家で過ごすことが増えたいま、
充電のために時間をつかいたいと
思っていらっしゃる方が
増えているのではないかと思います。
そんなときのオススメはもちろん、
ほぼ日の学校 オンライン・クラスですが、
それ以外にも読書や映画鑑賞の
幅を広げてみたいとお考えの方は
少なくないと思います。
本の虫である学校長が読んでいる本は
「ほぼ日の学校長だより」
いつもご覧いただいている通りですが、
学校長の他にも、学校チームには
本好き・映画好きが集まっています。

オンライン・クラスの補助線になるような本、
まだ講座にはなっていないけれど、
一度は読みたい、読み返したい古典名作、
お子様といっしょに楽しみたい映画や絵本、
気分転換に読みたいエンターテインメントなど
さまざまな作品をご紹介していきたいと思っています。
「なんかおもしろいものないかなー」と思ったときの
参考にしていただけたら幸いです。
学校チームのメンバーが
それぞれオススメの作品を
不定期に更新していきます。
どうぞよろしくおつきあいください。

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no.8

大人もたのしめる絵本と児童書

大人もたのしめる絵本と児童書
もちろん、
お子様と一緒にもたのしめます  

「役に立つ」ものばかり読んでいると、
ちょっと疲れることもありますよね。
そこで、今回は気分を替えて、
大人もこどももたのしめる、
そして、何度読んでも発見がある
絵本と児童書を選んでみました。
文字の少ない赤ちゃん向けものから、
小学校低・中学年向けの物語まで、
文字が多くなる順に並べています。


『おしくら・まんじゅう』

かがくい ひろし(ブロンズ新社 1078円)

かがくい ひろしさんの絵本は
『だるまさんが』はじめ、
『まくらのせんにん』シリーズなど、
どれも名作揃いですが、
1冊だけ選ぶなら、ぜひ、これを!
こどもも口真似したくなることばのひびき、
ついページをめくりたくなるテンポよい展開で、
一緒に声に出して遊べます。
ぜんぜん悪いと思ってないでしょ! と突っ込みたくなる
「わぁないちゃったー」「ごめんねー」のところが、
わがやではみんな大好きです。
あたたかみのある絵も、眺めていて心地よいです。

 


『おりこうなビル』
ニコルソン(童話館出版 1320円)

これはもう、一番好きな絵本かもしれません。
私が持っているのは、絶版になっている
松岡享子さん訳の『かしこいビル』(ペンギン社)
のもので、訳がすこし違うのですが、
とにかくまず、無造作なタッチで
よくよく描き込まれている版画風の絵が素敵。
味わいのある手書きで書かれた本文が素敵。
突拍子もないストーリー展開も素敵。
ビルが健気でかわいい。
いや、これ、何度読んでも本当に飽きません。
途中に出てくる、メリーの手紙の文章の
こどもならではの脈絡の無さとかも、最高です。
『かしこいビル』の版では最後に解説が入っており、
表紙の客車の絵に描き込まれている数字に
何か意味があるのでは?と、さらっと
気になることが書いてあります。
読み聞かせた後に、この数字の謎に想いを馳せるのも
この本を読むたのしみのひとつです。

 


『ぐりとぐらとくるりくら』
中川李枝子(福音館書店 990円)

大きな卵で大きなカステラを作る『ぐりとぐら』が
いちばん有名な「ぐりとぐらの絵本」シリーズですが、
他の作品も、どれもすばらしいです。
ご存知、のねずみのぐりとぐらが、朝起きて、
もしくは遊んでいて、その時の気分や思いつき、
気になったことをきっかけに、ちいさな冒険に出かける。
その、のんびりとして、気ままな時間の使いかたが、
いいなあ、と思うのです。
とくに好きなのは、『ぐりとぐらとくるりくら』。
朝起きて窓を開けたのねずみのぐりとぐらが、
おひさまが部屋に入ってくるのを見て、
わくわくして、うれしくてじっとしていられなくなって、
「あさごはんは、はらっぱで」と決める。
なんとも、うらやましい朝のはじまり。
ことばのリズムも読んでいて気持ちいいですし、
どれも美味しそうな食べ物や、
陽射しのあふれる森や野原の絵も
眺めていて、明るい気持ちになります。

 


『おやすみなさい フランシス』
ラッセル・ホーバン(福音館書店 1188円)

こちらは、主人公のフランシスが
おとなとはちがう理屈でくりひろげる
突飛な台詞と行動がいちいち、
こどもって、こどもって、
ほんと、そんなかんじ!
と共感できて、読んでいてついつい笑えて
ほっこりする、大好きなお話です。
そして、おとうさんと、おかあさんの、
じつに泰然としていること。
爪の垢でも煎じて、わたしに飲ませたいものです。
絵本というにはちょっと文章量がありますが、
何度読んでも、味わい深い作品です。
この他にも、好学社から新装版で
『フランシスのいえで』『フランシスとたんじょうび』
が出ています。

 


『ふたりはともだち』
アーノルド・ローベル(文化出版局 1045円)

国語の教科書に載っていた、
という方もおられるかもしれません。
『ふたりはともだち』を含む
「がまくんとかえるくん」シリーズは、
小学生向けの児童書ですが、
もっと小さなおこさまへの読み聞かせにもおすすめです。
ちょっとシニカルで面倒くさい性格の「がまくん」と、
さわやかで前向きだけど、ただのいい人ではない
「かえるくん」の凸凹コンビっぷりが絶妙で、
挿絵も素晴らしくて、くり返し読んでもあきません。
台詞がつづくシーンが多いのですが、
がまくん、かえるくん、それぞれの声色で読むと、
なんだか不思議とすっきりしますよ。
慣れないことをすると、ときどき台詞と役を間違えて
「あれっ?」となったりしますが、
それもまた、おたのしみということで。

 


『大どろぼうホッツェンプロッツ』
プロイスラー(偕成社文庫 660円)

本当によく知られている、
児童書の古典のような本ですが、
物語を読むたのしさが、
しっかり味わえる作品だと思います。
程よくナンセンスな設定に、
悪役であっても憎めない登場人物たち、
テンポのよい展開で、ぐぐっと物語にひきこまれます。
ちょうどよい分量ずつに章分けされているので、
小学生低学年のいるわがやでは
毎晩の寝る前のおたのしみにしているのですが、
ときどき、待ちきれないこどもが
日中じぶんで読み進めていることも。
全3冊のシリーズなので、読みごたもえたっぷりです。

(つづく)

2020-04-28-TUE

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