SHIMIZU_MICHIKO
清水ミチコの試供品無料進呈
(秘密厳守)
1999年4月の日記

第52回

4月1日・木曜日
ラジオ収録後、
お昼にマネージャー、ヤノッチと麻布の堀井でそば。
注文した「つけとろの大盛り」が到着する間、
「誤釣生活」を読もうとバッグから出そうとふと見ると、
遠目に漫画家のやくみつるさん発見。
俺を見つけないで、という信号を
勝手に帽子あたりから感知し、声かけず。
六本木のスタジオに行き、週刊ポスト用の写真。
藤圭子と宇多田ヒカルの親子顔マネ写真撮る。
さすが、メイクもカメラマンもちゃんと参加すると
違うもんだねえ。
家に帰り、夜、下北沢のピーコック前で
さくらももこさんと待ち合わせし、食事。
さくらさん、
「ねえ、ここ(ピーコック)で、お総菜買ってさー、
ミッちゃんチで広げて食べよーよ」と
嬉しい事を言ってくれる。
しかし、家はちょっと混み合っているのだ。
久しぶりに会ったのだが、
こういうところは変わってないなー。
「私、禁煙してるのねー」と言うと、
えーやめればー、そんなの、と言う。
健康についちゃいくらでも語れる人なのだが、
「ムリは絶対いけない」のだそうだ。
それもそうだと思い、二人で開放的に吸ってもた。

宇多田ヒカル

藤圭子

4月2日・金曜日
高田文夫さんから依頼の「絵」の出品、
うまく書けずに(プリントアウトできず)
あー、もー、とやめたくなる。
そのあと、芸能人、友人たち総勢8名ほど来宅。
つくづく料理だったら簡単なのに、と思う。
ヨーコちゃん、ハムスター苦手らしく、
「か、飼ったんですね。か、か、かわいいですね!」
と身体は後ずさりしながらの社交的会話。
私も、もしも他人の家でヘビなんか飼ってるの見たら
こうなるかもしれないと思ったが、
「ほり、抱けるのよー」と手に乗せてみせると、
飛びあがりそうだった。

4月3日・土曜日
ドラマ「ロマンス」収録。
宮沢りえさんにライブはいつやるんですか、と聞かれる。
「7月に渋谷のジアンジアンであるよ。
ジアンジアンなんて知ってる?」と聞くと、
「ジアンジアンは、いつか友川かずきさんの
ライブで行きました」との事。
友川かずき、という名前が
宮沢さんの口から出るのが意外だった。
心の中で「生きているって言ってみろ」鳴りやまず。
帰りに「神戸屋キッチン」で浅蜊のスパゲッティ。
ヤノッチはベークドチキン。
一口交換してみたら私の勝ちだった。

4月4日・日曜日
天才てれびくん2本撮り。
メイク室で子供タレントたちの会話を聞いてると
「○○、からみにくいよねえ」とか、
「○○、つっこむところが見つけにくいやろ。
見えへんねん」
「そうそう」など、
聞いてて笑える。おっさんか。

こないだ、家に来たコドモの友達に
しゃれを言ってやったら「ひゅるるー」、と言って
両手を寒そうに上下こすってやがった。
北風の表現なのだ。
あんたら用にレベルを下げて、
あえて、の、しゃれなの! 本気じゃないの!
とも言えない。
しかも後でのコドモ同士の会話、
めちゃめちゃベタなところで笑いあってるのだ。
大人だから「おまえらこそ寒いっ!ああさぶっさぶっ!」
と叫びながら走ってもいけない。

