春と秋の連ドラがはじまるシーズンは、
脚本家の森下佳子さんと、
マンガ家の荒井清和さんと、
ほぼ日のテレビ好き乗組員あややが集まって、
ハイテンションでわいわいと
ドラマ談義を繰り広げるのですが、
うーん、まだまだこういうご時世です。
密な環境で、3時間とか4時間とか、
おしゃべりするのは、ちょっと難しい。
そんなわけで、春に続いて今回も、
あややが今季のおすすめドラマを語る、
ひとり語りバージョンでお届けします。
前後編の特別版をおたのしみください。
サユミちゃんの味わい深いイラストと、
永田の進行はいつもどおりです。
次回は、きっと3人で!

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後編: ナイスなキャスティングで定番の予感! 今季のドラマはよさそうです。

永田
はい、それでは後編ですー。
あやや
あー、それにしても、残念!
森下さんと荒井先生と、
夏のドラマについて、
いろいろ感想を言い合いたかった‥‥。
永田
そうだろうねぇ。
ドラマを観ないぼくでも、
この夏のドラマが豊作だった
っていうことはわかったから。
あやや
きっと荒井先生は『半沢直樹』を
くり返し観てたと思いますね。
永田
そして、あのドラマの唯一の弱点は、
フレッシュな女優さんが少ないことです!
とかおっしゃりそうです。
あやや
たしかに、たしかにー。
森下さんは『私の家政夫ナギサさん』が
好みだったんじゃないかなー。
魅力を分析してほしかったなー。
永田
また、状況が落ち着いて、
3人でたっぷり話せるようになったら
ぜひ、やりましょう。
前編の冒頭でも言いましたが、
今回は、春に続いて短縮バージョン。
あややがひとりで今季のおすすめドラマを
何本か紹介させていただきます。
それじゃ、後編、行ってみましょう!
あやや
はい、つぎは『35歳の少女』
日テレ、土曜日、夜10時!
もうタイトルだけで、
遊川和彦さんの作品だとわかりますねー。
永田
遊川和彦さんは、
森下さんの師匠ともいえる方ですね。
あやや
そうそうそう。
遊川さんの作品といえば、
センセーショナルな設定が特徴ですが、
今回もなかなか壮絶です。
10歳のときに事故に遭って、
眠りつづけたまま25年が経ち、
35歳で意識が回復する。
でも、そのとき家族は
変わり果てた姿になっており‥‥
ということだそうです。
永田
わーー‥‥。
それは、観はじめたら、観ちゃう。
あやや
そういう強さがありますよね。
主演は柴咲コウさん。
とにかくお芝居が上手な方ですよねー。
たとえば同じような明るい役でも、
キャラクターによって明るさの種類を
微妙に変えてくるような女優さんなので、
今回も、10歳のままの心で目覚めた
実年齢35歳の女性がどのように変化していくのか、
きっと繊細なお芝居をされることでしょう。
遊川さんの作品は、登場人物たちに、
これでもかというくらい辛い試練を与えますが、
最後には必ず希望を与えてくれるので、
途中は辛くても、最終回まで観終わったあとに、
「ああ、いいドラマだったなあ」と思うはずです。
永田
なるほど。つぎをお願いします!
あやや
つぎはTBSの日曜夜9時、
『危険なビーナス』
永田
あ、『半沢直樹』のところだ。
あやや
そうです、日曜劇場を引き継ぐドラマです。
妻夫木聡さん主演、
東野圭吾さん原作のミステリー。
これは、純粋に、妻夫木くんを
ひさしぶりに連ドラで観れる
というだけで、なんかうれしいっす。
永田
ええと、あらすじ的には、
妻夫木さんの弟の染谷将太さんが失踪して、
弟の妻の吉高由里子さんが、
「親族の誰かが関わっている」と疑いはじめ、
妻夫木くんと吉高さんが
一緒に謎を解いていく、という感じですね。
ていうか、その達者な俳優3人が
毎週観られるだけでもおもしろそう。
あやや
どうでもいい話ですけど、
その親族の名前というのが
「矢神家の一族」なんですが、
ちょっと横溝正史っぽすぎやしませんか!
ていうか、「佐藤家の一族」とか
