ほぼ日の「生活のたのしみ展2026」で
はじめてお披露目した、
アメリカに暮らすデザイナーの加藤寛子さんが
現地で立ち上げたステーショナリーブランド
「HATAGUCHI COLLECTIVE
(ハタグチコレクティブ)」と
miiThaaiiのコラボアイテム。
紙のために考えられた美しいアートワークを
丈夫なキャンバス地にプリントし、
トートバッグとミニポーチをつくりました。

「HATAGUCHI COLLECTIVE」主宰の加藤さんと、
fog linen work/miiThaaiiのオーナーの
関根由美子さんに、
今回のコラボレーションのきっかけや
制作の裏側についてお話を聞きました。

>HATAGUCHI COLLECTIVEのプロフィール

HATAGUCHI COLLECTIVE
(ハタグチ・コレクティブ)

デザイナーの加藤寛子さんがインドを旅した際、
綿の古着を手漉き紙に生まれ変わらせる職人たちに
出会ったことをきっかけに、
2012年に立ち上げたステーショナリーブランド。
ブランド名は、寛子さんの祖母の姓「畑口」に由来する。
衣料工場の廃棄綿を活用したハンドメイドペーパーの
美しさと地球環境へのやさしさ、
そして手書きの温かさを届ける製品作りを特徴としている。

▶︎HATAGUCHI COLLECTIVEのウェブサイト

>関根由美子さんのプロフィール

関根由美子(せきね・ゆみこ)

ふだん使いをテーマに、リトアニア産の麻素材で。
シンプルなデザインのキッチンリネンやベッドリネン、
ウエアなど、日々の暮らしに寄り添う布製品と
雑貨を展開する、下北沢「fog linen work」のオーナー。
すべてのアイテムがオリジナル、
関根さんはそのデザインと企画を行なっている。
また、南インドの人たちの日常着
「ルンギ」の生地を使って
いろいろな商品を作るべく、あたらしいブランド
「miiThaaii」(ミーターイー)を立ち上げ、
自らが現地への仕入れに赴いている。
下北沢のショップでは
fog linen workとmiiThaaiiのオリジナル製品のほか、
インドのワイヤーバスケットや雑貨類、
世界各国のアクセサリーやインテリア雑貨を販売。

 

▶︎HP:https://foglinenwork.com/

▶︎Instagram:https://www.instagram.com/foglinenyumiko/

前へ目次ページへ次へ

03 色の差は、再生と手仕事の証

――
柄のデザインについてですが、
「Square」は白×白 なのが
シンプルだけど素敵ですよね。
生活のたのしみ展では男性も買われていました。

加藤
そうですね。
日本と同じでアメリカでも
ステーショナリーは男性も買われるので、
違和感なく使えるように
柄でもベースと同系色にしたり。
男女ともに使える色やデザインを心がけています。
――
青い「Navagraha(ナヴァグラハ)」は
聞き慣れないワードですが、
どんな意味があるんでしょう?

加藤
「Navagraha」は
インドで占星術にも出てくる
9つの天体・神様のことです。
ジャイプールに、私が好きでよく行く
「ジャワハル・カラ・ケンドラ」
(JAWAHAR KALA KENDRA)という
インドの伝統とアートを展示する
文化施設があるんですけど、
その天井全体に「Navagraha」が描かれていて、
すごく美しいんです。
そこからイメージを広げて、
青い宇宙の中に丸い天体があるような
デザインを考えました。
――
丸は天体だったんですね! 
「TETU」は、
白い花柄に見えたり
ブラウンの星柄に見えたりしますね。
テラコッタっぽいカラーが、
なかなかない色だなと感じました。