1999-04-15-THU

第53回

4月5日・月曜日
倉敷でお呼ばれライブ。
高校生らが卒業し、
新社会人おめでとうという主旨のためのもので、
さすが教育熱心な県民性の岡山だ。
みんなまだ似合わないスーツなどを着て
ピシッとしてるものを感じた。
終わったあとのスタッフとの夕食が楽しみ、と思い、
朝もお昼も食べずで、期待だけふくらます。
駅に着いたとたん、いかにも美味しいモノが
豊富そうな街だったので。
しかし、この日は月曜日で、美術館もお休み。
街中オフみたいで、決め手になるお店見つからず、
歩きながらしょげる。
スナオにお弁当を食べないからこういうことになる。
結局天ぷらなど、飲み屋さんみたいなとこでいただく。

4月6日・火曜日
新幹線の時間まで、と、朝から坂田さんと散歩。
エル・グレコで珈琲。永六輔さんのサイン葉書見つける。
いいな、と思う外国には絶対大橋巨泉さんの別荘があり、
いいな、と思う国内には絶対永六輔さんのサインがある。
そのあと大原美術館へ。
10年ほど前、パテ屋(私が昔アルバイトしてた
デリカテッセン)で、経営者の林さんと一緒に
写真に写ってた外人を見て、
「この方はどなたですか」と聞くと
「サム・フランシス、、」と、
おっくりした口調でおっしゃってて、
それを聞いてたアルバイト大学生など、
ひっくり返るほどびっくりしてたが、
私は誰なのかも知らなかった。
今日、作品をナマで見て、かーん、ときた。
かーん、までに時間かかったねえ。
篠原牛男さんや、岡崎乾二郎さんなど、
林さん関係の方の作品を見つける。
刺激的なところでもあったんだなあ。
林さんは、パテ屋に来られる有名な芸術家にも、
暗かった私にも、
ホントーに同じ態度で接してくださってた。
しばらく林さんの事や、パテ屋での事を
思いだしながらながめ歩いた。
東京にもどってそのまま番組の打ち合わせ。非刺激的。

4月7日・水曜日
「おじゃる丸」打ち合わせと、取材2本、
メレンゲナレーション。原稿1本。
コドモが世話になった咲ちゃん家に行って、
おみやげを渡す。
つまんないお菓子です、と言うのに、
一家であんまり喜んでくれて、私まで嬉しくなる。
ほころぶな、ほころぶな、ここで、と自分に言い聞かす。
夜「古畑任三郎」を見てほころび、「兄弟」読む。
どっちにも充実。
ところで、ほころぶ、というのはやはり目からではなく、
口元から一気に上へと動くと思われる。
「目が笑ってない」、というのも、
その人は心から笑ってないわけではあながちなさそう。

いつか友人に、「絶対に笑わないでよ」と約束し、
あなたの顔がいかにいいか、を誉めたたえてみたところ、
不細工な顔で瞬時にほころんでた事があり、
よし、いつか、夫婦でケンカした時に、と思い、
本当にやった事がある。
言い合いしてる途中、ふいをついて
「何よ! ちょっとハンサムだと思って!」
と言ってみたら、
しまった、というカンジでたちまちほころんでいたのだ。
何かすごい勝利感がこみ上げてきた。
みなさんも、ぜひやってみてください。

1999-04-18-SUN

第54回

4月8日・木曜日
コドモの担任だった先生、事情があって
しばらくバングラディッシュに行く事になり、
生徒と、つきそえる親とで見送りに。
私は行けなかったが、コドモの話によると、
先生、みんなが見送りに行く事を知らなかったようで、
みんなの姿を見て、驚いて、
すぐ泣きじゃくるかのようにしておられたそうだ。
そうして先生が乗った電車が発車すると、
手を振り泣きながら追いかける子供がいたのだそうだが、
それと同時に、
「これ以上はドラマじゃないんだから」。
「おいおい。やめたら。危険」。
という現実的な派もいたというのが
いきなりな展開だった。なるほど。

