帰ってきた松本人志まじ頭。

第4回 血のいれかえ。



(※今日は、証券系若隠居の末永さんの持つ
  「未来のイメージ」から、会話がはじまります)

糸井 ・・・末永さんが見ての、
変化のきざしというのは、どこが一番感じますか?
末永 いや、わからないですね。
そこから落ちちゃったから。

そういうのからおりた後は、この何年か
時代の動きについていってないというか。
変わった所というか・・・そうだなあ、
今は、変わったというか
変わろうともがいている・・・
変わる方法を見出せないという感じで。

つまり、今までずっとやってきた方法では
うまくいかないとみんなは感じているけど、
それが見つからないという状態なんだろうと。

日本で、この100年くらい、
明治維新以来、から一回戦争で負けたけど、
発展して、成長が高いところで止まった状態、
で、そのままゆっくりゆっくりだめになっても、
ぜんぜんおかしくないん状況ですよね。
でもそれこそ大昔から、ローマ帝国から、
栄えて滅びる栄えて滅びるということを
繰り返してきているわけだから、
日本も、だんだんだめになってきている。

でも、それをしないためには
どうすればいいかというと、
新しい血を入れていかないといけない・・・。
いろいろな国が、
何で止まっちゃうのかというと、
「だんだん競争しなくなるから」ですから。

伸びてくときっていうのは、
競争して伸びていくわけです。
でも、競争するのはしんどいから、
豊かになってくると、
その競争をやめようということになる。
まあ、アメリカが日本よりはやく伸びはじめて、
まだ伸びているのは、
新しい血を入れているからだと思います。
松本 なるほど。
糸井 確かに、ハリウッドの歴史だけを見ても、
最初は映画のシステムそのものを
仕組みのように見せて、
おもしろいでしょう?動くから、と
スタートしていますよね。

で、ユダヤ移民が
ほんとにひまでしょうがなくて、
職がなくて、映画館作って、
動くんだよおっていうことをやってた。

当然みんなひまだから映画館が満員になって、
そうなると、おんなじのをかけてると、
お客が来なくなるから・・・。
仕方がない、違うのを作ろう、ということで、
ハリウッドというものすごい田舎に、
作る場所を建ててみて、そこに
職にあぶれて映画館に来るような移民を
集めたんですよね。
「お前いい顔してるから俳優やらないか」
とかいうところから
映画産業というのはスタートしているから、
だからもともとは、見世物なんですよね。

「映画の芸術性がさあ・・・」とか言っても、
もともとは見世物じゃねえか、ってぼくは思う。
やっぱり、こんなことをするとおもしろいよ、
こっちも楽しいぞこっちも楽しいぞという中で
いろいろな映画ができてきたわけだし。

例えば、ぼくはデビッドリンチが
すごく好きなんですけど、あの人は学生映画で
『イレイザーヘッド』を作ってたんですよ。
・・・『頭頭(とうず)』みたいなもんです。
あれ、『頭頭』ですよ!思えば。
松本 (笑)
糸井 『頭頭』つくってたやつに、
今度エレファントマンのように
めっちゃくちゃお金のかかる映画を
お前やれっていって作らせているし・・・。
バットマンを作らせたティム・バートンだって、
『ビートルジュース』とか、
もっとこう、わけのわからない映画を
作っていたような奴だったのに・・・。
そういう、
「お前には無理だ」みたいな奴を連れてきて、
ハリウッドは、血を入れ替えてきたんですよ。

ポランスキーだって移民の監督だし、
そういうことをわかっててやらせた
資本の力には、かなり
アメリカの底力を感じますよね。
「変えちゃってもいい」ということだから。
末永 既得権益化しないところがすごいですよね。
糸井 うん。ある意味では吉本にも
そういうところ、ありますよね?
松本 あると思いますよ。
吉本というよりも、お笑い自体が
そういうところ、ありますよね。
花子みたいなのが、
オッケーになってるというのは、
これ、すごいことやと思います。
いいか悪いかはさておきですよ。

なんにもできひん女の子を、
おもしろがれるところまで
行けるというのは・・・、まあ、
ある種ぼくはすごいと思いますけどね。
糸井 (笑)高度ですよね。
で、磨きに磨いた芸と花子と、
ふたつ並べた時に、
花子に負けるんだという競争が、
昔はやっちゃいけないことだったのに、
お笑いの世界では、その競争がありだから、
活気があるんですよね。
高須 だから伸びるんですよ。
糸井 うん、そうですよね。
松本 ヘタしたらぼくら、
負ける時もあるんですよ。
時と場合によってはね。
今の目の前の客にとっては、
ということで。
糸井 それ、ものすごい早い時期に、
たけしさんが、俺がいま漫才をやっても
浅草キッドに負ける、と言ってましたよね?
この人は、仕組みをわかってる人だなと思った。

でも、昔からそれ、言わないようにして
ごまかしてきたシステムがあって・・・。
末永さんとさっき雑談してたら、
日本はそういうふうになっても、
ほんとうの危機意識がないから、
「今のままでええやないか」
という力がそうとう強いから。

でも、どうなるんでしょうねという予言は、
また、別で・・・できないんですよね。
末永 予言はできないですね。
何が起きるかはわからないから。
でも、意識は変わってきてますよね。

というのは、さっきみたいに
結婚しなくなったとか
子どもを生まなくなったとかいうのは、
すごく端的なあらわれだと思いますし。
大学を卒業しても
就職しない人が増えてるというのは、
職がないというのもありますけど、
意識は変わってきていると思うけど、
行動にはまだ移ってないというか。


(つづきます)

2001-01-08-MON

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