──

以前にお話を伺ったことがありましたが、
小坂さんがボタンに魅了されたきっかけは
アンティークボタンとの不思議な出会いでしたよね。

小坂

もともとはふつうの会社員でしたが、
古いものが大好きだったので
アンティーク品を買い付ける仕事に
つきたいと思っていました。
会社を辞めて、1年間イギリスに行き、
買い付けの仕事の準備をしていた時に
蚤の市で古い缶を買ったんです。
その中には古いボタンがたまたま入っていて。

後日、ロンドンのアンティーク街を歩いていたら、
突然見知らぬおばあさんに「あげるわ」と
ボタンを3、4個もらいました。
それが、缶に入っていたボタンと
まったく同じものだったんです。
そこからご縁を感じたというか、
ボタンのおもしろさに気づいて
どっぷりハマっていきました。

──

このお話は、何回聞いてもおもしろいです。
不思議な体験ですよね。

小坂

ほんとうに。
小さなボタンの中にデザインや素材、
いろんなものがつまっている。
ボタンの魅力に気がつけたのは、
道端でボタンをくれたおばあさんのおかげです。

──

小坂さんは、ボタン以外ですと
どんなことがお好きですか？

小坂

え、ボタン以外ですか。
うーん‥‥（しばらく考える）
ないかもしれない。

──

そうなんですね。
休日はどんな風に過ごされていますか？

小坂

基本的にはボタンの本を読んだり、
海外の蚤の市の情報を探したり。
四六時中、ボタンことばかりですね（笑）。

でも、毎年テーマを決めて、
夏に自由研究みたいなことをやるのが好きです。

──

テーマについて研究されるんですね。
たとえばどんなことを調べられたんですか？

小坂

去年は、18世紀のフランスのファッションを
調べようと思って、本を読んだり資料を見たり、
スクラップブックをつくったりしました。
今年は「真珠と貝」をテーマに、
いろいろ調べました。

──

真珠と貝ですか。

小坂

ミキモトさんのミキモト真珠島に
真珠のミュージアムがあるのですが、
そこの館長さんが書かれている本が
とってもおもしろかったです。
『真珠の博物誌』（研成社）という本で、
真珠愛に溢れていました。
この人真珠が好きなんだなーって。

──

本に書けるだけのことが、
真珠にはあるってことですよね。

小坂

歴史からたどっていくと、
真珠は相当奥が深いと思いました。
ヨーロッパや欧米では真珠貝がとれないから
富裕層が欲しがったそうなんです。
でも、日本人はそこまで価値を見出していなくて、
すりつぶして薬にしていたんですよね。
あと、ニューヨークの大富豪が、
真珠のネックレスとマンハッタンに
所有していたビルとを交換した話とか。

──

知らない歴史がいっぱいありますね。

小坂

はじめて知ることばかりで
おもしろかったです。

──

自分で自由研究のテーマを決めて
深掘りしていくのは、
とってもたのしそうですね。
私も来夏やろうかなと思いました。

小坂

私はずっとやっているかもしれないです。
知らないことを知るのはたのしいですよね。

──

ベツレヘムパールも貝ですし、
アクセサリーにもパールがついていて、
自由研究がつながっていきますね。

小坂

ベツレヘムパールが
調べるきっかけでもありました。
今回、大阪のコ・スターリングさんと
一緒にアクセサリーをつくらせてもらって、
それがとってもたのしかったんです。
ボタンをリングに付け替える
スイッチリングは長く販売していますけれど、
ピアスやイアリングに仕立てるというのは
あたらしい試みでした。

──

ボタンがピアスやイアリングになるのも、
存在感があって、綺麗だなと思いました。

小坂

そうなんですよね。
コ・スターリングさんはもともと
うちのボタンを気に入って使ってくださっていて、
仕入れにもいらしていたんです。
その時に選ばれるボタンのセンスが
私の好みとドンピシャだったので、
「いつかご一緒したい」と思っていました。
今回、ボタンをアクセサリーにしていただいて、
こんなにかわいいんだ！と発見でした。
それで、もっとくわしくなりたいと思ったんです。

──

上品で、いろんなファッションに合う
アクセサリーだと思います。

▲ボタン、ネックレス、ブローチ、ピアス、イヤリング‥‥
ベツレヘムパールのジュエリー各種、
10月15日から「DELIな生活のたのしみ展」にて販売します！

小坂

よかったです。
みなさんによろこんでもらえると
いいなと思います。