今日はビバリーで何かの拍子に
「バルサミコ酢がね」
と言うと、高田文夫さんに
「何それ、メキシコのプロレスラー?」
と聞かれ、笑った。
いそう。
そのあと、ピアニスト佐山雅弘さんのコンサートに、
青山円形劇場へ。
外に誰もおらず、あっ、遅刻か、と走ると、
同じ場所へと急ぐ男性がいて、
チケットを渡す所で顔を見たら
偶然にも和田誠さんだった。隣の席。
いつか大瀧さんが
私のジアンジアンのライブに来てくださった時、
「(確か)和田さんの隣席だったのでちょいと緊張」
というような事をおっしゃってたのを思い出した。
和田さん、しばらくは映画監督として忙しそう。
私は酔っぱらった時、
えらい失礼なことを言ってるらしいとわかった。
コンサート、なんともいい空間で、幸せだった。
しかし、休憩時間にのどがかわいたかのように
タバコが吸いたくなり、喫煙室へ。
あのいやーな、煙もくもくの喫煙室まで
行ってまで吸いたい、と思うのは生まれて初めてだ。
いつも死臭がはいってるような、収容所みたいな部屋。
変な話、タバコは空気がきれいなところでこそ
スパーッと吸いたいのだ。
まずい、と感じながら、みそぎのように吸う。何の。

4月9日・金曜日
ドラマ「ロマンス」の番宣に出る。
長い収録だったなあ。合間にタバコ吸う。
家に帰ると、ぱく・きょんみさんから
本人の「庭のぬし」という本が送られてきていて、
しばらく読みふける。
ぱくさんという女性は在日韓国人の詩人で、
パテ屋でずっと一緒にバイトをしてきた友人でもあり、
当時、彼女の顔の表情や嘘のない言葉がたいへん好きで、
休みの日など、しつこいほどつきまとっていた。
返事を書きながらまたパテ屋の事がよみがえった。

4月10日・土曜日
マック故障。まただ。
マックのせいで、面白くないからと、タバコ。
もう禁煙なんてできないようだ。
こんなにニコチン中毒が根深いものだという事を
誰が教えよう。
タバコの横に
「あなたの健康を損なうおそれがありますので」
なんて水くさい事書かないで、
「ニコチン中毒、マジで強力!」
なんてゴシック文字で書いたらどうか。
止めたい、という希望だけ残したまま吸うのが
一番ニコチンが悪く残りそう。

ところで、
担任だった先生からの一本の電話がクラスに廻る。
今日、到着できたのだそうだが、バングラディッシュは
覚悟してた以上にきついらしいとの事。
ただ、4階のお部屋は広いので、
いつでも全員で泊まりにきてくださいとのこと。
電話でそれを言う方も聞く方も一緒に笑った。
さすがあの先生だ。
すごいオチ。

4月11日・日曜日
テレビブロス原稿書いてFAX送る。
あれ? 都知事選挙の用紙がない。
どうも、家に来てないようなのだ。でもまさか。
もしかしたら、それと思わずに、私が捨ててしまったか。
とりあえず、夫と賭け。
私は石原さん。夫は鳩山さん。
スーパーの買い物ついでに紀伊國屋に行って
「少年A」の本などを買って読む。
親はいつも残酷なもんだなあ。
身体が冷えてきて、電気毛布を高い温度に設定し、
そのままくるまってちょっと寝た。
都知事選挙の用紙がないんですけどー、と
バングラディッシュの先生に電話で相談する夢を見た。
来週からまたちゃんと禁煙にトライしよう。
趣味にしよう。

1999-04-21-WED

第55回

4月12日・月曜日
峰竜太さんの番組にゲスト。
雛形あきこさんと。かわいい。
そのあとまじめ服に着替えて「チャリで行く保護者会」。
校長先生のお話から始まった。
「子供に夢を持たせたい、この時代は夢がなさすぎる、
大いに感動をもたせるよう」との事。
昔っから、校長先生が生徒に言いたいことというのは
変わってないな。
また夢、夢が好きなのね、と思った。
たいへん小声の方でいらっしゃっるのだが、
「えー、声が小さいせいか、ワタクシの話は
ねむたくなる、と生徒さんに言われます」
と仰有ったところは好きだった。
父兄全員が、その一言でパッと起きた様子。
ライブだった。

