第3回 実際に体を動かす遊び

糸井 自分が標準体重だったこともあって、
ぼくは『Wii Fit』を、
純粋にスポーツゲームとしても
けっこうしっかり遊んでるんですよ。

宮本 ああ、はい。
糸井 で、やっぱりおもしろいんですね。
まあ、楽しさとしては『Wiiスポーツ』の
バリエーションなのかもしれないですけど、
やっぱり、指先の操作だけじゃなくて、
体全体をつかって遊ぶ喜びが大きくて。
宮本 気軽に遊べるわりに、
けっこう本気になりますよね。
糸井 そうですね。
極めてやろう、とは思わないまでも
もっとうまくできるな、というので
ついつい続けてしまうというか。
宮本 あんまり、攻略させることに
ウエイトを置いてつくってないので、
わりと広く、誰でも遊べるように
なっていると思います。
糸井 最初、「これはできないな」と思ってたものが
ちょっとずつできるようになるのが
うれしいんですよね。
そのサイクルが何回か続くと、
新しいトレーニングを試してみたときに、
自分ができないというのを知ることが
まんざらイヤじゃなくなるんですよ。
宮本 ああ、なるほど(笑)。

糸井 あの、サッカーのヘディングなんかも、
最初、できるわけねぇよ、と思ったもん(笑)。
宮本 できるようになってきました?
糸井 うん。いま、120点ぐらいになったかな。
けっこう、うれしいんですよね。
家でやってて、うしろで見てるかみさんに
「うまいじゃん」とか言われたりしてね。
いや、うまいっていうほどうまくはないのは
知ってますけどね、もちろん。
宮本 いちばんやってるのは
どのトレーニングですか?
糸井 いまは、スラロームですね。
「だんだんうまくなる」っていうのが
わかりやすいから、好きなんですよね。
宮本 けっこう爽快感もありますしね。
糸井 うん、気持ちいいですよ。
体を使ってる感じもするし。
宮本 妙に、やってる気分になるんですよね。
ぼくはスキーはしますが、
スノボはやらないんですけど、
『Wii Fit』のスノボをやって、
「体重を後ろに乗せて回る感じ」が
なんとなくわかったんですよ。
糸井 逆に、まだうまくできないのが、
ジャンプかな。
宮本 いちおう、攻略法というか、
うまくいくやり方というのはあるんですよ。
もちろん、素直にやって、
飛べたり飛べなかったりするほうが
楽しいと思うんですけどね。
参考までに言うと、ジャンプは
助走のときに重心を示す赤い丸と青い丸を
合わせるようにすると速度が出るんです。
糸井 へぇー。

宮本 前に傾けすぎず、後ろに乗りすぎず、
という感じで赤と青の丸を合わせると、
90キロくらいまでスピードが上がるんです。
そこで踏み切って、
飛んだあとは左右の重心を変えない。
そうすると距離が伸びるんですが、
まあ、そう遊んでおもしろいかどうかは別で。
やっぱり、
「いい感じでポーズをとったら遠くまで飛べた!」
というほうが盛り上がりますけどね。
糸井 そうですね。記録が出ないと
ゲームが進まないというわけでもないし。
宮本 ええ。
糸井 記録が伸びなくても
体を使ったという満足感は残りますしね。
そもそもは、そこが目的だし。
宮本 そう、そこが大きいんですよね。
「体を使う」という遊びは、
それだけで高い満足度があるんですよ。
逆に、いままでの、指先の最小限の動きだけで
操作していたゲームというのは、
頭のなかで遊んでいるというか、
半分、観念で遊んでいるので、
遊び終わるとすぐに評論がはじまるんですよ。
糸井 あーー、なるほど。それはそうだ。
宮本 そのへんは新しい発見でしたね。
だから、たとえば、去年、
「ビリーズブートキャンプ」が流行りましたよね。
たくさん出回りましたから、たくさんの人が
感想を話したり書き込んだりするんですけど、
そこに批評というのはなかなか出てこない。
効果がなかなか出なかったり、
つらくてやめた人がいたとしても、
「こんなものは」って言う人は少ないんです。
それよりは、妙に我が身を反省する人が多い。
「昔の俺ならできたはず」とか
「できない自分は、なまってるんだ」とか。

糸井 なるほどね。
実際に自分の体を動かすということで
ある程度の満足に達してるから、
客観的にならずにしゃべるんですね。
体をつかうと、自分にそれが
自然とフィットするというか。
宮本 うん。それはつくってるぼくらも
予想以上のものを感じてて。
「これではちょっと安易すぎないか」
と心配しながらつくったようなものも、
自分で、体をつかって遊んでみると、
思った以上に満足度が高いんですね。
糸井 なるほど、なるほど。



(続きます)
2008-01-29-TUE