関根
そうそう、
ヒロコさんの色のセンス、独特ですよね。
他の人にはない色合わせが
いつもおしゃれだなと思って見てます。
どうやって選んでらっしゃるんですか?
加藤
そうですね‥‥、
1つの柄に使うのはだいたい2色で、
単純に暖色と寒色、というのだとつまらないなぁ、
みたいなところから考え進めていきます。
たとえば柄のパターンを1つ決めて、
それを2色展開にする場合は
同じ印象にならない組み合わせを考えたり。
それでも、いざサンプルを作ってもらうと
想像していたものとはぜんぜん違う感じだったり、
たまにインドの工房から
間違った色を送られてたものが、
逆によかったりすることもあるんですよ(笑)。
関根
ふふふ。
そうなんですよね、インドって。
加藤
紙だからできることだとは思うんですけど、
「この2色で」とお願いしたのに、
「これもやってみたよ」とか
「こっちもおすすめだよ」って、
7色くらい提案してくれたりするんです。
中には予想外にいい色があったりするので、
それを採用させてもらったり。
現地の職人さんに教えてもらうことは多いですし、
一緒に作っている感じがしてたのしいです。
関根
今、全部で何柄くらいあるんですか? 
加藤
柄自体は20個ほどで、
小さい柄はポチ袋にしたり
大きい柄をカードにしたりしてます。
レターセットやカードセットは
箱に入れて販売しているんですけど、
サンフランシスコでは
この箱がいろんなふうに使えるという点も
よろこんでくださっています。
日本の方もそうですが、
世界中に紙好きの方がいらっしゃって、みなさん、
使い方を工夫しながらたのしんでくださってますね。
――
今回はトートバッグ、ポーチと同じ柄の
レターセットも扱わせていただけてうれしいです。

加藤
この紙は手触りがふっくらして独特なので、
ポップアップなどで実際に触られたお客さまは、
良さがわかってくださるみたいで、
多くのかたがお求めになられます。
サンフランシスコではホリデーが近づくと
ギフト用に何箱ぶんも持って帰られる方もいるんですよ。
子どもたちが
「おばあちゃんにあげると手紙を書いてくれるから」
って買ってくださったり、
反対にお孫さんに書いてほしくて買われたり。
関根
わー、かわいい! 
加藤
かわいいですよね。
こちらもすごく温かい気持ちになります。

――
ロットによっては
少し色が違ったりもするんでしょうか。
加藤
します、します。
紙になる前の段階で、
まず不要になった布を集めて
リサイクルコットンを作るんですね。
だいたい同じ色の端布を集めるんですけど、
不要品なので、毎回同じ色にはならない。
だから、プリントする色が同じでも
仕上がりの色味が変わるのは
当然のことではあるんです。
インドの人たちはみんな、
「そこにあるもの」を使って
無理なく暮らしているんですよね。
作り手の彼らからすると
ちゃんと使えるし商品として成り立つのに、
プリントの色が少し違ったり箱がへこんだくらいで
売りものにならないというのはどうなんだろうって、
私も葛藤するときがあります。
インドで作ってもらっているのに、
私たちのスタンダードを押しつけている気がして‥‥。
関根
そうですよね。
日本では特にそういった基準は高めですし。
加藤
だから、あまりにも色が違うと
刷り直してもらったりもしますけど、
少しくらいの差であれば許容範囲としています。
お客さまにも、
リサイクルコットンからできているハンドメイド商品の
「自然な特徴」としてお伝えしています。
――
紙の表面に凸凹がありますが、
これもリサイクルペーパーの特徴でしょうか?
加藤
はい。
作る工程として、
まずリサイクルコットンに水を混ぜてパルプにします。
古着の布を細かく切り、水と一緒に
ドロドロになるまでミキサーで混ぜるんですね。
それを職人さんが紙すきと同じように
木枠に均等に流し込んで、
上からガーゼを貼ってからプレスして水を切ります。
しばらく置いて乾燥したら、
ガーゼをはがして天日干し。
できあがると凹凸があるので
プレス機に入れて紙の表面を平らにするんですけど、
ちょっと残っているのがこのガーゼの跡です。
関根
なるほど、ガーゼの跡だったんですね。
職人さんが貼ってるんだ。
加藤
そうですね。
機械で作ろうと思えばできるかもしれないですけど、
インドでリサイクルコットンペーパーというのは
伝統的なハンディクラフトだから、
機械化する必要もないんでしょうね。
関根
たしかに。
「fog」の一部や「miiThaaii」の商品を
インドで作ってもらっていますけど、
手仕事はすごく大事にされていると感じます。
デジタルプリントもできるよって言われるんですけど、
昔ながらのブロックプリントには、
「ならでは」の良さがありますよね。
日本では伝統的な職人の仕事は
後継者が減ってきていると聞きますけど、
インドでは家族で受け継いでいくから
続いているのかもしれません。
最近は若い人が大学でファッションの勉強をして、
また村に戻ってきて継いでくれるから、
デザインや提案の幅が広がったというのを
耳にしました。
――
お二人のお話から、
インドのものづくりの魅力が伝わってきました。
素敵なものを、どうもありがとうございました。
加藤&関根
ありがとうございました!

(おわります)

2026-08-22-SAT

前へ目次ページへ次へ