「鈴木家の一族」とか言われても、
ミステリアスさに欠けるというか、
事件とか起こらなそうですけれど!
そう思いませんか!
永田
知らん。
あやや
「永田家の一族」だと、半端ですね。
永田
失礼な。
あやや
で、この『矢神家の一族』ですが!
永田
違うって。
あやや
あ、違う、『危険なビーナス』ですが、
このドラマ、全話を通してひとつの謎を追う、
けっこう骨太のミステリーになりそうで、
そこがとってもたのしみです。
一話完結型ではない
「犯人は誰だ!?」的なドラマといえば、
こないだの『テセウスの船』や
『あなたの番です』もそうでしたけど、
最終回まで気になって観ちゃうし、
あのドキドキしながら毎週たのしみに待つ感覚は
まさに「連ドラの醍醐味!」ですよね。
とにかく、原作のあらすじが、
ネット情報で入ってこないように気をつけねば。
永田
つぎ、行きましょう。
あやや
つぎは『共演NG』
テレビ東京、月曜夜10時です。
秋元康さんの企画と原作で、
いわゆる「業界の裏話」が
リアルに描かれるそうです。
主演が中井貴一さんで、お相手は鈴木京香さん、
そして演出はあの大根仁さんときたら、
期待しちゃいますね~。
永田
へぇぇ、大根さんが。
それはたしかに気になるかも。
あやや
実際の「共演NG」って、
昔からあったんでしょうけど、
最近は、あけっぴろげというか、
「昔、仲悪くて共演NGだったけど、
いまは仲直りしましたー」
的なカミングアウトが増えましたよね。
たとえば、ダウンタウンととんねるずは、
本人たちの預かり知らないところで、
テレビ局でもニアミスしないようにしてたとか、
ご本人たちがテレビで話してたり‥‥。
永田
そうなの?
あやや
そうみたいですよ?
永田
ほんとにそうなの?
あやや
ほんとにそうかどうかは知らないですよ。
ご本人がおっしゃってることは
まあ、ほんとなんじゃないでしょうか。
って、ほんとのほんとは、私は知らないですよ。
そもそも、こういう話に、
「ほんとにそうなの?」って訊いちゃだめですよ。
永田
そりゃそうだ。
あやや
それはさておき、『共演NG』、
主演が中井貴一さんなんですが、
中井貴一さんのコメディというと、
三谷幸喜さんの作品ではおなじみですが、
大根仁さんの演出で、どんなふうになるのか
そのあたりがたのしみです!
永田
『記憶にございません!』とか、
中井貴一さんのコメディって、
じつはすごくいいんですよねー。
つぎをお願いします!
あやや
ええと、つぎはこれ、
フジテレビの火曜9時、『姉ちゃんの恋人』
これはね‥‥いけます。
永田
いけますか。
あやや
毎クール、個人的な好き嫌いに関わらず、
「これはおそらくおもしろいんだろうなー」
というある種の品質保証マークが
ついているようなドラマがあります。
私はだいたい脚本家の方で判断するのですが、
このドラマも、岡田惠和さん脚本なんで、
品質保証マークがピカピカ光ってます。
永田
岡田惠和さんの作品はこの連ドラチェックでも
たくさん語らせていただきましたが、
最近だと、『少年寅次郎』。
あと、今年、ステイホームをテーマに、
リモートワークで制作したショートドラマ、
『2020年 五月の恋』を
手掛けてらっしゃいました。
あやや
もう、いつも安定して、おもしろいです。
『姉ちゃんの恋人』の主演は有村架純ちゃん。
岡田さん脚本の『ひよっこ』でも組んでいて、
そういう意味でも安心感がありますねー。
永田
有村架純さんが「姉ちゃん」?
あやや
有村架純ちゃんが「姉ちゃん」。
「姉ちゃんの恋人」は、林遣都さんです。
最初、このキャスティングを見たとき、
ちょっと意外性があって、
そうきたかと感心しました。
林遣都さんはストイックに見えますし、
お顔立ちもとても美しいんですが、
どこか親近感があると言いますか、
ちゃんと、私たちの日常の延長線上に
いる人に見えるんですよね。
役者さんたちって、
とくに主演を務めるような方たちは、
ほとんどの人が
「こんな人、私たちの世界には