家に帰るとコドモの友達、いつもの3名が来てて、
ハムスターが人気者になってた。
家の玄関に「落書きできるやたらでかい紙」が
貼ってあるんだけど、それがいつのまにか
願い事を書くようになってしまっている。
今日はそれが増えていた。
「64が欲しい!」
「ディズニーランドに行きたい!」
「跳び箱6段!」
「野球に苦情! ポケモン中止するな!」など。
これらを「夢」と解釈したらよさそうなもんだが、
それは夢ではなく欲、とか言われそう。
欲と夢の境目も、難しいものがある。

石原慎太郎さん、都知事に。
あんまり興味がなかったけど、
「ニュースステーション」に出てる姿を見たら、
ありゃ、と思った。
やたらにしつっこいモノを感じた。

家の玄関にある
「落書きできるやたらでかい紙」

4月13日・火曜日
私が時々世話になっている青山のウチイケ治療院で、
クロワッサンの取材。
サーモなんとかという装置で体温を見てもらったら、
身体の先端の温度が低すぎて、
まるでユーレイみたいですよ、などと言われた。
おなかが空いてたまらず、
帰りにヤノッチと更科で天ざる。
前にここで、凄い食べ方を見たのが忘れられない。
たまたま隣に座ってた男性なのだが、
「もりとライスね」というのだ。
信じられない。
店員さんも普通に「はーい」と返事をし、
本当に「盛り蕎麦」と「ごはん」だけが到着して、
男はこれまたごく普通、という顔で
淡々と食べていたのだ。
なんてさえない組み合わせなんだ。
地味にもほどがある。
どう考えてもおかずはネギしかないじゃないか。

4月14日・水曜日
スポーツクラブに行き、禁煙再スタート。
紙に「なぜ止めるのか」と理由を書いて
部屋とトイレに貼る。
今度は衝動的に始めるわけではないのだから違うと思う。
そのあと打ち合わせへ。
帰宅し、コドモの宿題の「国語の本読み」を聞く。
「そんなもん、証拠ないんだから
マジメにやることないって。はんこ押すからほれほれ」
と言うのに、ぜったいやる。
こういうところは性格がまったく異なる。
私がトイレに入ると、読みながら着いてきて、
トイレのドアの前でせつせつと朗読。
しかし、聞いてるとなかなか面白く、
主人公が行った沖縄の海の色が見えてくるようだった。
ほほう、と思い、手を洗いながら
誰が書いたのかと聞いたら椎名誠さんだった。
「絵は沢野って人だったりして」と聞いたら、
「あたり」だった。

「時計の長い針は、夜9時を過ぎると、
早く回転しようとあせってるみたいであやしい」
とコドモが言った。
夕食終わってから寝なくちゃいけない時までの時間は、
親が見ててもかわいそうなほど少ない。
寝る前にコドモと屋上まで行き、10分ほど立ち話。
なんでも、
「ぜったい言わないという約束で、
お互いの好きな男の子の名前を、ある女の子と
打ちあけあったら、とたんにばらされた」らしい。
あるある。
しかし、それを聞いた、本人とは別の男の子が
聞いてすぐ「えっ、じゃ、僕、失恋しちゃったー」
と言ったらしく、
「でもそう言われても私……」と、
いかにも複雑そうなヒロインの表情で
夜空をながめておられた。

しかし、と私は考えた。
きっとその男の子が本当に好きだったのなら、
そんな事をとっさに言えないだろう。
そういう時に機転のきくやさしさを
持っている男の子と言ったら、
あの大橋君ではないか、と思い、名前を言ってみたら
「あたり」だった。
当たったのも嬉しかったが、小学生の分際で、
さりげなくかばってくれてたという事に
感謝したくなるとともに、
大橋君の事がまたいっそう好きになった。

