もしも、うちのコが迷子になったら。

ほぼ日刊イトイ新聞

4月のことです。
ドコノコチームのメンバーのもとに
女優、村岡希美さんの愛犬・花子ちゃんが
迷子になってしまった、という情報が入りました。
村岡さんと友人たちは花子ちゃんを
懸命にさがし歩くかたわら、情報収集のため、
ドコノコの「迷子掲示板」を作成し、
ツイッターでも呼びかけを行っていました。
そして3日後、無事に発見‥‥!
(ほんとうに、よかったです。)
迷子、それは、犬や猫と暮らしている人なら
誰もに起こり得る問題です。
いちばんは、迷子にさせないようにすること。
でも万が一、迷子になってしまったら、
私たちは何をすればいいのでしょう。
ドコノコチームとしても、もっと
迷子を減らすお手伝いができないものか‥‥
そんな思いをこめて、
村岡さんにお話をうかがってきました。

ドコノコの
「迷子掲示板」とは

一緒に暮らしている犬や猫が迷子になったとき、
「ドコノコ」のアプリのなかで
近所の人たちに情報提供を呼びかけるための
「迷子掲示板」を作成することができます。

第3回うちのコに限って。

──
ドコノコの迷子掲示板を
見ていても思いますが、
迷子さがしのケースって、
本当に同じケースがないんです。
田舎か都会かでも違うし、
家族形態によっても違うし、
犬か猫でも違いますし。
村岡
そうですね。
犬は、道をタッタカタッタカ歩いてますけど、
猫は木の上とか狭いところに
行っちゃうこともあるので、
さがすエリアがより複雑で難しいですよね。
──
そうなんです。
なので、初動が本当に大事で、
まずはすぐに迷子チラシを配るなどして
目撃情報を集めることが重要だと思います。
村岡
情報を集めないことには、
どこをさがしていいかわからないですもんね。
チラシも、ポストに投函するより
直接手渡しで配ったほうが、
さがしている本人の気持ちも伝わるのか、
「じゃあ、なんかあったら、
周りにも言っておきます」
とすごく親身になって言ってくださる方が多くて、
ありがたかったです。
──
そういえば、
ちょうど花子ちゃんのことがある少し前に、
人形町で迷子になった柴犬がいて、
3日間全然目撃情報がなくて、
近所の人たちにチラシを配っていたんですけど、
結局見つかったのは
近所のマンションの屋上だったんです。
村岡
えぇ! 屋上まで
上がっていたんですか?
──
そうなんです。
いくらさがしても見つからないはずですよね。
たまたま管理会社の人が、
電球交換かなにかで屋上に上がったら、
「犬の声がする」
「するぞ、するぞ」みたいに話題になって、
住民の方の1人が
「あれ、なんか迷子のチラシあったよ」
と気づいてくださって、
飼い主さんが屋上まで行ったら
その子がいて、確保できたそうです。
村岡
それはよかったですね。
ご本人が行けるのが一番いいですよね。
──
本人が行かないと
確保できないケースは多いようですね。
あと、どこにいても水は必ず飲むので、
水場をさがすといいとも言われています。
村岡
そうですね。
花子もきっとお寺のお墓のところで
お水を飲んでいたんだろうなと思います。
──
日ごろから、もし迷子になっちゃったら、
ここに隠れるかもしれない、という場所を
散歩のときにチェックしておくと
いいかもしれないですね。
あと、迷子チラシを練習で
一回作っておくといいかもしれません。
村岡
本当にそうですね。
私も実感しましたけど、
いざそのときになって慌てるんです。
大きさがわかる写真がない!
特徴が出ている写真がない! って。
──
特徴の書き方も、
たとえば「ラブラドール」と書いても、
犬を知らない人はわからないから、
「白い大型犬」と書いたほうがいいとか、
そういうこともありそうですよね。
村岡
ああ、たしかに。
ある日突然やってきますからね。
まさか、って。
──
「うちのコに限って」って。
村岡
家を飛び出るんじゃなくて、
預け先から飛び出すパターンがあった‥‥みたいな。
花子はもともとお散歩中に
ダッシュしてリードが外れたとしても、
絶対待ってるようなタイプなんです。
どんなときも、私から絶対に離れないように
意識している子なんですね。
だからこそ、あの日も
私と離れちゃって不安で、
1人で家に帰ろうとしちゃったんだな、って。
私はそこを、じゅうぶん気を付けておかなきゃ
いけなかったなと反省しています。
──
慣れてきたし大丈夫、って
つい思ってしまいますよね。
それと、今回のケースは、
ご友人たちの捜索ネットワークが
本当に心強かったですね。
迷子をさがしているときって、
「何時までやろう」というのが、
周りの方々も限界がわからないでしょうし、
どこまでやったらいいのか、
みたいなことがあると思うんですが。
そういうのは村岡さんが指揮をとられたんですか?
村岡
いえ、みんなすごく自主的に、
できる範囲でやってくれていて、
「こうしよう」とかじゃなくて、
みんなが自分にできることをしてくれていました。
これ以上やったら仕事に差し障るという場合は、
あんまり無理せず、
お互いにとって無理が一番よくないことだから、
というのが、共通認識としてあって。
──
村岡さんご自身も、
舞台の公演が続いている最中だったんですもんね。
村岡
はい。
今は気力で乗り越えていられるけど、
どこかでこれ以上やったら、
明日の舞台の本番に差し障るな、
ということが頭にあるので、
「一回寝よう」とか思うんです。
でも、どうしても目が覚めちゃうから、
早起きして、またさがして。
これが本当に1週間、2週間って延びていったら、
捜索に関わってくれた友人たちも、
やっぱり捜索への関わり方が
変わってきたとは思うし、
3日で見つかって、本当によかったです。
──
どんどん延びていくと、
精神的にもつらいでしょうし。
村岡
そうですね。
花子が飛び出してしまった家の
友人と友人のご主人も
さがし回ってくださってたんですけど、
もう私以上に
生きた心地がしなかったと思うんですよね。
「絶対誰々のせいじゃない」とどんなに言っても、
お互いに「あぁ、私が」と思っちゃうと思うので。
「だから、そのためにも絶対さがし出さなきゃ」って、
共通の友人たちがみんな思ってくれてましたね。
──
「絶対に見つけよう」という気概と、
そのうえで日常生活に
支障が出ない範囲で、という、
そのバランスというか、距離の取り方が
お見事ですね、皆さん。
村岡
本当にそう思います。
ちゃんと仕事にも行きつつ、
「小一時間だけだけど、回れるから、
回ってから仕事に行くね」
という感じで手伝ってくれたり、
引き際も、
「誰々がまだやってるなら私も帰れない」とか、
そういう意識を持たずに
「自分が今できるから、やってるだけ」
という感じで協力してくれて、
それは本当にありがたいなぁと思っています。
──
ドコノコのユーザーさん同士、
協力し合って迷子さがしをすることが
これからもあると思うので、
そういうバランスのとり方とか
具体的な話がすごく参考になります。
今日はお話を聞かせてくださって
ありがとうございました。
村岡
こちらこそ、
たくさんの方に協力していただいて、
無事に花子が見つけられてよかったです。
本当にどうもありがとうございました。

