COOK
お母さんって、ヘン!?
うちのおかんは、こんなんです。
「くまんばちがとんできた」発売記念
──娘が語る、わが母の妙。


その8)最終回
「そうは言っても」な、娘の愛情について。




このページの下方に読者からのメールを紹介しています。


きょうこ
うち、タクアン、
2枚以上禁止なんですよ。

美雨
なんで?

ほぼ日
塩分過多になるから?

きょうこ
なんでかって聞いたら、
「切るのめんどくさいから」
  って。
言った後にハッて思ったらしくて、さすがに。
「いやそれはね、
 家族の健康を考えて、
 塩分を取り過ぎはいけません」って。
最初は本音が…。
だから、タクアンは、うちは2枚以上は
一回の食事に食べちゃいけない。

でもね、買ってきたもの、
余計にひとつ用意して、
自分だけで食べてる
のよ。
母親が買ってきたパックとかに入った大福、
スーパーとかで買ってきたの、
いっつも一個空白があるんですよ。
それもちょうどその形分の空白が。
ほんで、ある時、おっかしいなぁと
思ってたんだけど、
駐車場で姉が目撃したの。
ハルオが食べてた。
一同 (笑)

りか
駐車場で(笑)。

きょうこ
そこで一個食べて、ほいで家に帰ってきて。
うちは4人家族なんですけど、
だから必ず5個買ってるらしいんです。

あとね、
「あたしはさあ、もう疲れてんのっ」
て言って、
30年間更年期障害だって
言ってるの。
一同 あははは。

ほぼ日
抗いにくいよねえ、
そう言われちゃうと。

きょうこ
ほいで、ご飯を作れない理由は
更年期のせいにしてるの。
もう30代前半からずっと
更年期障害だって言えば済むと思ってる。

美雨
その言い訳でちょっと思い出したのが、
母が、朝食の時に髪洗って巻いて、
で、すごい姿で何か食べてるんだけど、
足がテーブルの上に乗ってる
のね。
私、それが普通だと思っていて。
一同 ははは!

美雨
でもさすがにそれは教育に悪いと思ったのか、
私には、テーブルに足乗せんじゃないわよ、
みたいなこと言うのね。
でもお母さん、
やってるよねみたいなこと言ったら、
低血圧だからね、
 しょうがないの」
一同 (笑)。

美雨
小さい頃から言われてて、
そうか低血圧だから血が足の方に
下がっちゃうからしょうがないんだって
つい最近まで思ってた!!
そういうことじゃないのよね?

きょうこ
そういうことじゃないと思います・・・。
基本的に子供の指摘は認めないですよね。

美雨
低血圧でしょうがないのっていうのは、
でもちゃんと自分でも信じてるふうだった。
ところが、私まで真似して
足癖悪くなっちゃったものだから、
さすがにやめたけど。
けらえいこさんの
『あたしンち』ってマンガあるでしょ。
けらえいこさんが母のファンで、
いっつも送ってきてくださってたんで、
私もずーっと読んでたんですよ。
もうね、おんなじ!

りか
見てるんじゃないかと。

美雨
ほんとにおんなじ。
『あたしンち』のお母さんと。

りか
うちの母もあれ読んで
「私のことが書いてある」って言ってました。

美雨
みんなそうなんだ。

きょうこ
うちは『ののちゃん』のお母さん。
一同 ああ!

ほぼ日
『となりの山田くん』の。

スガノ
私、夫に言われる。
けらえいこの『あたしンち』のお母さんは、
私そっくりだって。

りか

うちの母も、そうかも。
銀行が閉まるまでにあと5分あるから、
やおやさんに行ってこよう、
ってやおやさんに行ってる間に、
他の用事も思い出してそっち行ってると
銀行閉まっちゃうとか、あるよ。


美雨
全部ダメになっちゃう。
好きなのが、子供の友達が遊びに来たら、
何かおやつ出してあげたりとかするときに
「いらっしゃーい」って言って、
ポテトチップスとか出すんだけど、
置いた時にまず自分が食べちゃう

スガノ
いや、もうおそろしいですよね。
ぞおっとする。将来こうなると思ったら。
一同 (笑)。

スガノ
やだよお。

きょうこ
ほんと、ひどいもん。
台風で暴風雨域に入ってから
コタツ布団いきなり干したり

りか
おかしい、それは。

きょうこ
今までコタツ布団さんざん
洗濯しなかったのに、
冬明けて、春、夏ずーっと
数ヶ月あったはずなのに、
なぜか自宅近くが暴風雨域に入ってから
干しだしてるんですよ。
もう、意味が分からなくって。

スガノ
思いついたんでしょうね。それは。

ほぼ日
風が強いから埃が落ちるって?

