元ゲーム雑誌の編集者で、
テレコマンとしても活動している永田ソフトが
ここでは永田泰大さんとして
『MOTHER1+2』をプレイする日常をつづります。
ゲームの攻略にはまるで役に立たないと思うけど
のんびりじっくり書いていくそうなので
なんとなく気にしててください。

7月8日

寝床でゲーム

携帯ゲーム機に『MOTHER』が移植されて
なにがうれしいかというと
寝ながらゲームができることである。

お行儀が悪いと叱られたら謝るしかないが
基本的にロールプレイングゲームは
長時間のんびりとプレイするものだから、
楽な姿勢でできるのはじつにありがたい。

テレビにつながった据置型のゲーム機で
ロールプレイングゲームをプレイする場合は、
いかにそこで楽な姿勢をとることができるか
ということに苦心した。

編み出したのは
ソファの一部分を背もたれのようにして使うやり方で、
基本的にテレビに足を向けて床に仰向けに寝そべり、
背中の半分から上くらいを起こして
首の後ろあたりをソファに支えてもらう形である。
そのままだと背中や首の角度が急すぎるため
ソファと床のあいだにはクッションをふたつばかり噛ます。
このようにすると、体のおおむねは寝ながらにして
上半身がやや起きたような状態となる。
コントローラーはへその上あたりで操作し、
飲み物などは右手側のちゃぶ台に置くとよろしい。

お行儀が悪いと叱られたら謝るしかないが、
過去、幾多のロールプレイングゲームを
僕はこの姿勢でプレイした。

ところが、である。
『MOTHER1+2』では体勢に悩むことがない。
寝そべりながらプレイできることはもちろん、
なんと、寝返りまでうてちゃったりする。
従来の据置型のゲーム機において
「寝返り」は非常にもどかしい問題だったから
地味ながらこれは非常にうれしいことである。

みずからのぐうたらぶりをどんどん晒すようで恐縮だが、
さらなる利便はフロントライト機能である。
ゲームボーイアドバンスSPに追加されたこの機能により、
プレイヤーはついに寝床へ
ロールプレイングゲームを持ち込むことに成功した。
しかも、フロントライトの光量はけっこうなものだから
暗闇において枕元のメガネなんかも探せちゃったりする。
え? やりませんか? けっこう便利ですよ?

例によって長々と書いてしまって申しわけないが、
要するに何がいいたいかというと、
寝るまえにベッドで『MOTHER』ができて
こりゃとっても楽しいなあということである。

それでも、最近の僕は
明け方まで原稿を書いていたりするので
そういった楽しみをほとんど
味わっていなかったのであるが、
昨日は久々に枕元でのんびりと
『MOTHER』をプレイした。

否、プレイした、ような気がする。

おいおい、プレイしたような気がする、というのは
いったいどういうことなんだと、
いぶかしく思う向きもあろう。
説明させていただくと、よく覚えていないのである。
なんだか砂漠のあたりから穴ぼこに入って
そこに猿がいてわけのわからんことを言ってるなあ、
というあたりまでは覚えている。
どうやらここはダンジョンなんだなあ、
というあたりまでは覚えている。
しかし、そのあたりから猛烈に眠くなってしまって、
それでもダンジョンのなかだからどうしようもなくて、
まさか電源を切ってしまうわけにもいかなくて、
この猿はさっきの猿だったか新しく会った猿だったか
もはやぜんぜん区別がつかなくなってしまって、
そもそも僕はどっちに進んでいたんだっけ、
なんとなく左のほうにいくんだろうなあ、
また猿が何か言っているが
誰かがここにいる猿はうそつきばかりだから
気をつけろと言ってたなあ、
空っぽのプレゼントボックスがあるということは
ここはすでに通ったんだなあ、
それにしてももう眠くて何がなんだかわからんぞ、
というあたりで、どうやら寝てしまったようなのである。

なんとも情けない話である。

それはさておき、
今朝もいつものように電車のなかで
ゲームボーイアドバンスSPの電源を入れた。

そしたら驚いた。

なんと、僕はダンジョンの向こう側にいた。
つまり、もうろうとしながら
猿のいるダンジョンをクリアーしてしまったようである。
恐るべし、オレ! 天性のダンジョンマスター!
あるいは寝ているあいだに妖精さんたちが
ゲームを進めておいてくれたのか。
ありがとう、妖精さん!

などと手放しで喜ぶわけにもいくまい。
というのも、ダンジョンの出口にたたずみながら
僕は大きな疑問を感じているのである。

僕はこのダンジョンでの目的を達成したのだろうか?
出口へたどりつくことだけが目的ならそれでいいけど、
何かのアイテムをとるようなことが目的だったとしたら?
だいたい、僕はなんでここに入ったんだっけ?

このまま進んでいいものかどうか、
寝ながら進んだダンジョンで
何か大切なものを取り忘れてはいまいか、
非常に気になるけれどもたしかめる術がない。

寝床でゲームをプレイする際は、
前後不覚の状態に陥るまえにきちんとセーブすること。
肝に銘じながらしめやかに日記を終わる。

2003-07-09-WED