1999-04-25-SUN

第56回

4月15日・木曜日
タバコ吸わずにビバリー。
ゲストの徳光さん、CM中に、
「僕の息子って、清水さんのファンなんだけど、
その嫁は、あなたのことちっともおもしろくない、
ぜんぜんわからないって言うんだよねえ。
どうしてかねえ。」と、のほほんと言われる。
なんで聞くかな本人に。
ダメな嫁ですね。なんて言えるか。

そのあとCBCに出て、FM-TOKYOへ、というラジオデー。
飯野賢治さんの遅刻を待つ。
殺人的に忙しそうなのだが、
どうもそれにかまけとるんで、
「あんた根本的に間違っとる」と本番中に注意し、
アシスタントのかわいこちゃんから拍手をいただく。
飯野さんは笑っておられた。
でも、他人への注意はこれまた簡単なものだ。
自分はタバコ一本止められないのに。
「他人の仕事は気に入らないようにできている」
と誰かが書いていたっけ。
タバコ吸わず。

4月16日・金曜日
ヤナセのイベントに中村江里子さんと。
顔マネの本を渡しながら、わ、しまった、と思った。
中村さん、実際に会ってみたら
たいへんにイメージと違ったのだ。
しかし、簡単にあやまるのもかえってナンなので、
失礼な態度のままで通してしまった。
タバコ吸わず。

4月17日・土曜日
タバコ吸わず、きれいな身体で「ロマンス」収録。
CXでナレーション。
いい声だ、軽く出るようになって、と
自分で思うようにする。自分を励ます。
カレンダー見たら明日は結婚記念日だった。
そうか、もう12年になるんですな。
「おい、明日って結婚記念日!」とお父さんに言うと、
「そうさ」と、とっさに言う。
しかし、その反射的な言い方は、知らなかったな。

4月18日・日曜日
休み。嬉しい。
記念日、記念日、といって
家族で電車に乗って、まず新宿・紀ノ国屋へ。
ここの2階のCD屋さんは、
マイナーからメジャーまで、品揃えが豊富。
豊富というか上手。
このHPでも話題の綾戸智絵さんの
デビューCDもあり、購入。
新宿の中華・随園別館で食事。うまい。
ここの店員さんのマネした。うまい。
しかし止められた。
お父さんが、帰り道を歩こう、と言う。
旅行に行っても夫は本当に歩くのが好きなようで、
平気な顔で闊歩するが、私達は得意でなく、ヘトヘト。
嫌味に足をひきずって歩く。
「清水ミチコ!」
と若者に呼びかけられた時だけしゃきっと直した。
そのうち「ウンジャマラミー」のショップを見つけ、
かーわいいランチボックスを、メイク道具入れとする。

「ウンジャマラミー」の
ショップで買った、メイクボックス

名古屋に嫁にいった、もとマネージャーの
コトミちゃんから夜、電話があり、
「NHK教育って、いっつも変な髪型の人とか、
妙な話し方する人けっこう多くって、
私そういう人出ると、集中して見ちゃうんだけど、
こないだ、また変な女だ! チェック! と思ったら
ミッちゃんだったんですね。あれ、いいですよ!」
と、笑っていた。
記念に載せてみました。(写真参照)。

NHK教育より

1999-04-28-WED

第57回

4月19日・月曜日
「天才てれびくん」2本撮り。
ダパンプと山崎まさよしさんをレクチャー。
夕方、「女性自身」の対談で「天厨菜館」へ。
ラーメン王・石神さんと対談。
細かくてうざい男じゃねえけ、と思ってたら
いいカンジの若者で、しゃべる言葉にコクがあり、
面は細目のおしょうゆ顔で、脂ぎってない。
ラーメンの話だけなのに、実におもしろかった。
帰りにお勧めのラーメンが食べたくなった。
しかし、雨なので止めた。
帰りにビデオ、「CUBE」見る。

