元ゲーム雑誌の編集者で、
テレコマンとしても活動している永田ソフトが
ここでは永田泰大さんとして
『MOTHER1+2』をプレイする日常をつづります。
ゲームの攻略にはまるで役に立たないと思うけど
のんびりじっくり書いていくそうなので
なんとなく気にしててください。

8月26日

地続きの世界を歩いてめぐる

世界が地続きになっているのが
『MOTHER』シリーズの売りであるから、
このゲームが好きな人であれば、
きっと一度は歩いて世界をめぐってみたくなる。
そういうものである。

むろん、先にクリアーした
『MOTHER』において僕はそれを試みた。
きっと9年前に『MOTHER2』をプレイしたときも
それをやったのだと思う。

オネットへ久々に帰ったあと、
僕はフォーサイドまで歩くことにした。
とくに意味などない。
強いて動機を挙げるとしたら、
そこが地続きであるからだ。

『MOTHER』における徒歩の旅は
必然的に線路を歩くことであったから、
勢いそれは『スタンド・バイ・ミー』を連想させた。
広大な地を線路に沿って行く少年たちの姿は、
アメリカの片田舎を進む死体探しの旅を思わせた。
『MOTHER2』では線路を歩くわけではないけれど、
やはりその旅はなんらかのロードムービーを思わせる。
見かけ上、歩む少年と少女は無口だが、
きっとそこには他愛のないおしゃべりや、
ちょっとした意見の対立や、
昔話や、おまじないや、鼻歌や、
空腹や、スリルや、冒険があるのだろう。

僕は街から街へと歩き、街へ着いたらホテルに泊まった。
そういえばあの人たちはどうなっているんだっけ、
などと思いながら、街の人たちに話しかけて回った。
ぬすっと広場でのあの人の噂。
女の子の父親の反応に大笑いする。
檻のなかのゾンビたちは少しかわいそうだ。
正義の卑怯者はどこへ行ってしまったのだろう。
砂漠のスロットマシンでまたしても無駄遣いする。
何度やってもスリーセブンが出ない。
意外な場所で記念写真を撮ってもらった。
フォーサイドへ入る手前のトンネルのなかに
マジックバタフライがいるなんて気づかなかった。

昔のゲームに刷り込まれた古い価値観だとは思うが、
ロールプレイングゲームの世界を
隅々まで歩いて把握することは、
僕にとってはっきりと喜びである。
ここにはやはり何もない。
こんなところにこんなものがあった。
それがゲームのクリアーに関係あろうとなかろうと、
その世界を隅々まで知りたいと僕は思う。

僕と僕の仲間たちは地続きの世界を一歩一歩進み、
ようやく大都会フォーサイドへ着いた。
歩き通したご褒美というわけでもないが、
トポロ劇場でビーナスのゴージャスなステージを
ゆっくり鑑賞した。
彼女の歌のエンディングの余韻が、
僕はとても好きである。

2003-08-27-WED