元ゲーム雑誌の編集者で、
テレコマンとしても活動している永田ソフトが
ここでは永田泰大さんとして
『MOTHER1+2』をプレイする日常をつづります。
ゲームの攻略にはまるで役に立たないと思うけど
のんびりじっくり書いていくそうなので
なんとなく気にしててください。

6月30日

進むべきか探すべきか

あからさまに行く手をふさぐものがあって、
進行は妨げられていたのだが、
先日、抽象的に報告したように
それは見事にドカーンっと吹っ飛ばされた。

つまり、行く手をふさぐものはなにもなく
その気になれば、やる気になれば、
すいすいとそこをすり抜けて
まだ見ぬ地へと邁進できるわけであるが、
なんだかそれをしない僕である。

例によって、進めないのには理由がある。

さっさと進んじまいなよ、と
右肩の上にボワンと現れた悪魔の永田がささやく。
いやいやまだやることがあるでしょう、と
左肩の上にボワンと現れた天使の永田がささやく。

むろんそれは便宜上のことで、
どちらかが正しい意見で
どちらかが間違っている意見というわけではないし、
いうまでもなく深夜に僕がひとりでこそこそ
天使の衣装に着替えてみたり、
悪魔の衣装はありませんかと、
東急ハンズに問い合わせたりするわけでもない。
だいたいなんでそんな格好をせにゃならんのだ。

要するに、工場のことが気にかかっているのである。

その工場に入ったのには目的があって、
僕は無事にその目的を達成した。
しかしながら、残念なことに
工場のすべてを踏破したとはいえないのである。

工場には随所に小部屋があって、
そこにはいくつかのアイテムが放置されている。
それらの重要度は、貴重なものだったり、
とるに足らないものだったり、
ものによってまちまちである。
また、それらは、その場所に行って、
直にたしかめる以外に確認する術がない。
それで、僕は悩んでいるのである。

貴重なアイテムが残っているかもしれないし、
残っているのはたいしたものではないのかもしれない。
ならばさっさと行ってたしかめればいいのだが、
その工場は、構造が非常に複雑なのである。

『MOTHER』には、
オートマッピングなどの機能がないし、
そもそも工場のマップが存在しない。
1989年のゲームにおいては
まったくふつうの仕様である。

さらにやっかいなことに、
その工場は、入口から出口へ抜ければ
だいたいの道を通ることができるという
一本道の構造になっていない。

早い話が、2、3回入っただけでは
どこを通ってどこを通ってないかが
把握できなのである。

たまたま奥へ奥へと進むうちに、
目的を達成してしまった僕であるが
途中、すべてのアイテムを取ったかどうか
定かではない。しかしながら、
それらを完全に獲得しようとすると、
かなり気合いを入れて、
念入りに工場を歩き回らなければならない。

重要なアイテムがあるかどうか保証もないのに。
そこでの目的はすでに達成しているのに。

残ってんのはどうせろくなアイテムじゃないぜ
さっさと進んじまいなよ、と
右肩の上にボワンと現れた悪魔の永田がささやく。
むろん、悪魔の永田は尻尾が矢印形になっている。
とんでもございませんきっと貴重なものが残ってますよ
いますぐあの場所にお戻りあそばせ、と
左肩の上にボワンと現れた天使の永田がささやく。
もちろん、天使の永田は金色の竪琴を奏でている。

くんずほぐれつの怪獣大決戦ののち、
勝ち残ったのは赤コーナーのエンジェル永田であった。
背中の羽はボロボロになっていて、
自慢の輪っかもなくなっていた。
しかしながらコミッショナーの裁定は絶対であるから、
僕は、つぎなる領域へすいすい進むことをやめ、
薄暗い工場をたっぷり二日かけて散策した。

以上が、ゲームの進行が滞っている理由であります。
ちなみに成果としては、バッヂを一個見つけたので
バンバンザイといったところです。

2003-07-01-TUE