4月20日・火曜日
「7月のジアンジアン」用のネタ、
そろそろ作らにゃと思いつつ、
しかし大事なのは常に目の前の仕事なのだ、と
長ーい原稿書く。
友達から「メール、到着したかな」という電話。
ややこしいことに届いていない。
書き終わって、夕食に「焼き味噌」作る。
これはふるさと高山の名物で、
朴葉の上にサラダオイルで長ネギ、しいたけなどを焼き、
そこに味噌をまぶして焼くだけ。卵も乗せる。
なーつかしい濃い味。
夫の母、なんと甲府のFMで、2年間のレギュラーが
決まったそうだ(川柳の先生として)。
笑った。嫁はAMなのに。

4月21日・水曜日
「まるごとおじゃる丸」(5月5日放送)に
小倉久寛さんと共演した。
小倉さん、
ついこないだ「寺内貫太郎一家」の芝居に出て、
「ああ、今、おれは芸能界の中にいるんだ、
と始めて実感できた」という。
「ミッちゃん、そういう風に実感した事ってある?
つまり芸能人の中にいる、とは思ったことあっても、
芸能界にいるんだ! ここだあっ!って実感て、
案外わかないもんじゃない。」
そういえばそうなのだ。
局にいる、とは思うけど、芸能界という場所は、
見えないようにできてるみたいなのだ。
いい事言うなあ、小倉さん。
で、何がそうさせたかと聞けば
「普通、俺らみたいな劇団に届けてくれる差し入れって、
いなり寿司とか、サンドイッチ系じゃん。
みんながつまめるようなね。それがさ、あの芝居の時、
浅田美代子さんからお弁当が差し入れされたんだよね。
一人に一つ、なんだよ。『ノブ・トーキョー』という
NYからの逆輸入みたいなレストラン。
青山に支店あるんだって。そこのさ、お弁当。
お弁当ってカンジじゃないね。
柔らかいステーキとか、伊勢エビとか、すんごいんだよ。
食いながらさ、あ、俺は芸能界に来たんだな、
って思ったんだよ。」
思い出しても幸せそう、な話し方なのがおかしかった。
もっと精神的な話かと思ったので、それにも笑った。
「あ、あとね、小林亜星さんからの
薩摩揚げもうまかったよ。」だそうだ。
それはサラッと言ってた。うまかった、で終わってんの。
「それは芸能界じゃなかったでしょ」と聞くと、
「そうね、作曲界って感じかな。」だって。


4月22日・木曜日
ビバリーとCBC。
帰りにヤノッチと青山「武蔵」で、ラーメン。
さんまの出汁、なるほどおいしゅうございました。
ヤノッチ、しーんと音もなく食べる。
「どうしてこう、ずずっ、と品悪くいかないのか」
と聞くと、すすれないのだそうだ。
いまどきのヒトだねえ。ホントに外人みたいな。
「まず唇をすぼめてえ、
息を吸い込むと同時に、麺の数本をね、」と、
すするのを言葉で教えようとするのは、
ものすごく難しい事を知った。
皆さんもやってみてください。
しかしすすらないで、普通と同じスピードで食べるのも、
技術的にはもっと難しそうだ。
「すすらずにラーメン早食い選手権」一度見てみたい。

1999-05-01-SAT

第58回

4月23日・金曜日

ロマンス収録。
宮沢りえさん、私の背中に
「清水ミチコ・清水ミチコ」と一人静かに繰り返すので、
なんですかいったい、と言うと
「清水さんって、ナマで会うと、まさに、しみじみと、
清水ミチコってカンジなんですよね。」と、
よくわからない事を言う。
「そんなの自分だって
宮沢りえでございって顔してるんだよ」と言う。
結婚して良かったですか、と聞くので、
早すぎて後悔中、遅い方がいいよ、
遅いほどいいかも、(本音)と言う。
主婦もいいけど、独身は本当に貴重な時間があるのに、
見えてないところがある。
そしたら他の出演者に
「今の、すごいリアルな言い方だった」
と笑われてしまった。
いや、なにも決してすごく悪いこたないんですよ、
うちはね。
と、強調すれば強調するほど疑いが増したようだった。

