CAKE

 
 
キャドバリーのキャンディー♪


桜、あっという間に散ってしまいました‥‥。

今年は桜の菓子を書こう、
いや書かなきゃ! と思う間に
はらはらと桜吹雪の舞った翌朝、
道一面が花びらの絨毯を敷いたようになっていて、
気づいたら葉桜を通り越して
紅いガクが隠れるほどに青々とした
元気な若葉がぐんぐん伸び始めているここ数日です。
来年こそは、ぜひ‥‥と思うものの、
桜の季節にピッタリ合わせるか、出来れば先取るには、
出版界などは前年の桜の盛りに撮影して一年越しで
臨んでいるわけですから、
気合いと腰の入れ方が違いますよね。
ゆっくりその季節を満喫しつつ‥‥なんて、
季節を相手に商売をする場合、
最も言ってられないんだなぁ~と実感する
桜の開花時期でもあったりします。
でも、来年は早い時期に桜菓子をため込んで
(それだと、かなり即席ですね‥‥)
書いてみますね。

それはそうと、キャドバリーのチョコレート菓子って
懐かしくないですか?

この「それはそうと」ですけど、便利ですよね。
最近、母が会話の途中で使ったのを
急に思い出したのですが、
四十を過ぎた私が七十を優に越えた母と、
よせばいいのに喧嘩したりするわけです‥‥
どうでもいい些細なことで。
例えば、今日はこれからこんな仕事だからね、
と急いで出掛けようとする時に
「大丈夫?間に合う?」と心配されて
「間に合うように急いでるんだけど!」とか。
ちょっと気分転換にドライブでも♪
と連れ出そうとしたら、
「大丈夫? そんな時間を使って、
 あとで仕事で困らない?」
と気遣われ
「大丈夫! というか、誘いたいから誘ってるのに‥‥」
なんて、大人げのかけらもなく
語気を荒めたりしてるわけです、
気づくと。
心ない娘に言い返されて、
小さい身体が余計に小さくなった
ようにシュンとする母を見て‥‥
というより見る前に後悔し始め、
急速に自己嫌悪の坂を下っている私としては
「ごめんなさい‥‥」
しか出てこないわけですが、
こんな時なんですね、
「それはそうと──」が登場するのが。

悲しい顔をしてる母が、
「それはそうとね、思い出せない歌があるんだけど、
 あれ何だったかしら?」とか次の瞬間に言われると、
歌が何だったかの前に、
こんなエッジの効かせ方というか切り返し、
到底ワタシは出来てないなぁ~~と
感心させられたりするわけです。
激しく落ち込んで、それ以上に激しく立ち直る性格は
親譲りだったのか‥‥と実感しつつ、
納得せざるを得ない瞬間です。

で、話は戻りますが、使ってみてしまいました。
みすみす桜の季節をやり過ごしてしまった後に
全く季節と関係ない菓子を書きたくなって、
切り出すのに母譲りの「それはそうと」は、
もしかしたらベストなんじゃないか?
と思ったので。

季節に関係ない上に、スーパーのレジ横に置いてあって
見過ごせず、戻って買ってしまった徳用の袋なんですね。
かなり大きくて、かなり値段もしたので、
(確か千円くらいでした。基本的にケチなのでスーパーで
 菓子が3桁になるとちょっと引いてしまうのです。)
迷ったのですが、懐かしさに負けて
カゴに入れてしまいました。

子供の頃、頂き物などで缶に入ったのが置いてあると
嬉しくて、蓋を開けては、
色とりどりの包み紙が乱反射するのを
じ~っと眺めたりしたものでした。
なんとなく外国の香りがして、
どことなく洒落た色がとても綺麗で。
大人になって、都内のバスに
車体広告が書かれるようになってから
全体が薄紫のキャドバリーのバスを
運転してる時に見つけて、
ちょっと並走してしまったこともありました。

こんなキャンディーがちょっと器に入ってると、
「何だかな~」とヘコんだ一日の終わりにも
コソッとつまんだりして、
それはそれで明日になっていく手軽な性分です。

そろそろ、藤や菖蒲が咲き始めますね。
よい初夏を。
あ、その前によいゴールデンウィークを。


わたなべ まり

 

2010-04-21-WED