CAKE

 
 
晩秋の長尾峠の甘酒



ご無沙汰いたしました。
ごめんなさい‥‥。
復活させていただきます。

秋も、逝くなぁ〜と思いながら、
母と箱根に行ってきました。
箱根には祖母の家があって、
母が小さい頃を過ごした場所だとか。
台ヶ嶽(だいがたけ)のすすきなど
見ながら、ふたりでのんびり仙石原や
芦ノ湖を回り、小田原、江ノ島、
鎌倉を通って、日帰りして参りました。

「長尾峠に行ってほしいのだけど‥‥」と、
母がめずらしく望んだので、
細い道を登ってみました。
幼稚園くらいでしょうか、私も連れて行かれた
峠らしいのですが、記憶にはなく‥‥
くねくねした道を登り切ったら
仙石原が一望できる小さな見晴らし場に着きました。
‥‥綺麗でした。
遠くからでも、すすきが銀色でした。
すぐ脇の短いトンネルをくぐると、富士山側が
一望できる峠に出ました。
トンネルの長さは100mに満たないくらい、
60〜70mくらいでしょうか、箱根の山は
天下の嶮──と言うにふさわしく、
何気ないほど簡素な峠に、
胸に染み込むような景色が広がっていました。

長尾峠には小さな茶屋があって‥‥
こう言ったら何ですが、本当に小さな茶屋で、
ここがどこなのか、
今がいつなのかわからないような、
ちょっと不思議なあったかさと
懐かしさに包まれました。
母がおしるこを、私が甘酒を頼んで、
向かい合って冷ましながらいただいたら、
おいしかったです。ほどよい甘さで。





甘酒好きなのです、かなり心底からの。
冬は甘酒があったら、長い夜ものんびり幸せかな〜
と思うほどに。
その割に数年ぶりの一杯の甘酒で、
これも、沁みました。

寒くなってきました。
晩秋から初冬‥‥風邪など引かれませんように。

わたなべ まり

 

2006-11-03-FRI