絶対にいませんからっ!」というくらい、
カッコよかったり、美しかったりして、
やっぱりどこか非日常的なんですよー。
永田
そこは、森下さんとあやちゃんがいつも
キャスティングに関して言ってるところだね。
あやや
そうそうそうそうそう!
そんな、どっからどう見ても、
非日常的に整った美しくてシュッとした方が、
「ダメでモテないさえないOL」とか、
やっぱりドラマとはいえ無理なんですよ。
基本、女優さんはみんな美しいとはいえ、
美しさにも種類がありますから!
永田
ここで森下さんなら
「そうそうそうそう!」と続けるべきところ、
ぼくなので、
「はぁ、そうですか」としか言えず、
まことにすみません。
あやや
わかってます、わかってます。
なので、私の頭の中の森下さんに向かって言うと、
そういう意味では、主演の有村架純ちゃんって
どんなに主演を重ねても、
「学生時代のクラスにいたカワイイ子」という
雰囲気を身にまとい続けてますから、
このお二人は、ある意味
「等身大カップル」の最高峰で、
観る人たちが共感したり、
応援したくなるような気がします!
永田
ここで、ぼくの頭の中の荒井先生は、
「有村架純さんは最近またいいですよね、
◯◯の◯◯役とか、◯◯のCMとか‥‥」
などと例をあげるだろうと思ったのですが、
ぼくなので、すみません。
あやや
荒井先生、復帰をお待ちしております!
永田
さあ、つぎが最後のおすすめドラマかな。
あやや
はい、最後の1本は、『七人の秘書』
テレビ朝日、木曜夜9時。
これも完全に品質保証マークです!
なんせ、あの『ドクターX』の
中園ミホさんが脚本ですから。
いままでフリーランスの医師、
スーパー派遣社員、国税局査察官などなど、
いろんな職業を描いてきた中園さんが、
今回は「秘書」を描きます!
永田
「この世を動かしているのは、
国や財政のトップではない。
要人であるボスを支え、組織に仕え、
目立たぬことこそを極意とする、
名もなき『秘書』たち‥‥」
ははぁ、これはたしかにおもしろそう。
あやや
ね。「秘書」って聞くだけで、
覗いちゃいけない世界を
垣間見れる感じがしますよね。
そこに中園さんならではの
取材力と視点が入ってくるから
これはもう、品質保証でしょう!
永田
しかも「七人の秘書」ってことは、
『オーシャンズ11』的に
豪華なキャスティングが?
あやや
そのとおりです。
「七人の秘書」を演じるのは、
木村文乃さん、広瀬アリスさん、
菜々緒さん、シム・ウンギョンさん、
大島優子さん、室井滋さん、江口洋介さん。
ああ、このキャスティング会議、
たのしかっただろうなあ‥‥。
全体のバランスを考えるのはもちろん、
「このひとは華担当ね」とか、
「このひとは裏切り担当ね」とか、
「色物も入れておきたいよね」とか、
あれこれ話し合ってたのかなあ。
妄想するだけで、たのしすぎる!
永田
あなたは脳内妄想キャスティングしてるときが
いちばん生き生きしてますね。
あやや
あああーー、なんのドラマでもいいから
一度だけキャスティングをやってみたい!
ドラえもーん、
「キャスティングやれるマシーン」を
出してくれー!
永田
ないから、そんなひみつ道具。
あやや
ともあれ、人選もばっちりですよ。
この人が秘書をやったらどうなるんだろう、
という、いいバランスで、
「切れ者」的な人をちゃんとそろえてます。
永田
これは、うまく行けば、
テレ朝お得意の定番シリーズ化が‥‥。
あやや
大いにあると思います、
テレ朝定食の新メニューです!
永田
はい、という感じで‥‥。
あやや
はい、この秋のドラマ、たのしみです。
豊作の予感のするシーズンです!
永田
連ドラチェック特別版、このあたりで。
春には、春こそ、3人で。
あやや
できるといいですねーーー。
永田
それでは、また!
あやや
よいドラマライフをーー。

(お し ま い)

2020-10-10-SAT

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