きょうこ
つい最近、友達がうちに来た時も、
友達をとにかく歓迎したい、
何かプレゼントをあげたい、
食べ物を出さなくちゃ、
と思ったらしいんですね。
ところが、出せるようなものがなかったの。
別に何もなきゃあげなくていいのに、
コーヒーのあめとミルク味のあめ
二つ持ってきて、
「はい、これ。
 一緒に食べてみて。
 コーヒー牛乳の
 味がするから」
一同 (笑)(+拍手)。

きょうこ
「すごいでしょう」って。
その現場に私はいなかったんだけど…。
友達に渡すものがあって、
でも私は会社にいるから、
うちに行って母から受取ってね、
ってことで受け取りに来てくれたんだけど。
私の話いっさいゼロで、
コーヒー牛乳の話とか、
最近どうなのよっていう話とかを
延々と大雨の中
友達は長くなるから、
「もういいです。もう帰りますから」
って言ってたらしいんだけど、大雨の中、
「どうなの? どうなの?
 コーヒー牛乳の味しない?」って。

美雨
会いたいなあ。

スガノ
・・・でもみんな基本的に
お母さん好きなんですよね。
一同 好き。

きょうこ
基本のものの考え方とかは好きだから、
受け継ぎたいんだけど、見てくれがね。

ほぼ日
それはあるよね、きっとね。

きょうこ
だから将来見えちゃうっていうのはね。
痛い痛い。

ほぼ日
そこいくと美雨さんちっていいよね。

きょうこ
いいですねぇ。いいなあ。

美雨
うーん、どうなんでしょ。

スガノ
何年後かにジムに通い出せば。

ほぼ日
大丈夫。

りか
女としての先輩だもんね。

スガノ
目の前に生まれた時から
お母さんがスタンダードとしているから、
疑いを知らずに吸収しちゃうよね。
結局最後にお母さんのことは
基本的に好きよって言ってもらえれば、
そりゃ親冥利に尽きるって感じはあるな。
親になって思いました。

ほぼ日
じゃ、こんなところで。
ありがとうございました。

(下でメールを紹介しています。)

ほぼ日より

怒濤のようなこの座談会、
あっというまに最終回となりました。
ご愛読、ありがとうございました。
いただいたメール、今回も紹介させていただきますが
まだまだ紹介しきれずに残っているものも・・・。
座談会はこれでおしまいですけれど
次回は「読者スペシャル」として
一気にメールを紹介したいと思ってますよ〜!
お楽しみに!
では、今日のメール紹介でっす。
(座談会メンバーのコメントとともにどうぞ)

私の母は、
「全ての男はマザコンである」
と娘二人に教え込みました。
「よって、あなたが、その男の母よりも
 愛されることは決してなーーい!」
って。
その母の母であるばあちゃんは、
「うちの家系は代々男運が悪いからねえ」
と、常々言っていました。
おかげで、男性に対してそんなに夢をもてなくなって、
いいのか悪いのか。
まあでも、ホントのことだと思うので、
結婚した今、
「お義母さまにかなうわけないじゃん」
と覚悟決めてるぶんだけ気がラクです。
すべての母は「男を信じるな」とか
「いざとなったら男なんて絶対に信用できない」と、
娘に教えるものなのでしょうか。
「いざとなったら」ってどうなったらなんだろう。
(ふるや やよい)


(りか)
「全ての男はマザコンである」。
うちの母と弟の姿を見て、
それは思いますね。
あんなに尽くされたら、
男は母を捨てられないよー!

