猫によって生活が一変した、という人がいます。
歌手・藤あや子さんも、その一人。
子猫の「マル」と「オレオ」がやってきて、
いっしょに暮らすうちにメロメロに
「マルオレに会いたくて、
直帰するスピードが業界一速くなりました
「充電切れが常だったのに、
いまじゃスマホを手放せません」
などなど、暮らしが180度変わったと言います。
さらに保護猫を支援する活動もはじめたそうです
今日は猫の日、藤あや子さんの猫への思いを
たっぷりとうかがいます
全4回。担当はほぼ日の猫好き乗組員フジタです。

写真:小川拓洋
猫の写真:藤あや子さん提供

>藤あや子さんのプロフィール

藤あや子(ふじあやこ)

歌手。作詞家、作曲家。
1961年05月10日生まれ、秋田県角館生まれ。
1985年にNHK『勝ち抜き歌謡天国』で優勝し、
1989年にシングル「おんな」でデビュー。
代表作は「こころ酒」「むらさき雨情」「花のワルツ」など。
Instagram:https://www.instagram.com/ayako_fuji_official/
Twitter:https://twitter.com/fuji_ayako
公式ブログ:https://ameblo.jp/ayako-fuji/

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2. 不思議な子たち。

ーー
インスタグラムでは、
マルくんとオレオちゃんが料理を前に、
じっと座っている
「マルオレ食堂」という写真シリーズも
アップされてますね。

▲藤あや子さんがつくったお料理を前に
座る2匹を撮った「マルオレ食堂」。 ▲藤あや子さんがつくったお料理を前に 座る2匹を撮った「マルオレ食堂」。

あれは最初、わたしが料理を並べているときに、
たまたま2匹が椅子に座っていたのを
撮ったのがきっかけなんですが、
だんだんシリーズ化してきて。
今では、料理が並ぶ前から、
「そろそろでしょ?」という感じで、
椅子で待機しているんです。
「マル、まだよ」
「オレちゃん、まだまだまだ」って。
ーー
えっ! 先回りして?
たぶん、自分たちの仕事みたいに
思っているんじゃないですか。
ーー
なんて、すごいんですか!
頭いいでしょ(笑)。
まあ、そのあとのごほうびの
おやつが目当てなんですけどね。
でも、おやつ目当てでも、昨日なんか、
こーんなおっきいホッケを焼いたんですよ。
ホッケを前にすると、猫って普通‥‥。

ーー
飛びつきます。
ですよね?
でもマルオレは、クンクンはするけど、
ちゃんとじっとしてポーズをとる。
ーー
へぇぇぇ。
信じられないです。
うちも猫いますけど、絶対できないです。
不思議でしょう。
マルオレ、我慢強いのかなぁ。フフフ。
でもわたしは基本的には彼らの日常を
邪魔しないようにしているんです。
放っておくときは放っておいて、
遊ぶときは一緒にたくさん遊んで。
そういう居心地のいい時間を作ってあげることが、
もしかしたら彼らにとって
いい方向にいっているのかもしれません。
無理強いはしないで、
ストレスにならないことを常に心掛けてる。

ーー
お写真を見ていても、
のびのびと暮らされていることが伝わってきます。
ありがとうございます。
ーー
お仕事先でもマルオレちゃんのこと、
気になったりしてますか。
もちろんです。
今、業界一、速いです。
直帰するスピードが(笑)。
ーー
そんなに(笑)。
着物を着ていようが、ドレスであろうが、
着替えずに帰りますからね。
もちろん、家では夫やスタッフが
見てくれているんですが、
早くマルオレに会いたいし、
普段とは違うわたしを見たときの
マルオレの反応がおもしろくて!
最初は着物姿にビビってました。
マルなんかとくに「ふー!!!」みたいになって。
ーー
(笑)
でも、声でやっぱり分かるんでしょうね。
「ママよ、ママよ」って言うと、
「そうかな、そうかな?」って。
先日は、わたしが猫耳をつけたら、
マルがわたしを敵だと思って大変でした。

▲猫耳・藤あや子さんをマルくんが威嚇。 ▲猫耳・藤あや子さんをマルくんが威嚇。

ーー
猫耳! そういうのは
ご自身で思いつかれるんですか?
「そうだ、つけてみよう」とか。
そうそう、常にあの子たちと何かやりたいな、
何かないかなって探してます(笑)。
それこそ最初に見せたときの
リアクションが大事だから、
何か買っても、見せる直前までコソコソ隠して、
サッ! て見せてる。フフフフ。
ーー
(笑)
節分も、ちっちゃい鬼のお面を見つけたときは、
「やったー!これつけてびっくりさせよう」と。
ただ、だんだんマルオレも
わたしがやることに慣れてきちゃったけど。
ーー
いつも心の中で、
「次、どうやってマルオレちゃんを驚かそうかな」
と思ってらっしゃるんですね。
そうそうそう、思ってる。
まだ隠しているおもちゃもいっぱいあります。
この前は、大きな動物のぬいぐるみがほしくて
キディランドに行ったんですけど、
見つからなくて。
でっかいライオンがあったらびっくりするかなとか、
どんな反応するかな、とか、
そんなことばっかり考えています。

