんですよ。
- ──
- はい、台風の時期に
ちょうど見たら、見られます。
- 中野先生
- 小学校でも、5年生の授業で
台風をあつかいます。
気象庁のホームページとかを見て、
「なるほど、動いてるんだね」
とは伝えられるんですけど、
このアプリでもし実際に見るんだったら、
リアルな動きも見えますね。
そこはデカいなって思います。
- ──
- 開発のアイデアとしては、
「あのときの大きな台風」みたいに
過去を見られるようにしたらどうか、
という案があるんですが、それよりも
「いま来てるこの台風」のほうが
よかったりしますか?
- 中野先生
- 授業をするタイミングや時期を考えると、
両方あると嬉しいです。
授業をするときに「今」あるのが
ベストなんですけど、理科専科ではない場合、
授業のタイミングを好きにいじれません。
なので、年によって、今あるのを見せるのか、
過去のやつを見せるのかを選びたい。
- ──
- 台風シーズンは観察するチャンスですね。
- 中野先生
- そう。「最近のこういう
台風があったね」と言って、
どのように動いてたかが見られると、
子どもたちの実感も強いのかな。
「これが上陸したから、
東京は、雨がひどかったんだね」
とかも、伝えられるかなと思います。
逆に「こんなに遠かったのに、
思ったより雨降ったの、なんでだろう?」
っていうのも、子どもたちの疑問として
わいてくるはずです。
- 佐藤先生
- 子どもたちが経験した、
たとえば台風でも何でも、
「こないだのあれって、
こうだったんだよ」って
見せられると、すごくいいなと思います。
このアプリは天気図よりも
スムーズに動いて見える。
- ──
- 「1週間の地球」というモードもあって、
過去1週間の天気の変化が見られます。
ただし、この先の予報は見られません。
- 髙橋先生
- 小学校の低学年生ぐらいだと、
「日本はどうやら6月ぐらいの時期に
雨がたくさん降ってそう」
というようなことに気づくだけでも十分よくて。
「でも、1年通して雨が少なそうなところもあるね」
みたいな視点が求められるので、
「今」じゃなくても、
1年間の平均値みたいなものがあると、
「気づく」展開に持っていきやすそうに感じます。
春夏秋冬の季節ごとでも、良いかもしれません。
- 中野先生
- 季節はいいですね!
日本以外に目を向けて、同じ時期だけど
ぜんぜん違うっていうのも、
国際的な学習にもつながりやすいし。
- 髙橋先生
- 「日本でたくさん雨が降っている時期に、
ぜんぜん雨が降ってないところがある」
みたいにですね。
年齢が小さい子であればあるほど、
実際にアースボールを回して探してみよう、
という活動が多くなると思うので、
自分で見つけて「あった!」っていうものが
たくさんあると、興味をもってくれそうですね。
雲の動きは、たぶん低学年生でも、
見るだけでぜんぜん違うと思います。
実際の雲の動きってあまり見ないですからね。
速い動きで見れると、おもしろいですよね。
- 佐藤先生
- 学習の側面を考えると、
やっぱり「典型的な季節の雲の動き」があると、
授業の中で使うために、かなり近づくと思います。
- ──
- そうですよね、授業の単元と結びつく形ですね。
- 中野先生
- 資料として出すときに、
- 画像とかで見せても、
子どもたちの反応はパッとしません。
1週間ぐらいでもいいので、
夏の典型的な例が表示されると嬉しいな。
- 佐藤先生
- 冬だったら西高東低の
典型的な例があると、すごくいい。
- 中野先生
- となると、理科でもいいし、社会科でも使えます。
小学校では地域の降水量とかも出てくるので。
- 髙橋先生
- きっと、「いつ、こういう
大きい台風が来てた」みたいな、
ニュースや天気予報で見るような何かと
リンクすると興味をもってくれそうですね。
- ──
- もし大昔の台風だと、
大きな被害をもたらしたからと言っても、
子どもたちは興味をもたないでしょうか?
- 佐藤先生
- たぶん社会科の話になってきますけど、
大きな火山の噴火とかも同様で、
そういう大きな台風は載せておいていいかな。
けど、子どもたちが、すごく実感を持つかというと、
そこはちょっと違うのかなと思います。
- 中野先生
- 今、思い出したんですが、
ちょうど6年生は理科で「火山」をやっていて。
火山の噴煙って宇宙から見えるって
言うじゃないですか。
そのときの映像ではないですけど、
雲のようすがもし可視化できたら、
それは結構インパクトが大きいな。
火山灰が広がっていく様子がみられたら、
とても勉強になると思います。
- 佐藤先生
- 過去には富士山の噴火もありましたが、
それが見られたりしたら
インパクトありますよね。
- 中野先生
- ああ。今、噴火したらシミュレーション的に、
火山灰が東京のほうに来るのかとか、
子どもたちも気になるところですしね。
- ──
- なるほど。気象だけでも、
やれることは広がりがありますね。
- 佐藤先生
- さっきの、季節とか、
教科書に準じた内容がちょっと入るだけで、
一気に「教材」になるんですよ。
たぶん多くの先生たちが、
ほぼ日のアースボールに手を出しにくいのは、
おもちゃのイメージがあるからで。
いろいろできておもしろいけど、
授業ではちょっと持て余しちゃってる感が
あると思うんですよ。
ものすごいおもしろい「教材」なのに。
だから、探究とか、ちょっと不思議な
科目の枠だと、すごく扱いやすいんです。
- ──
- 授業の単元とちょっとでも結びつくと、
探究をやってらっしゃらない先生の
視野にも入ってくるわけですね。
- 中野先生
- あとは授業の「型」がしっかりあると、
やりやすいですね。
- 佐藤先生
- たとえば小学校3年生の理科とか、中学の地学で、
「こういうふうに教えられます」という型が、
いくつか設けられているだけで、
ぜんぜん違うと思います。
先生はみんな忙しいので、
ほぼ日のアースボールを渡されても、
「よし、これで授業をつくろう」って、
なかなかいかないんですよね。
- 中野先生
- 僕も、天候のところに使えるなとは思うんですけど、
そこに当てはめるとして、
どうリンクさせたらいいんだろうって、
すごく困っちゃう。
もちろん、やろうと思えば、
ぜんぜんできると思うけど、
やっぱり運動会や学芸会って
イベントが重なってくると‥‥。
となると、授業の型があると、すごく助かる。
- ──
- その型は、授業の1コマ丸々じゃなくても
大丈夫なのでしょうか?
- 中野先生
- そうですね、使える場面の
例があると、いいのかな。
- 佐藤先生
- 学校の先生向けだったら、
教科書のこのへんをやるときに、
使い方はこんな感じです、
という伝え方が一番いいと思います。
小学校の「気象」のところだったら、
たとえば梅雨の時期の
雲のようすが見えますっていう導入で、
ほかの梅雨がない国と、降水量を
調べていってもいいと思いますし。
そんな感じで、1個の授業というよりも、
これにも使える、あれにも使えるというのを
いくつか提示してあげると良さそうです。
- 中野先生
- あとは、子どもたちが勝手に深められます。
教員も含めて、入りやすいと、
どんどん利用が増えるのかなと思いますね。
正直、僕は、授業で使うっていうよりかは、
子どもたちと遊んでました。
- 佐藤先生
- いや、それでいいと思います。
- 中野先生
- 「恐竜すげぇ」「でかっ」って言って。
やっぱりARって、小学校3年生くらいだと
経験がないんですよね。
それがすごく楽しそうで。
(佐藤さんによる北極・南極の授業の話へつづきます)
2026-10-12-MON

