元ゲーム雑誌の編集者で、
テレコマンとしても活動している永田ソフトが
ここでは永田泰大さんとして
『MOTHER1+2』をプレイする日常をつづります。
ゲームの攻略にはまるで役に立たないと思うけど
のんびりじっくり書いていくそうなので
なんとなく気にしててください。

8月24日

旅の変質

明らかに道が険しくなっている。
密林にずいぶん手間取った。
腰まで浸かるような泥水のなかを進んだ。
登場するモンスターがいやな攻撃を仕掛けてくる。
4人の通常攻撃を一度ずつ当てるだけじゃ
やつらの体力をゼロにすることはできない。

つぎつぎに仲間たちのレベルが上がる。
けれど、戦闘は楽にならない。
どうやら、佳境なのだろう。
少しずつではあるけれど、旅は変わりつつある。

そして僕は、ゲームがどのようにうねっていくのかを
ほんとうに覚えていないのである。
たぶん、9年前の僕は、ここを駆け抜けたのだと思う。
ゲームの強い力に引っ張られるままに、
このあたりを走って抜けたのだと思う。
それで、風景のいちいちを覚えていない。

たとえば、あのおぞましいやつと
再会するなんて思わなかった。
密林を抜けた先に住んでいるおかしな民族のことも
ほとんど覚えていなかった。
博士や発明家が何かを求めて動いているようだ。
それがどんなふうに展開するのだか、
まるで覚えていない。

そういえば、風景が変わっても
新しい街が出てこない。
世界を平行移動していた僕と僕の仲間たちは
違った軸で歩んでいくことになるのだろう。
つまり、観光や旅行は終わりつつある。
愉快な飾りはどんどん周囲から姿を消していく。
残る旅の本質のみを胸に、
僕と僕の仲間たちは進むことになるのだろう。

もちろん、まだまだ行く道は長い。
けれど、ゲームを一日にたとえるならば、
正午の鐘はとっくの昔に鳴っているのだ。
いつの間にか陽はかげり始めているのだ。

ここから先の風景をいちいち覚えていないけれど、
ゲームがしだいしだいに無口になっていく雰囲気を
僕ははっきりと覚えている。
その独特の雰囲気が刻まれているのは、
脳ではなくて皮膚のような気がする。
9年前に感じた雰囲気だけを、僕は覚えている。

2003-08-25-MON