(きょうこ)
わたしも、その説に一票!
うちのパパは、母ハルオを前に、
「死んだお前のおばあちゃんは、
 ほんと、やさしくてねえ・・・」
と遠い目で、つぶやいてます。

(ほぼ日・シェフ)
うちの父とその兄弟姉妹は
十数人がみーんな、
祖母が亡くなるまでずっと
「かあちゃん、かあちゃん」と
慕ってました。とくに男兄弟連中。
いい歳して、つらいことがあると、
「かあちゃん、聞いてくれよ‥‥」と、
泣きにきていたりする叔父もいました。
マザコン、と言えば言えるんだろうけど
ぼくは、なんか、そういう姿を
いやだと思ったことはありません、
それでいいんじゃないのかなー。
映画「グランブルー」でのジャン・レノも
めちゃくちゃマザコンだったよねー。


家は自営業で、
自宅とは別に店があるので
我が家の主婦はつい最近まで祖母でした。
だから、小さい頃からほとんど
「お袋の味」ってやつを
知らないで育ちました。
現在95歳の婆ちゃんが
もうそれは主婦として完璧だったので、
別にお母さんのご飯食べたいなんて
思わなかったのです。
(ちなみに、婆ちゃんの作ってくれたお弁当、
 一回も茶色いのはなかった!
 毎日工夫してほんとに色とりどりで。)
で、最近主婦を引退した婆ちゃんに変わって、
1週間の晩御飯のうちの1回を、
母が作るようになりました。
(後の6回は、料理好きで
 愛読書「dancyu」の父)
で、毎回揚げ物なんです。
しかも毎回玉ねぎのフライ、だけ。
キャベツの千切りもついてないし、
味噌汁もない。
ただ、1.5センチ厚の輪切りの、
玉ねぎフライが皿に乗ってる。
「お母さんねー、揚げ物名人なのよねー」
って父に同意を求め、
自慢げに食卓に出す母。
ただ、ニコニコ笑う父と祖母。
自営だから、料理が出来ないって
訳じゃないのですよ、これって。
婆ちゃん、そして結婚後は父が、
彼女をこんな人に育ててしまったのね。
私も、一緒に微笑んだらいいのかな・・?
(りのぼ)

(りか)
ニコニコ笑う父と祖母。
りのぼさんがおかあさんから
学んだものは、愛の姿かも。

(スガノ)
わたしは最近つくづく思います。
「結婚後の人生は長い」と。
結婚してからも、自分のなかの
いろんな部分が育ちますー!

(ほぼ日・シェフ)
いいじゃーん、料理好きがいればそれで〜、
とお気楽におもいまーす。
たぶん僕もそうなるなー。


うちもずっと共働きで、
家事は全般に不得意な母でした。
家が綺麗だったことはこの方なく、いつも
「働いているから、暇がないのよ。」
と言い続けてウン十年。
家庭科の宿題も、友達はやってもらったり
していたので頼んでも
「自分でやんなきゃ意味ないでしょ。」
と言ってやってくれませんでしたが、
実は裁縫が苦手だったことが、
大人になってから判明。
そういえば、家庭科のパジャマのすそ上げを
でっかい波縫いでやられて
泣く泣く解きなおしたことがあったっけ・・・。
小学生のときは、私が腹痛を起こして病院に行ったとき
「栄養失調ですね。」と言われてショックを受け、
思わず
「うちは貧乏じゃありません!」と答えた母。
んなこと誰も聞いちゃいねえよ・・・。
たぶん理由は、カップラーメンの
食べすぎだったろうと思われます。
ちなみに弟は、卵ご飯の食べすぎで太りました。(笑)
こんな母でしたが、私も、
「私は子供のそばにいてやろう。」と思ったことは
一度もありません。 却って
「私も働いて、母のようにお金を自由に使いたい。」
と思ってきました。だから、
「母親が家にいないと、子供が可愛そう。」
と言う人の気持ちがわからんのですよ。
だって、たまにいると
「なんだ、今日はいるのか。」
と思ってましたから。(笑)
まったく放任主義の家庭でしたので、確かに
自分のことは自分でやる、ということが
身についたような気がしますね〜。
(匿名)


(りか)
放任主義だと、子供の自立が早い。
ま、お母さんは生活に一生懸命で、
主義でやってたわけじゃないんだろうね。

(スガノ)
わたしも「超放ったらかし」で育ちましたが、
寂しいと感じたことは、
ほんとに一度もありません。
何も与えられなくても、
やることなすことが親のひとりよがりであっても、
自分に対して何かを感じている人がいるのだ
ということを無意識にわかっていたのかな?

