ボールペンで絵を描く中村隆さん。
ひたすら点をうち、ひたすら線をひき、
カラフルで心地よい世界を
フリーハンドで描きだします。
どうやったらこんな絵が描けるのか、
ちょっと気になりませんか?
そこで、日々の作品づくりのようすを、
3ヶ月ほど連載してもらうことにしました。
中村さん、よろしくお願いします。

>中村隆さんプロフィール

中村隆(なかむら・たかし)

画家、イラストレーター。

1976年、新潟県生まれ。
98年日本デザイン専門学校卒業。
以後、フリーのイラストレーターとして活動しながら、
定期的に個展をひらいて作品を発表している。
作品は「Ondo online store」などで販売中。

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#20

離れて見る

 
連載も20回目の更新になりました。
最初のほうは必死(?)に
描き方を伝えようとしていましたが、
だんだんと回を重ねるごとに、
何を伝えればいいのか
わからなくなってきました。すみません。
とりあえず思いついたことを、
あと1ヶ月弱、書いていきたいと思います。
障子の紙にうつった影を点で描きます。
黄色っぽい色にしようと思っていましたが、
木の部分の色と近すぎるかなと思い
グレーにしました。
濃い影ではないので点で描きました。
全体をなんとなく見て、
まだ絵がさらっとし過ぎていると思ったので、
すこし線を重ねて強弱、陰影をつけていきます。
最初の線を引く時よりも、
網線にするときのほうが早く描けます。
最初は線を止める位置や間隔に注意しますが、
重ねるときはなぜかそれほど注意しなくても
わりと早く描けます。
重ねるときのほうが「気をつけポイント」が
すくなくなっているのかもしれません。
完成が近づくと離れて絵を見たいので、
違う部屋の壁にかけて
すこし遠くからながめます。
最後あたりはこういう確認を繰り返します。
客観的に見るために、
写真を撮ってパソコンで
絵の画像を縮小して見ることもあります。
他の人が見られないような
ウェブにアップして確認することもありますし、
人に直接聞くこともあります。
バランスなどは絵を描く友達に聞いたり、
色や印象などは、あまり絵に興味のない人や
うちの子に聞いたりもします。
自分と絵がくっついてひとつになっているのを、
別々に離して見てみたいのかもしれません。
そうやって気になったところに線を重ねたり、
点と点をつないで色を強くしたりしました。
それが終わるとまた離れて見て、
「これで終わるかな」と思ったのですが、
「ちょっと足りないかも」と思ったので、
描かないでおこうかと思っていた
障子の向こうに貼ってある
カレンダーの影をすこし描いて、
これでだいたい終わりかなと思いました。
完成しているように見えるでしょうか。
私はわかりません。

(次回の更新につづきます)

2022-08-12-FRI

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