退院のご報告ですよ
2021-03-28
長い長い入院生活を経て、3月19日、
無事に退院することができました。
と言っても、たとえは悪いが仮出所のようなもので、
始めは週イチで通院しなければならない。
保護観察の対象みたいなものか。
退院の日、あれこれ釘を刺される。
「小石さんの今の状態は、2歳の女の子です。
免疫力もほぼ無く、風邪、インフルエンザ、
もちろん新型コロナ・ウイルスにも罹りやすい状態です」
主治医の先生からは、
「そう言えば、退院直後に
食べたかったものをたくさん食べて、
食あたりで病院に舞い戻った人もいたなぁ。
もう、以前とは体質も変わってますから、
少しずつ慣らしていかないと危ないですよ」
やれやれ、退院したその足で
夢にまで見た美味しい蕎麦屋さんに駆け込み、
鴨せいろを食べようと思っていたのに。
てなわけで、結局、真っ直ぐに自宅に戻り、
もはや懐かしい我が家でゆっくり寛ぐ。
なんせ病院では、のべにして1日に30人くらいの医師、
看護師、清掃の人、パジャマ、シーツ交換の人が
ひっきりなしに出入りする。
なんというか、気の休まる時間がない。
常に緊張している。
スクランブル交差点の真ん中で寝ているかのよう。
それに、看護師さんは必ず、
「お名前と生年月日をお願いします」
始めの頃は、
「イヤです」
とか、
「小石至誠、以下同文です」
なんて言っていたが、
病院ではジョークは一切無視されるみたい。
そりゃそうだ、芸人の日常と違い、まずは安全第一、
正確を期すのが基本のキ。
臍帯血移植を受けたのが12月25日、クリスマスの日。
サンタさんがプレゼントしてくれた臍帯血は、
かなりの暴れん坊さんだったようで、
かれこれ1ヶ月、
顔の皮やあちこちの柔らかい皮膚が
剥けてしまうようになった。
食欲もゼロ、点滴のみの日々は辛かったなぁ。
でも、その後は新しい治療法も試みてもらい、
ゆっくり回復できたように思う。
しかし、体重は7Kg落ち、家に帰ってお風呂上がりに
我が姿を鏡に写してみれば、
68歳のあばらの浮き出たハゲの老人が‥‥。
ハゲと言えば、抗癌剤の影響で、
他の患者さんもハゲている。
廊下ですれ違う人々は、坊さんか尼さんばかりに思える。
仕方ない、家で好きな物、美味しい物を食べ、
せっせとバイクを漕いで元の体重、体力に戻すとしよう。
そうすれば、また髪も生えてくるだろう。
多くの方々から励ましのお言葉をいただきました。
この場を借りて、深く感謝申し上げます。
退院3日目、バイクはまだ3分しか漕げません。
パルト小石 拝
ー明るく軽く親切なのに。
ほんの少し悲しみの味がするのだ。
マジックというのが、もともとそういう
素性のものなのだろうか。ー
糸井重里(帯コピーより)

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