ーー
楽しそうです。
そうだ、コスプレをされている
お写真も拝見しました。
昨年の春ですね。
あの衣装も、探して、探して、
見つけたときには、
もう「やったー!」って感じですよ。
ーー
ご自身で探されたんですか?
そうです。
マルオレも、私に合わせて
きっちりポーズをとってくれました。

ーー
いやー。すごいです。
なんなのこの子たちは‥‥って。
ほんとに賢いと思う。
ーー
マルオレちゃんの個性は
それぞれ違いますか。
そうですね。オレちゃんは女の子だから
抱っこしてもなんとなく軽いし華奢な感じ、
マルはガッチリしているから、
多少荒っぽく扱ってしまう(笑)。
でもね、先日のことなんですが、
でっかい黒猫がうちの塀を歩いていたんです。
それを見た瞬間、マルはすぐ逃げて、
オレちゃんだけが窓辺に行って、
「ウ~、ウ~、ウ~」って威嚇しはじめたんです。
ーー
お姉ちゃんのほうが強い(笑)。
「すごいね、オレちゃん」って。
「それに比べて、マル! しっかりしなさい! 
男でしょうが!」って(笑)。
マルは「無理、無理、無理」って顔で、
対照的でおっかしくって。

ーー
最初はマルくんにひとめぼれされたところから
はじまったご縁ですけど、
オレちゃんも一緒に迎えて、
2匹で飼う、というのがやっぱりよかったんですね。
そうなんです。
やっぱりオレちゃんがいなかったら、
このマルオレ独自の雰囲気はなかったと思いますし、
本当によかったなと思ってます。
特に、オレちゃんのけなげさにはキュンとなります。
たとえば新しいおもちゃで遊ぶときも、
オレちゃんは自分が遊びたいのに、
マルが来ると我慢するんです。
で、マルが遊び疲れて、
飽きてダランとしているところに、
パッと来て遊ぶんですよ。
ーー
「今度は自分の番!」って?
そう。それがけなげで、
「なんってやさしいの、オレちゃん!」って。
ごはんも、量を決めて、
それぞれの器に分けているんですが、
マルが食いしん坊だから横取りしようとすると、
オレちゃんは自分のぶんを食べさせるんですよ。
「なんてあなたはけなげなの!」って。
ーー
自分がちょっと一歩引く。
引くんですよ。
わたしがマルを抱っこしてガシガシやっていると、
遠くのほうで、オレちゃんがじーっと見てる。
「あっ、オレちゃん、オレちゃん」って、
マルを床に置いて、
「オレちゃ~ん!」って呼びます。
ーー
ああ。
平等に、平等に、と思いながらも、
どうしてもわたしがすぐマルをガシガシやっちゃうんで。
そういうのを「いいなぁ」と
思っているんだろうなと気づいて、
「ごめんね~、オレちゃん、ごめんね~」って。
ーー
目に浮かびます(笑)。
けなげといえば、この前、
お誕生日のケーキを「マルオレ食堂」に用意して、
わたしがハッピーバースデーを歌ったんです。
歌い終わるまでに動いちゃうかなと思ったら、
2匹ともちょこんと座って聞いてくれて。
その姿がけなげで、ぐっときて、涙ぐんじゃった(笑)。
ーー
嫌々じゃなくて、
ナチュラルにそうしているのが素晴らしいです。
なんなんでしょうね。
ほんと不思議な子たちです。
でも、他の人には全然慣れないんですよ。
すっごく人見知りで、誰かが家に来ても
隠れて出てこない。
ーー
そうなんですか。
はい。12月に写真集を出したんですが、
そのときもマルオレの撮影が大変でした。
実は、マルオレとの出会いをつくってくれた
義母が昨年の春に亡くなったんです。
今マルオレがいてくれるのも義母のおかげですし、
形見の着物を着て表紙の撮影に挑みました。
そしたら、マルが大きなカメラや照明にビビって、
おしっこチビっちゃった。
なんか濡れてるなと思ったら
床にポチっ、ポチっとあって、着物にも‥‥。
ーー
えっ、大切な大切なお着物に?
そう。マルがそんなオチをつけてくれました(笑)。
でも、やさしいおかあさんだったから、
「もう、マルしょうがないね」って
笑ってると思います。

(つづきます)

2021-02-23-TUE

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