4月24日・土曜日
ドラマ収録。帰りにモスバーガー。
あらかじめ電話でオーダーし、
受け取って車の中で食べる。
おごるからー、と取ってくるのを
ちゃっかりヤノッチに頼む。
そのうち花粉症のクスリも手伝って、
車内でうとうとと寝てしまった。
ところで、ヤノッチは本名「矢野悦子」といい、
業界では名刺を渡すたびに驚かれるらしい。
有名なスタイリストさんと同姓同名なのだ。
もとプロサッカー選手なのに、写真がうまい。
事務所に行くと、
この日記ページを読んだ大手雑誌関係の方から
「庭のぬし」の書評頼まれる。
こうしてCMにもなっているのですな。
CDの依頼も、どこかでこないですかな。
CMの依頼なんかもたいへんいいですな。

4月25日・日曜日

多摩スタジオで収録。
帰ったらコドモは友達の家へ行ってて、
夫も仕事で、家に誰もいなかった。
しーん、という音とともに自由になる。
妙なもんだ。
ふだんは
「こいつらさえいなかったら、あれもできるし、
これもできる」と、望んでたはずの時間なのに、
いざこうして目の前が自由に展開されたとたん、
する事がみつからない。
ハムスターの部屋の掃除する。
最近2匹ともちょっと太ってきたので、
野菜中心のエサにしたところ、臭くなった。
ハムスター用のエサに消臭剤が入ってるとは
聞いてたんだけど、これで実感がわいた。

ところで最近、この日記が遅れがちなのだが、
日記連載の担当の金澤さんに、
「本当に毎日やってるってのは、凄いことですな。」
と、メールしたら、
「養鶏場で働いてるみたいです。玉子拾わないと
腐っちゃうし、エサやらんとニワトリ弱ります。
乳牛の酪農とか、ハマチ養殖にも近いですね。」
とのこと。しっくりきた。
メールくださる方も、いつもありがとうございます。
と、ここでお礼を述べさせていただきます。
励みになってます。
ま、単に好きでやってるんですが。

4月26日・月曜日

テレビ局で、タレントさんが携帯で話してる姿を、
続けて3人も見る。
ここでわかったこと。
どうも、携帯だけは、「パン買ってきて」と言えそうな
「パシリ感」のある人ほど
似合うようにできているようです。
ちゃんとしたレディというか紳士には
似合わないというか。
携帯を持った姿を鏡で見て、
「私って似合うわ」と思ったら、
あなたはまだまだということです。ぜひお試しください。

今日は美鶴ちゃんの事務所の送別会。
10年も勤務してくださってたので、
辞める実感まだわかず。
スタイリストの綿引さん「タバコやめて1月半になる」
と、ごくおっとり言っててびっくりした。
妊娠したからって、
じゃあそんな程度の縁だったの、ってカンジ。
あっちは私があんまりびっくりしてることに
びっくりしてた。
悪かったすか、みたいな顔をしてた。
他人にコドモができると本当にうれしい。
これはコドモを産んでから思える。
そして、新聞なんかで読むコドモへの虐待記事には、
憤慨のあまり一人涙してしまう。
これもコドモを産んでから。
野生的ですな。ウオー。

4月27日・火曜日
仕事、山のように残っており、
かたづける前に、自分の部屋を掃除したくなる。
学生時代のテスト前のようだ。
そのうちふと見てしまったコドモのワンピースに
刺繍したくなり、集中して針を持つ。
何年ぶりかな。かわいくできたー。