(ほぼ日・シェフ)
放任主義だと「おませ」になるのも早い、
ような気がする。

(きょうこ)
うちも、放任主義でしたけど、
けっこう親のいないとこで
好きなことしまくってたので、
超快適でしたわ〜〜。
でもね、子供は、ほんと、親の見てないとこで
何してるかわからないですからね〜。
わたしは、自分の子供に
超過保護になっちゃうかも〜〜。


私は弁当持参の日の朝、
母からおもむろにみかん15個渡されたことが
あります。
「これで、皆から少しずつ弁当を
 わけてもらいなさい。」
でした。
幸運なことに、エビフライやおにぎりを
しっかりゲットできました。皆に
「桃太郎みたいだね。(みかん=吉備団子)」
とか
「藁しべ長者だよ。(みかん→豪華な食事)」
なんていわれながら・・・。
みかんの変わりに、ポテトチップスの時もありました。
当時、学校へのお菓子の持ち込みは
禁止だったのですが、
母曰く、
「先生に文句を言われたら
 『母の許可済みです。』って答えなさい。」
でした。
ある日、全校生徒を集めて運動場で
朝礼が行われたました。
先生が、
「朝食抜きで学校にきた人手を上げて!」
と言われ、手を上げたのはなんと私と姉のみ。
それを聞いてショックを受けた母は、
次の弁当持参の日、4段重ねの弁当
(普通の弁当箱4つ)を私に持たせました。
ギャップがお大きすぎますよね。
でも小学生だった私は嬉しくって、嬉しくって。
友達の白い目をよそに全て平らげました。
翌日腹痛で学校を休んだのは
言うまでもありません。
弁当のこと以外でも母には完全に参ってしまいます。
例えば家に友達が遊びに来て、
一緒にテレビを見ていると、
「どうせテレビを見ているだけなんだから、
 これやって。」
と手伝いを私だけでなく、友達にも言いつけます。
だから友達は家に来ると、洗濯物をたたんだり、
パーマをかけるロット(母は自営の美容師です)を
整理しなければなりません。
お遊びどころじゃありません。
日曜日には、「農業体験学習しない?」
と私の友達に無理やり農作業を手伝わせます。
(父は農業をやっています。)
せっかく遊びに来てくれた友達に、
何時も何かしらの用事を言いつけるので、
申し訳ない気持ちがいっぱいでした。
この様にずうずうしくて、常識に欠ける?
母を幼い頃はうらんだものですが、
今では私も母のようになりつつある自分が怖いです。
(マイ)

(ほぼ日)
わらしべ弁当! 桃太郎弁当!

(スガノ)
わははは! 笑いました!!!
みかんを手渡しするときのお母さんの表情が
目に浮かぶようです。
友人に理髪店の家の子どもがいますが
遊びに行くと、その子がいつも
「はい、おやつ」
と、小皿に「強い子のミロ」の顆粒を盛って
出してくれました。
飲み物としてではなく、おつまみとして
強い子のミロをみんなで食べる。
指先にミロをつけて舐めながら
長々話をしました。たっのしかったなぁ。

(りか)
自信たっぷりのおかあさんって、
けっこう頼もしいよね。
藁しべ長者にはびっくりだけど。


私がまだ小・中学生だったころの話ですが
家の母は夕方外出先から帰れずに
夕食の支度等をたのむ為に電話してくる時の
第一声は力いっぱいの
「あんただれ!?」
でした。
その理由は三姉妹で声が似ていたため
判別がつかないからでした。
娘の声くらい聞き分けてほしいとずーっと
言っていましたが直りませんでした。
(いっつん)

(りか)
電話かけてきて、あんただれ!?
って、いいなぁ。

(ほぼ日・シェフ)
一人っ子にはない体験。
ちょっとうらやましいような、
そうでもないような。

(スガノ)
それは、必死なんですね。
「あんただれ?」って言っている瞬間、
とても必死なんです。
いずれにせよ必死な姿は
人を育てます。ほんま、そうですよ。


小学校の時、運転中の母に
男と女の人の体の違いを質問した私。
答えに困りもせず、くもった車の窓
(それも正面)に大きな絵を描きながら
説明してくれました。
今考えると、周りの車から見られてなかったのかな?
と不安になります。
こんな母ですが、大好きです。
(ちび)

(りか)
わはははは。
ここぞとばかりに、真剣だったんだろうね。
おかあさーん。

(ほぼ日)
真剣だからかっこいいかもー。
前に、道を歩いていたら、
向こうから真剣に
「だからあんたはだめなのよ!
 しっかりしなさい!」
と怒りながら、自転車で突き進んでくる
近所のおかあさんが。
後ろの荷台に子供が乗ってたんですが
見えなかったから、
僕が怒られてるのかと思いました。

(次回は、メール特集です!)

2002-12-11-WED

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