帰ってきた松本人志まじ頭。

第11回 テレビに自由は、あるのだろうか。



高須 本来、テレビは、粘土作りのような
作りかたをしなければいけないと思うんです。
誰かのイメージで、
「こんなんやねん、わからんけど」
と言いながら、みんなが粘土をこねて、
「じゃあ作ろう」と、何も計算をせずに
イメージのまま作っていると、いつのまにか、
ピタッとサイズがあっていたりもする。
ほんとにこれが奇跡的なんですよ。

そんなように作られた1時間なり
30分間じゃないと、ほんとはダメやと思います。
無心に作っていたら、自然に
60分の枠にはまっていたというか。

そんなに意識してはいなかったけども、
編集も、この時間ではまるなあ、
できるべくしてできたんや、みたいな
そんな意識で作らないとダメなんですけど、
もうそれは、できないんですよね。

もちろん規制もあるし、
視聴者の好き嫌いっていうところで、
これはダメ、ダメって、
要素が省かれてしまうんですよ。

ダウンタウンDXというトーク番組ですらも、
子どもに見せられない番組になってるんですよ。
「ガキの使い」もそう・・・。

子どもに見せちゃいけないという団体がいて、
そういう団体は、今までは
あんまり言ってこなかったんですけども。

昔は、局に文句を言っていたくらいでしたが、
今は直にスポンサーに苦情が来るんです。
スポンサーに行かれると、
局のほうも、文句言えないんですよね。
局は「わかりました、その企画やめます」
と言うしかなくなる。
糸井 それは、小さい企画ごとに
つぶされていくわけですか?
高須 はい。そしたら、
できる範囲が決まってしまうんです。
・・・まあ、その制約はそれで、
おもしろいところもあるんですが。
糸井 うん。ルールとして遊べばね。
高須 上にコンクリートがあったぶんだけ、
変なかたちで雑草が生えたというか。

それによって、ひょっとすると
違うものができるんですけど、
ただ、ゴールデンに関しては、
雑草すら出さへんぐらいに整備してしまうから、
昔のように、馬鹿みたいな番組は、
作らなくなりましたよね。
糸井 やらなくなったね。
松本 うん・・・。
糸井 そのしみじみ感は、怖いくらいだ。
高須 いま、腹かかえて大笑いすることないですもん。
テレビを見て大笑いすることないし。
糸井 「ごっつええ感じ」みたいなのは、できない?
松本 けっこう無茶してましたからね。
高須 ぼくはたぶん、できないと思いますよ。
松本 無理かなあ。
糸井 できないんだろうね。
今の話を、きいてると。
高須 できないと思います。局が怖がって。
松本 「ガキ」で、山崎のどっきりが、
封印されてるんですけど、
山崎が沖縄でトイレに入ってる時に、
黒人が来て強姦されるやつですけど、
あれは、めちゃめちゃおもしろかったんですよ。
・・・でも、いま絶対に無理ですよね。
糸井 無理。
松本 ケツにソーセージ入れてましたからね(笑)。
高須 (笑)
糸井 (笑)もう、テレビっていう
範囲から、逸脱してますよね。
松本 あれは、いつでも無理だったんですよ。
糸井 (笑)
高須 (笑)空気感では
まだよかったんですよ。
深夜帯がめちゃくちゃな時代だったから、
深夜なら、自由奔放だったんですよ。
ちょっとまだ「ガキ」も
深夜っぽい意識を持てていた時期だった。

今やその11時台がゴールデンですから、
11時台までもが、
「おいおい、そんなことやってどないすんねん」
っていう自主規制が、すごいですもん。
昔は11時台なんか何やっても別によかったのに、
今はゴールデンの面子が11時台にいますから。
糸井 今は逆に、8時台で
やれっていわれたら、イヤでしょ?
高須 嫌ですね。やりたくないですね。
松本 7時台なんて、
ほんとにわからないです。
糸井 無理だっていうしかないよね。
松本 7時台はもう、ゴールデンじゃないです。
高須 ゴールデンは10時台くらいからかなあ。
糸井 9時台が今、銀座かなあ・・・。
松本 でも、おかしいですよね、
「11時台だからいい」とかいうのが。
だったら「11時台でもやるな」って
言って欲しいと思うんですよね。
末永 今、多チャンネル時代ですから、
自由なはずですし。
糸井 その、自由なぶんだけ、
コストがひとつずつ分散するから
ほんとに知恵を使う人が山ほどいないと、
やっていけないんだよね。
高須くんがこんなに売れっ子であるようじゃ、
チャンネルが増えた時に思いやられるというか。

・・・えっと、そう言ったのは、つまり、今、
「高須さんとおなじくらいのいい仕事のできる
 作家がいっぱいいるから、
 今の仕事量の半分で大丈夫ですよ」
と言われているなら、まだ番組が増えても
おもしろいものをたくさんつくれそうだけど、
いまのままじゃあ、おもしろい作家が
めちゃくちゃ少ないことは、明らかで。

しかも、高須さんはすでにもう
たくさんの番組を抱えている。
そうしたら、番組が増えたら
作家が足りなくなっちゃうもん。
高須 ええ。


(つづく)

2001-01-15-MON

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