4月28日・水曜日
このページ担当の金澤さんからラーメンの返信メール。
「武蔵、魚の味して、けっこう好きです。
昨晩は、糸井と池尻大橋(246沿い)の
和歌山ラーメン『まっち棒』いきました。
豚の骨髄液、ドロドロ。脂。ダメージ大。うまい。」
という内容。
この中の「ダメージ大」、というところ気になり、
どしても行きたい。
多分ダイエットへの事なのだろうが、
この文章の中でなぜか一番おいしそう。
ダメージ大か。

私は今のところ、
日本で一番ラーメンがおいしいのは飛騨高山であり、
その中でも「まさご」のラーメンは最高だ、
と自信を持って思っているのだが、
ここはさすがに通信販売をやっていない。
だから通販できる「郷里」のラーメンを
ときどき注文する。自分の故郷、丸だしの店名だ。
書いてるうちに無性に食べたくなってきた。
私は本当に炭水化物が好きだ。
チャーシュー麺など、注文する人の気が知れない。
一枚でちょうどいいじゃないの。
慢心すな、と横目で思う。

1999-05-07-FRI

第59回

4月29日・木曜日
ビバリーとCBC。
帰りに麻布の永坂更級で「納豆そば」。
ここの納豆蕎麦は、とてもとてもおいしい。
蕎麦に納豆なんて、と思ってる人でも、
これならきっと好きになる。
納豆の粒の小ぶりさもいいし、胡麻と紫蘇、葱、
おかかが、それはそれは細ーく繊細に切ってあり、
中央にある卵黄と混ぜて食べると、
微妙な色彩が舌と鼻に届く。嬉しい。
混ぜる時点ですでにもう嬉しい。
ありがとうございます、と感謝したくなる。
胃袋ヒーリング。
しかし一緒に行ったヤノッチは
また「かしわ南蛮そば」なので、信じられない、ださい、
なんてもったいない食べ方、と思った。
ヤノッチもまた
「納豆なんて、どういうセンス、くさい、信じられない」
と思っているようだ。
一口交換したが、お互いノーコメントだった。

夕方、もとダウンタウンのマネージャー、
新田君の結婚パーティへ。
私の前のマネージャー、松島美樹子嬢も来てて、
「タバコやめて2週間目なんだよ」、なんて言う。
「いつでも吸える、と思うと自然に止められた」
のだそうな。
決心しないほうがいいのかな。
そのあとナレーション。

4月30日・金曜日
CX「どーなってるの」ゲスト。
新司会の吉田照美さん、番組にマッチしておられたカンジ。
余裕だった。

この日記についての、表紙の糸井さんのコメント
「あそこのラーメンって、う、う、うまいか?」に笑った。
まずいと思う、と書かないところが。
あの日はねー、ま、いろいろあったんです。
でも麺はいいじゃない。
とりあえず、味覚だけは、
うまいと誉める人が10人いたとしても、
1人が「まず。」とボソッと言ったら、
一気に正解、というか「勝ち」となるところがある。
けなす時は慎重に、だ。
「う、う、うまいか?」は、
う、う、うまくて笑っちゃった。
日記なんかの当日の糸井さんの文章って、
24時間ですぐなくなっていくんですね。
もったいなかとです。
コドモ、学校の写生会で代々木公園に行ってて、
「あー、疲れた」と言って帰ってきた。
しかし、できた絵を友達や先生にすごく誉められたらしく、
思いだしては笑ってた。幸せな人だ。
誉め言葉に素直になれず、傷つく大人になってしまった。

ウチは、実はずっと別居状態みたいなもんで、
3人が別々の部屋で寝室を持つようになってから、
とても寝心地がいい。
朝、「おはよう」なんて言いあうのだ。
夜、自分の部屋で夕方7時ころから5月の朝まで
死んだように眠った。

1999-05-10-MON

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