(おわります。最後までお読みいただき、
ありがとうございました)

2018-07-06-FRI

ドコノコチームからの
お知らせ

今回のインタビューを受けて、
ドコノコチームでは
「迷子掲示板」の改良にむけて
取り組むことにしました。
まずは、この2つの機能を加えるべく
製作をすすめています。

迷子になったとき、すぐに迷子チラシをつくれる機能

写真やプロフィールを事前に登録しておけば、
簡単な操作ですぐに
迷子チラシの印刷用データをつくることができます。
また、飼い主さんからのチラシ拡散要請があれば、
他のドコノコユーザーさんが
チラシをダウンロードして
プリントできる機能も加えます。

最新の目撃情報を地図上に書き込める機能

目撃情報が錯綜することで
いま必要な最新情報が
わからなくなってしまうのを防ぐために、
地図上に最新の目撃情報を
飼い主さんだけが書き込める機能を作ります。
地図に目撃情報を書き込むことで、
俯瞰して見ることができ、
次の行動の予測が立てやすくなります。

正式なリリースが決まりましたら、
ドコノコのアプリでお知らせします。
どうぞご期待くださいね。

村岡希美(むらおか・のぞみ)

劇団「ナイロン100℃」所属。
2017年より「阿佐ヶ谷スパイダース」にも所属となる。
近年は舞台のみならず、映像へも活動の場を広げている。
主な出演作品に【舞台】『三文オペラ』『鳥の名前』、
【映画】『岸辺の旅』『凶悪』、
【TVドラマ】『PTA グランパ!』シリーズ(NHK-BS)、
『科捜研の女 SEASON16』(EX)などがある。
9月1日より舞台NODA・MAP
「贋作 桜の森の満開の下」に出演予定。